第七話 先生と鬼人族の違いがわからない。誰か教えて!

 先生と肩を組んで戻ってくる鬼人族。おい、確か鬼人族ってプライドが高くって絶対に人と仲良くしないって聞いたんだけど!!


「酒をもっと出せ!!」


再会して一言目に先生がそれを言うのかよ!!


「ほお、その小僧が酒を出してたのか! おら! 酒を出せ!!」


 ほら、真似するじゃん。やだ、この酔っ払いども。


 鬼人族はどうやら酒が好きなようだ。もしかすると、今回の襲撃も酒が原因なのか? いやいや、そんなはずないよな。それだったら俺泣いちゃうんだけど……。


 とにかく、この状況はまずい。外へ逃げよう。窓を開けると二階から飛び降りる。林を生やし(笑っていいんだよ?)無事着地。よいしょよいしょと林を降りる。その隙にまんまと追いつかれたが、地面があるここは俺の得意なゾーンなんだぜ。


「『酒池』」


 スキルを発動させると酒で出来た池に先生と鬼人族が沈んでいった。こいつら、こんな状況でも飲んでやがる。むしろ鬼人族どもが群がってきた。もうやだ、この人達。


 池に顔を突っ込んで飲んでいる先生と鬼人族をシカトして帰るべきか……。いや、このままだと、家まで押しかけられかねない。俺は酒製造機でも肉製造機でもない。一人の人間なんだ!


 うん、俺も若干酔ってるな。なんたって、俺の酒はアルコール度数が中々高い。未成年なので意図的には飲んだ事はないが、先生に渡す為に出す際に、匂いを嗅いでいると、クラっとくる位には度数が高いはずだ。


 この究極的な局面、どうしてくれようか。ていうか、これどうすればいいんだ? 何で模範となる先生達が飲んでるんだよ。むしろ酒盛り始めてんじゃねぇよ。いっそここでキャンプファイヤー始めちまうか? みんなにも俺のスキル見られたし、どうにでもなってしまえばいい。


「『酒池肉林』」


 酒の池の追加と、どうせだから俺の肉がいっぱい刺さっている林を出した。もうグランド一面、酒の池に肉の林だ。それに反応する肉美ちゃん。獣人族より、早いんだけど。てか、怖くて肉美ちゃんに近づけてないよ? 女王様なの?


 枝に刺さった肉を両手に抱えながらこちらにやってくる肉美ちゃん。


「あなた、私の伴侶になりなさい」


 え、まさかのこのタイミングで告白? 顔を真っ赤にして俯きながら意外な台詞を吐くメインヒロイン。肉で落ちるヒロインでいいの? せっかく可愛いんだよ?


 けど、せっかく告白してくれたんだ。この表情、きっと適当に言ってる訳じゃない。俺もそれに真剣に答えなければいけない。

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