第6話 恋愛の神様

それから数ヶ月が過ぎ、お互い同じ店で、別の席で合コンが行なわれていた。


そうとは知らない私達。





「あ〜ん、悠斗く〜ん、その眼鏡外して〜♪」


「悪い。これ、俺の必需品で」


「あ〜ん、そんなの無視、無視!外しちゃえ!」


「きゃ〜♪超カッコイイ♪ねえねえ、本当に彼女いないの?」


「まあ…一応は…」


「一応…?何か訳ありな感じ?」


「さあ、どうでしょう?」


「まあ、いいや。私、立候補しちゃおうかな〜?」


「俺の立候補者は山程いるから、正直、空きがなくて」


「あ〜ん、ズル〜イ!私、意地でも立候補しちゃおうっと♪」






一方。



「ねえ、ねえ、藍ちゃんって本当に彼氏いないの?超イケてんのにな〜もったいない!俺、立候補していい?」


「えっ…?あっ…いや…私…」


「ほらほら、藍里ちゃん、困ってるでしょう?」


先輩が引き離す。



そんな感じで私達は別々の席で合コンをしていた。



その途中。



「藍里?」


「悠斗…君!?」


「もしかして…合コン?」


「う、うん。先輩の誘いで」


「マジかよ…大丈夫?」


「うん…何とか。先輩が、男の人から引き離したりしてくれてるから」




ポンと頭をされる。




トクン…


胸の奥が小さくノックする。




「余り無理するなよ」


「う、うん…」



「悠斗く〜ん♪早く〜♪」




ズキンと胸の奥が何故か小さく痛む。



「はいはい!藍里、じゃあな」



グイッと洋服の腕を無意識に掴む。



「えっ?藍里?」


「えっ?あっ!ご、ごめん…!」




パッと離す。



私は背を向ける。


「は、早く行って。呼ばれてるよ」

「あ、ああ…」



去り始める悠斗。



次の瞬間。


フワリと抱きしめられた。





ドキッ

胸が小さく跳ねる。



「ちょっと充電」

「えっ…?」



振り向く視線の先には、至近距離にある悠斗の顔。





ドキーーッ


大きく胸が跳ねた。



「…………………」



オデコにキスされた。



かああああ〜っと体が熱くなたのが分かった。




「わ…真っ赤っ赤。ご、ごめん…余りにも藍里が不意に意外な行動したのが可愛すぎて…」


「…いや…私こそごめん…」




私達は別れる。




それから数日後。




「藍里ーー、いるーー?」



私の部屋に悠斗が入って来る。


私は、そうとは知らず、ぼんやりとしながらかな着替え中。





「あ・い・リ・ちゃん」



ビクッ



部屋のドアが開く。




「えっ…?きゃあああ!」


「えっ?わわぁっ!ごめんっ!」




バタン


ドアが閉まる。



《い、今の…もしかして…悠…斗…?》



そして、部屋を出る。



ドキッ

胸が大きく跳ねる。




「ご、ごめんっ!悪気はない!」



と、両手を合わせて全身で謝る悠斗。



「う、うん…分かってるけど…何?」

「あ、出掛けない?」

「えっ?」

「何か予定入ってる?」

「う、ううん、大丈夫だよ」


「じゃあ出掛けよう!」

「じゃあ、悠斗に任せるから私を楽しませてね♪」

「そ、それは勿論!」




私達は出掛ける事にした。



「最近、どう?合コン。あの日以来なんだろう?」


「うん」


「俺達、参加しない方が良いのかな?」


「えっ?」


「俺達が付き合うとか、付き合わないとか関係なく、まずお互いの仲、深めた方が良いんじゃ?」


「でも、本命いても参加する人いるし」


「そうなんだけど、藍里にしてみれば、俺以外って無理なんじゃねーの?」


「…それは…」


「正直、俺は参加しないで、藍里との仲を縮めたいけど?」


「悠斗…」


「まあ、藍里が参加する、しないは個人の自由だし、俺が止める理由もない。でも、今のままじゃ別々の道歩む前に引き止めてたいかな?」


「…ありがとう…」


「つーか、距離縮んでるよな?」


「えっ?」


「藍里、笑顔増えたし、敬語抜きで話すようになったし、名前、呼び捨てって明らかに縮んでるっしょ?」


「気のせいだよ!」


「ええっ!?」



悠斗の反応にクスクス笑う。



「じゃあ…あのデコチューは幻だったのか?俺、誰にチューしたんだ?」




ドキン…

胸が小さく跳ねる。



「あ、あれは!ジコ!」


「ジコ?いやいや…あの時は、マジ藍里が可愛すぎて…」



ドキン…

胸が跳ねる。




「…………………」




「…バカ…」






恋愛の神様は


存在しますか?


もし…存在するなら…


彼との幸せを


叶えて下さい…




私にとっても


彼にとっても


お互いが


必要としている


存在で


あってほしいから……


















 







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