第11話 虎視眈々と
翌日から、研究室に籠もって整理整頓を行いながら、魔法道具の開発を始めた。
最初に私が完成させたのは、風景や人の姿、声などを魔力に変換する撮影機と呼ばれていた装置だ。その次に、撮影機で魔力に変換したものを記録するための魔法石を完成させた。
この2つがあれば、過去の出来事を魔力に変換をして、いつでも好きな時に過去を見返すことが出来るようになる。
設計から完成まで、半年近く時間が経過してしまったが。
おそらく十数年後に発明されることになるだろう魔法道具を、私が一足先に実用化しておいた。
開発に成功した魔法道具だけど、どこかに発表するつもりはない。今の環境では、量産することも不可能だから。私が必要だったので、まず最初に必要な分だけ生産。
これを最初に完成させたのは、魔法の研究と実験に使うから。
魔法の実験をする様子を魔法石に記録しておくと、実験内容を振り返る時に色々と便利なので。何度も見返してみると、その時に気付けなかった点を再発見することもある。なので、実験をするときには必須級の魔法道具だ。
それから、もう一つの目的。これを使ってリカード王子の浮気を記録に残しておくためだ。
私は、リカード王子と結婚するつもりはなかった。そこで、婚約破棄を認めさせるための武器を集めておこうと考えた。
未来の私は、この撮影機と記録の魔法石を使ってよく彼を監視していた。この魔法道具で、リカードに近寄ってくる女達を見逃さないように警戒していたのだ。
今は逆に、私とは別の女達と楽しんでもらいたいと思っている。その様子を記録に残しておけば、婚約破棄が近づくだろう。
リカード王子に主導権は握らせない。どうにかして、こちらが有利な条件で婚約を破棄させる。相手は王族なので、下手に動くと逆に私が不利になってしまう。機会を伺い、必ず成功するという勝算を立ててから仕掛けるつもりだ。
最近は、リカード王子と面会する回数も減ってきた。そして、王子と色々な令嬢の怪しい噂を耳にすることが多くなった。かなり楽しんでいる様子。
私が邪魔しないから、かなり満喫しているようだ。婚約相手が居るのに、よくやるわね。
前の私だったら、この状況を見て怒り狂っていただろう。今の私は、特に何も感じない。浮気の証拠が増えていって、嬉しいくらいだ。とても順調である。
リカードの件は、一定の距離を保ちながら監視を続ける。
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