第26話 関係の変化
婚約破棄の後、メイヤは私のことを避けるようになった。まぁ、あんな事があったから当然よね。私も、彼女と関わらないことに決めたので好都合だった。
だけどその後、リカード王子との婚約が決まってから、こそこそ隠れて私のことを探ろうとしてきたメイヤ。
勝手に魔法研究室の中に入り込もうとして直前でメイドに止められたり、研究室に設置しておいた魔法道具の警報機を作動させたりした。本当に迷惑な妹。侵入しようとする瞬間は、撮影機でバッチリ記録することが出来た。
リカード王子に指示されたのか、彼のために自分で判断して行動したのか知らないが、魔法の研究成果を狙っているようだ。こんな直接的な手段でくるなんて、愚かな人達ね。
もちろん、お父様にすぐ報告した。
「わかった。メイヤには、厳しく注意しておくよ」
「それだけですか?」
「リカード王子と婚約が決まった大事な時期だ。だから、あまり騒ぎにしたくない。理解してくれ」
「……そうですか。じゃあ、それでお願いします」
そう言って、今回も注意だけで済ませるようだ。どうしても、メイヤを処分しないつもりらしい。これで、お父様に対しての評価を一気に下げた。
いや、その前から随分と評価を下げていたけれど。
少し前、リカード王子とメイヤの結婚を知ったお母様は倒れてしまった。精神的に参ってしまったらしい。
私が婚約を破棄された時から、メイヤの扱いについてお母様はお父様と話し合い、揉めていた。
お母様は、メイヤを罰するべきだと主張してくれていた。修道院に送って、改めて躾けてもらうべきだと。自分は、ちゃんと娘を教育することが出来なかったと。
だけど、お父様は聞き入れなかった。修道院に送るつもりはないと。
その後、リカード王子とメイヤが婚約することを知ってお母様は驚いたのだろう。倒れた後、自室で安静にしていた。
私はお母様のために、気が休まる魔法薬を作って、毎日見舞いに行った。
「大丈夫?」
「いつもありがとう。私は、大丈夫よ」
「なら、良かった」
少し痩せてしまったお母様が、ベッドの上で横になっている。以前に比べて顔色は良くなったけれど、表情は暗いまま。これは何か、気分転換が必要ね。
そこで私は、お母様に提案した。
「このまま部屋に閉じこもったままじゃ駄目です! だから旅行に行きましょうよ、お母様」
「りょこう?」
「はい。私、ちょっと行ってみたい所があるので、一緒に行きましょう!」
「で、でも……」
「旅の準備は、全て私に任せて下さい。お母様は、心の準備だけしておいて」
「え、えぇ」
ということで、強引に話を進める。私はお母様と一緒に、この屋敷から離れるため旅行することにした。
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