第45話
全員のランクアップが終わったところで、ゴブ太達から報告があるとのことで話を聞くことにした。
「実は最近近くの場所で割と大きな戦闘があった痕跡を見つけました。魔獣や魔物同士の戦いというよりも人間や他の何かと魔物の戦いだったようです。魔法を使用した痕跡も散見されました。そろそろ見つかるのも時間の問題かもしれません。」
それは不意打ちに後ろから頭を叩かれたような衝撃だった。見つかるのがあまりにも早すぎるため自分達が主体でダンジョンに携われる可能性が限りなくゼロに近くなるのだ。それは困る。
「分かった。こちらでも町の方で何か変わったことがないか気をつけることにしよう。ゴブ太達はダンジョンで繁殖したmob達の指揮をして現在進行中のダンジョン拡張工事を急がせてくれ。図案は今までの間に用意しておいたからゴブ蔵がそれを参考に適宜拡張して行ってくれ。最低でも1層 一本道で3部屋と行き止まり用の道、トラップの部屋を用意してくれ。それ以降の1層拡張は任せる。下の階層は緊急避難用にしておいてくれ。」
「わかりました。ゴブリン達の巣はどうしますか?」
「確か今は1層と2層の間の道に散開していたな。そのまま道を伸ばして迷路状にしてくれ、それとスキルを持ったゴブリンmobや世代が進んでステータスが上がったゴブリンをmobは後方に控えさせて2層前に固めろ。前半には最初期のもの達から順に配置するんだ。」
よくある進めば進むほど敵が強くなる方式だな。そして、繁殖したモブは一度生まれたら同じステータスでリポップが可能になるためダンジョンとしての体裁が保てる。しかし、スキル一世代目はリポップしないため二世代目以降でなければ使えない。つまり、剣術を覚えたゴブリンmobは死んだらリポップできないがそのゴブリンmobから生まれた剣術スキルを受け継いだゴブリンmobはリポップが可能と言うことになる。
「それと、ゴブ太達は交互に外に出てレベル上げを行うようにもしておいてくれ。正直ここら辺の敵を相手にしてもレベルは上がりづらいだろうがしないよりはマシだ。」
三人が頷くのをみて俺も頷き返した。
「なら、俺は急いでセーフエリアに戻って街へと帰ることにする。何かあればすぐにでも連絡を。」
俺はそれを伝えると急いで元いた場所に戻った。そこではアーランドさんがのんびりと商品の用意をしながら冒険者達の待機メンバーと談笑しながら値引き交渉に対してのらりくらりと身を交わしていた。
「お、お疲れ様です。何か目当てのものは見つかりました?」
アーランドさんがこちらを見つけて朗らかに声をかけてきてくれた。それを見た値切り交渉をしていた青の空のメンバーの一人も挨拶をしてきた。それにこんにちはと返しながらアーランドさんの方に向かう。
「少し奥の方まで行った所、少し大きめの戦闘痕があったために不審に思ったので身の安全を一番にして帰ってきちゃいました。」
「それは大事な感覚ですね。冒険者として長く活躍して上手くやっていくにはその直感は大きな手助けとなってくれますよ。私はスカウトのライナだよ!昨日は美味しいものをありがとうね。」
青の空のスカウト役の一人で今は待ち番をしていたライナがアドバイスをくれる。
「いえ、こちらこそ儲けさせていただいてありがとうございます。なにか、ご存知のこととかあったりしませんか?まだ駆け出しで知らないことばかりなんですよ…。」
「それはもしかしたらネームドかもしれないねぇ。冒険者でこの森の深くまで行く人は少ない。行ける人たちはいるけど、行く必要性が限りなく低いし最近森の奥まで行って何かをして欲しいと言う依頼が出ていた記憶もない。となれば魔獣や魔物が共食いを繰り返して強化個体となったネームドの可能性が高いと言うことだ。これはさっさと報告しておいたほうがいいわね。」
ダンジョンで勇者から世界を救え!〜繁殖と変異と進化で強いモンスターを生み出せ〜 ヒバリ @mokaryo
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