第46話 ニート、キマイラと対決する
一階部分のモンスターを倒すと、二階の舞踏場のような場所に、ハルバードを持った甲冑騎士の死霊が待ち構えていた。
ここでやられては、せっかく取得した経験値やレベルアップが全て無駄になってしまう。
気持ちを引きしめ、甲冑の騎士と「黒い鉄仮面」を被った僕とのバトル開始!
敵の武器は槍と戦斧が混合したハルバードという武器だ。
射的距離が長く、それでいて膂力を用いた攻撃も可能という、至れり尽くせりの武器だ。しかも重力や物理の法則も無視して攻撃してくるからタチが悪い。
「映像化されたモンスターの動きにもう少しリアリティーを与えてもいいんじゃないの、ニートピアさん!」
と叫びながら、横へとローリングする。ここにきて一か月半、改善された食事と適度な運動のお蔭によって、俊敏な動きも取れるようになっていた。
前から襲ってくる甲冑騎士を右中段から左へと薙ぎ払い胴の部分を破壊する。すぐさま左から右へと薙ぎ払い、次のターンで短剣をこめかみにぶち込む。
「ロ・ス・ト・パ・ラ・ダ・イ・ス」
甲冑騎士が機械的な音声を発すると、全身を紫色の霧が覆い、手足をくまなく伝っていく。
不思議な
もっとも攻撃判定にさえ触れなければ、どうということは無いんだよ。むしろ防御力が著しく下がっているのなら、僕の素早い動きで翻弄しながら、手数を持って攻撃を叩きこめばいいわけだ。
背後に回り、アーム端末の「盗む」を選択する。レアアイテムを掠め取ると、もうこいつに用は無い。足で蹴り上げても何の効果もないことを承知で敵を足蹴にしたあと、ツインダガーを持つ手首にひねりを加えるように、甲冑騎士にトドメを刺した。
三階にあがると、獅子と山羊の頭、そして蛇の尾を持つキマイラが、僕を待ち構えていた。
ライオンヘッドが火を噴くと、着用しているウェアラブル装備が感知して、発熱する仕組みだ。うまいことできている。そして山羊の頭が氷雪を吹き流すと、今度は冷却する仕組みだ。
などと感心している場合ではない。技術は称賛に値するが……。
まずはくねくねと動く尾の蛇頭を攻略する。背後へと回り何度も切り付ける。
放電攻撃が痛く、僕の全身をピリッとさせる。慌てて距離を取り、アーム端末の「回復薬」を選択する。これでゲーム上の体力は元の数値に戻った。
あとは一頭ずつ倒していくつもりだったけど、そこへ予期せぬ敵が闖入してきた。
「そんな子供だましの映像とじゃれあっても楽しくはないでしょ、変態仮面!」
とそこへ現れたのは紫色のメイド服を着たパピヨン。大ボスだ!
「チッ!」
僕は舌打ちをした。四階の居住部分にいると思われたパピヨンが、愛用する白いレースの付いたパラソルを持って僕に飛びかかって来た。
パラソルは可視化された映像ではなく実体であるため、僕の持つツインダガーで防ぐことができた。とは言え、リーチの長いパラソルで襲い掛かって来られてはたまったもんじゃない。
「今日はちゃんとおむつを履いてきたの、坊や?」
パピヨンが不敵な笑みを浮かべて話しかけて来る。
「ああ、ちゃんと替えのパンツを持ってきたぜ!」
僕は
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