第五話 急展開

 そこからの日々は男子と肉美ちゃんに肉を食べさせ、先生にお酒を提供する、自分でもよくわからない毎日になっていた。俺って勉強する為にこの学校に来てるんだよな?


 そんなこんなで今も授業中。先生は俺のあげた酒を飲みながら(本人的には隠しているつもりらしい)黒板に問題を書いている。既に問題がミミズみたいになっていて、呂律もはっきりしていない。問題が多すぎて何が問題なのかわからないところがもう問題だ。


 まぁこれもきっと分析しているのだろうと自分に言い聞かせ、なんて書いているかわからないミミズ文字を、とりあえずそのまま書き写す。難解な古文書でも解き明かしているかのような錯覚に襲われながら書き写していると、隣にいる肉美ちゃんが教科書を立てて、早弁していた。中身は俺の肉のみ。もはや、弁当といっていいのか疑問だが、弁当箱に入れてあるのだから弁当でいいか、と思考放棄する事にした。


「それじゃ~ひょうのじゅひょうはほほまれ。あしもほにひをふへへ……ヒック」


 せめて最後まで言い切ってから出てけよ。そのまま千鳥足で教室を出ていく教師。この学校大丈夫か?


 教師がいなくなると途端に教室内がうるさくなる。そして寄って来る肉美ちゃん。もう俺の虜なんだね☆ なんて可愛いもんじゃない。もう目が肉だ。俺の事なんて肉としか思ってないだろう。


 周囲の男達も俺の肉を狙ってるようだが、肉美ちゃんがいるせいか近寄ってこれない。それ程の覇気を肉美ちゃんは発しているようだ。


 そして肉を献上している内に次の授業のチャイムが鳴る。俺の休み時間、肉を上げてただけなんだけど……。まぁいっか。肉美ちゃんは、肉を弁当箱に詰めると満足気に席へと戻っていった。まぁ戻るっていっても隣なんだけど。


 それにしても先生遅いなー。酔って寝てるのかな?? なんて心配をしていると周囲が騒がしくなってきた。さすがにおかしいと感じてきたのか、みんながざわざわと騒ぎ出す。クラスの一人が廊下の様子を見ようとしたその時。


 ガッシャーーーーン!! っと大きな音と共に、何人もの武装した狼の獣人族と鬼人族が教室へと入ってきた。


「これからこの学校は俺達のものだ。歯向かう奴は容赦しねぇからな。覚悟しておけ」


 どうやらこの学校は占拠されてしまったらしい。

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