第64話 R

ボロスさんが迎えに来ると、すぐに馬車に乗せられて移動になった。

どこに行くのか、行けばわかるよと教えてくれない。

でも、馬車は案外早く、馬の足を止めた。

抱っこしていたスフェルと、ボロスさんに言われて馬車の横を早足でついてきたイオルとキエク、マインと共に到着した場所を見てポカンとしてしまった。

ラスバルさんの家と遜色ないほどに素敵な門構えのお家だった。

門の前にいる女性が、会釈して挨拶してくれる。

「初めまして、お嬢様方。私は、物件紹介業をしております、マチアと申します。お見知りおきを。さぁ、中をご覧に入れますので、どうぞ」

「お願いします。」

マインの言葉に続いて、頭を下げた私に微笑んでマチアさんは中を案内してくれた。

「門をくぐると、前庭、通り抜けて玄関、重厚な面持ちの扉は厚みがありますが思いのほか開きは軽いですよ。玄関を入ると広間と右手に大食堂。多少の集まりならここで十分かと思います。大食堂の奥は、厨房と使用人休憩室勝手口に続いております。反対側左手には、大広間。大きな規模の集まりや集会などにご利用いただけます。正面階段下には、風呂・手洗いなどの水回りがございます。階段を上りますと、正面に向かって右手に2部屋、左手に3部屋ございます。お嬢様方でしたら右手の2部屋でしょうか?左手3部屋は客間か物置きにして頂いてよろしいかと。」

いつ息継ぎをしているのか、わからなかった・・・

マチアさんの説明通りに、しばらく自由に中を歩かせてもらうと、一階には使用人さんと警備員さん用の部屋も小さいが2部屋ずつあった。

小さいと言っても、森の家の自室程はある。

上の部屋を見るのが、少し怖くなった。

お風呂は広く、マインと入っても十分余裕があって嬉しかった。

大広間の大きさに、ここでイオルとキエクが遊べてしまうと少し引いた・・・

正面階段はまるでお城にありそうなほど幅が広く頑丈で、しっかりとした材質の存在感があった。

二階に上がると、向かって右手の2部屋を見に行った。

5人寝ころべる大きさの寝台を置いても余裕がありそうなほどの広さと、奥に衣裳部屋があって、この一部屋で森の家の半分あるような気がした。

マインも、広すぎる・・・と呆気にとられていた。

反対側の3部屋も十分広かったが、前の2部屋に比べたらほっとする広さだった。

一階に降りると、マチアさんがにっこりと「いかがですか?」と目で聞いてくる。

素敵だとは思う、でも・・・広すぎる・・・

「では、お庭を見に行きましょうか?」

マチアさんに連れられて、大広間から庭に出ると何度目かの呆気にとられた。

ラスバルさんの家よりももう一回り大きな庭には、東屋が左右に二つ・獣舎が大中小の3つ・納屋が2つ・小さな林がついてきた。

家の庭に林???訳が分からない・・・

私は、混乱してマインを見たが、マインも混乱しているのか曖昧な笑顔で目が死んでいた。

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