第12話 日常を満喫する
魔法の研究は順調だった。
研究室の整理整頓をして、魔法の基礎からやり直したら、次々と新しいアイデアが思い浮かんだ。未来の知識と、基礎からやり直すことが出来る時間があったからこそ生み出すことが出来た、新鮮なアイデア。
それを詳しく調べて、事実や真理などを明らかにする。実現可能ならば、どんどん実用化して新しい魔法技術や、魔法道具を作り出していく。
この世界で魔法技術が最先端なのは、私の研究室だと思う。
ただ、発表する場がないのが困った。せっかく生み出した研究成果を誰かに聞いてほしい。けれども、アレクグル王国の発展には貢献したくないので、リカード王子や他の王族、貴族に教えるつもりはない。
でも、隠しておくのは勿体ない。誰かに知ってほしい。ということで考えた結果、身近な人達だけには魔法研究の成果を解禁しようと考えた。
身の回りを世話してくれるヘレンや他のメイドたち、毎日の食事を用意してくれる専属料理人のローワン。それから、家族達に色々と教えてみた。
まず最初に、料理人のローワンに調理の技術や魔法で加工した食材や調味料などを渡す。どうにかして、毎日の料理のクオリティを上げてもらいたい。
「わかりました。やってみましょう!」
小娘なんかに色々と口出しされるのは嫌かもしれないと思ったが、ローワンは快く引く受けくれた。
ちゃんと教えた通りに実践してくれて、自分なりにアレンジもしてくれた。屋敷で出される料理は日を追うごとに美味しさを増し、たった1ヶ月ほどで私も満足できるレベルになっていた。毎日の食事が楽しみになった。
今日は、どんな美味しい料理が出てくるのかしら。
それから次に、メイドや執事たちの作業効率を上げるための魔法道具を用意した。その結果、屋敷は隅々まで綺麗になって、毎日着る服の質が格段に上がった。
実際に魔法道具を使ってくれた人達の感想を聞き出し、改善案が見つかったことも良かった。やはり、実際に使ってみないと分からない問題はあるものだ。
お父様には、書類作業のときに使うと便利な魔法のペンをプレゼントしてみた。
お母様と妹には美容効果のある魔法道具を渡して、運動法を伝授した。前の私は、家族との交流を深めようとしなかった。それを反省して、今度は積極的に関わろうと思っている。後悔しないためにも。
妹のメイヤは嫌がったけれど、多少強引に引っ張ってきて一緒に運動した。
こうして、屋敷での生活がとても豊かになった。すごく充実した日々を送ることが出来ている。これで、魔法研究にも集中できる。今度は、何を発表しようかしら。
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