第2話突然の訪問
翌日からの長い休みを家の中でダラダラと過ごし、気分を変えて出社をし、気持ちが完全に仕事モードになり始めた。そんなお昼休みに晃から電話があり、急遽自宅を訪ねて来ることになった。
別に嫌いな人間ではないのだが、長い間互いに連絡もとっていなかった相手を家に上げることは、気持ちいいものではない。
ならば招かなければいいのだが。スマホ越しの晃が、なにか大変なことがあったのか、まくしたてるように話して勝手に切ってしまったのだ。
断りの電話を入れたくても仕事から手を離すことが出来ず、終業時間になってしまった。
面倒くさいと思いながらも、帰り道にコンビニやスーパーに寄って酒やつまみを買った。
自宅に着くと暗い外廊下に人の気配を感じ足を止める。
「よっ。お疲れさん。」
仕事の疲れなど感じさせない笑顔で、片手に持ったビニール袋を持ち上げる。
「お疲れさま。待たせて悪いな。」
「そんなの気にしないよ。」
先に部屋へ入ると晃に上がるように促す。
まったく知らない人物ではないのに、同じ空間に居るとなんだか落ち着かない。
「急だから片付けてないよ。」
「構わないさ。俺の部屋より。つーかさ、普通に綺麗じゃん。」
勝手知ったる他人の家。
晃は用意していた座椅子に座らず、部屋の隅に重ねて置いてあった座布団を引っ張り出して腰を下ろすと、スーツの上着を脱いでくつろぎ始める。使わないというのならこの座椅子は家主が使うべきだろう。
晃に習ってスーツの上着を脱ぎクロゼットに仕舞う。
冷蔵庫から烏龍茶を取り出し、いかにも一人暮らしをしていますという小さなテーブルに置く。
二人してお酒の缶と好きなつまみをコンビニの袋から取り出すともう置くスペースはなくなった。
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