第48話 幸せに過ごす日々
アレクグル王国からデュラレン王国に向けて、何度も抗議する手紙が送られてくるらしい。王国の魔法使いが流出していると、文句を言ってくるそうだ。
デュラレン王国に魔法使いが集まってきているのは事実だが、彼らの意志でここに集まってきた。無理やり攫ってきたわけでもないので、文句を言われる筋合いはないだろう。デュラレン王国も無視をする意向のようだ。それでいいと思う。
ブライアンは王族だが、王国の政治に関わろうとしなかった。他の兄弟達に政治は任せておいて、魔法の研究に夢中だった。私も、彼と一緒に過ごしているので同じく政治には関わらないようにしている。そもそも、他国の貴族なので余計な口出しなどしないように注意していた。
なので、アレクグル王国とデュラレン王国の国交が断絶されても静観する予定だ。最近は、アレクグル王国の内情も悪いようだし。まさか、私が関わらないようにしただけで、こんなに悪化するなんて思わなかった。
その原因の一つとなった、王国で出回っている魔法道具を入手して解析してみた。それを使えば、簡単に魔法道具の性能がアップすると言われているシロモノ。現在、かなりの量がアレクグル王国内で流通していて、どこでも手に入るような商品だ。
調べてみて分かった、とんでもない事実。確かに性能が多少アップするけれども、道具の故障を引き起こす原因となる。これは駄目だ。改善の余地もない。
早急に、デュラレン王国では使用を禁止するように通達してもらった。この道具を使うことが、どんなに危険なのか周知した。手に入れても、絶対に使わないように。
アレクグル王国では、魔法道具の故障が頻発しているようだ。原因は、あきらかにこの性能をアップさせる商品。それなのに、今も各地で使用されているらしい。なぜ禁止にしないのか。私だったら、今すぐに使用を止めるのに。
あの国には、何か思惑があるのかしら。私には理解できない何か。
でも、アレクグル王国の問題はどんどん大きくなっている。彼らは、滅亡への道を進んでいるようだ。それでも、救いの手を差し伸べようと思わない。最後まで私は、見届けるだけのつもり。
それに今は、ブライアンと一緒に魔法を研究するのに忙しい。彼と、魔法の議論に没頭する日々を過ごしていた。
これが、私の望んだ新たな人生。今という時間を、楽しみながら生きていた。
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