第3話 隣人
カチャ
お互いの部屋のドアが開く。
「あっ!どうも、おはようございます」
隣の住人の男の人だ。
「えっ!?久陵さん!?」
「どうも!奇遇ですね?」
「えっ?待って…!本当に久陵さん!?」
「はい」
「…………………」
「やっぱり、運命なんですね?」
「いや…違うと思います…」
「否定しますね」
「したくもなります!」
クスクス笑う久陵さん。
ドキン…
胸が跳ねる。
私達は会話をしながらエレベーターに移動し、乗り込む。
「改めまして、俺、久陵 悠斗と言います!」
「私は…」
「朝乃 藍里さん。20歳。そして…男嫌い。合コンで2回目だし君の過去を唯一、知ってる悠斗君で〜す♪」
無邪気に憎めない笑顔で言う久陵さん。
「まあ…間違っていないですけど…」
「あっ!敬語抜き!隣人だし、下の名前で。ちなみに俺は、22歳、独身。彼女募集中で〜す♪宜しく!」
「あっ、うん…」
私達は、これを機に少し仲が縮まるのだった。
それから何度か合コンに参加したものの結局何も変わらず仕舞いだった。
ある日の事。
ピンポーーン
インターホンが鳴る。
「藍里ちゃん、いる?」
「はい」
カチャ
ドアを開ける私。
ガクッ
私は何かに躓(つまづ)き転びそうになる。
「きゃあ!」
「えっ!?うわっ!」
ドサッ
私を抱き留める悠斗さん。
ビクッ
「っと…失礼」
慌てて離し、少し距離をおく悠斗さん。
「い、いいえ。私こそ…」
「ねえ、これ観に行かない?」
「えっ?あっ!映画のペアチケット」
「友達がいらないって事でくれたんだけど、どう?無理は言わないけど」
「い、行きます。この映画観たかったんですけど、一人ではちょっと…と思っていたので」
「そう?それは良かった。じゃあ、今日どう?急な誘いで申し訳ないけど都合が悪いなら日を改めて」
「大丈夫です」
「そう?じゃあ、準備しておいで。俺、部屋にいるから」
「はい!」
私達は一旦、別れ、私は準備をした。
そして、
「悠斗さん、準備出来…」
カチャ
部屋のドアが開く。
ゴンッ
私の、オデコにドアが直撃。
「った…」
「あっ!ごめん…つーか、藍里ちゃん、ドアに近付き過ぎ…大丈夫?」
と、尋ねつつもクスクス笑う悠斗さん。
「はい…」
「天然なのか、おトジちゃんなのか…おっちょこちょいなのか…」
「どうなんでしょう?」
私達は出かける事にした。
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