第25話

 冒険者ギルドを出て街の門へ向かい冒険者ギルドでもらったプレートを門番に見せて魔の森の方向へと向かう。この街は魔の森のすぐ近くに作られた要塞みたいな都市なので冒険者も多くみんなが向かう道が踏みしめられて出来たため迷わずに向かいやすい。


 とりあえずは渡されたリストにあったミナモ草やマルニ草を採取しておく、鑑定してみると


ミナモ草 水が多い土地で良く見つかる。効能としては少しの解毒効果(毒)がある。


マルニ草 そこらへんで生えているが雑草と見間違えやすく無視されがちな草。効能として少しの解毒効果(麻痺)がある。


 へえ、麻痺と毒と色々種類が違う解毒作用なんだ。当たり前か、もし全部に聞くってなったらそれこそファンタジーだもんな。帰ったらこの二つ別々で解毒ポーションとか作れるかな?想像力が刺激されるな。


 そのまま鑑定しながら進み時々見つかる採取ポイントで採取をしながら魔の森の浅い所へと向かっていく。最初はただの平原だったのが段々と森が近づくにつれて人が入ってこないような鬱蒼とした雰囲気に変わっていく。森の入り口に近づくと少しひらけた広場みたいな場所があり休んでいる冒険者もいれば魔の森に入っていく冒険者のために行商の様なことをしている商人もいる。ここは魔の森前のセーフティーポイントの様なものか?


 「こんにちは、冒険者になって初めて来たのですがここってどういう場所なんですか?」


 行商人の一人で手が空いているものに対して話しかけてみる。


 「ここは魔の森に入る冒険者のための休憩ポイントみたいなものだよ。入ってきた冒険者たちが街までいちいち戻るのは面倒だと言うことでここで素材の買い取りを行ったり必要になった物資を購入したり、荷物をおいて仲間に見張らせて交代で入って行ったりするね。勿論ここまで出てきている分少しレートは高いけどね。休む時間の見張りは大体パーティの代表者が話し合って決める。ソロの冒険者は大体その指示に従って見張りをしたりするね。勿論微妙な時間に回されたりすることはほぼ無いよ。大体は最初か最後の方だね。」


 「なるほど、良くわかりましたありがとうございます。情報料込みで普通に忘れた持ち物を入れる袋をいただけますか?」


 毎度ありとニコッと笑顔を浮かべる人の良さそうな商人にお金を払って袋を買い、一応そこに荷物を入れているふうに見せかける用にしておく。他には特に気になるポイントもなかったため魔の森へと足を踏み入れた。


 魔の森は背の高い木々が生茂り、光があまり刺さないため草類の背は低くなっており活動はしやすい。入り口が少し見えなくなるほどに中まで入っていくと、木の元や少し離れたところに薬草と魔力草が生えていた。それらを丁寧に回収しながらいくつか袋に入れ、残りはアイテムボックスへと入れておく。


 いい商売を思いついた。セーフティーポイントで薬草や魔力草を買い取り、そこでポーションを売り出すのだ。レートを上げられることを込みすればボロ儲けである。普通であれば冒険者兼錬金術師をするものなどそうはいないだろう。それを考えればボロい商売である。余ったお金は別として、手に入れた大量の薬草や魔力草で元に作ったポーションよりも大量のポーションを手に入れれば納品依頼も来なせて直ぐにDランクへ上がれそうだし、なんならそのお金でこの街に拠点を構えてもいい。

 拠点を構えることができれば鍛冶場や様々な設備を用意できるし武器などを自分で販売することを考えてもいい。それにダンジョンの土地としてそこを認識、もしくは本体から繋いで仕舞えばアイテムの輸送も簡単だし将来テレポート設備を設置できるかもしれない。考えれば考えるほど悪くはない策なのではないか?


 「よし、楽しくなってきたなあ。」


 そんなことをツラツラと考えながら採取を続けていくのであった。


 少し時はたち袋の中身もそこそこに増えてアイテムボックスの中身も温まってほくほくになってきた頃、近くの茂みからガサガサという音がした為身を潜め様子を伺うとオークが2体彷徨いていた。オークは魔の森の奥地で定住しているらしく浅いところには斥候として何体か送ってきているらしい。


 デトラトゥスが転生する時に覚えさせてくれた知識の中に魔物がどの様なものかという詳しい情報があった。ダンジョン内の魔物については教えてもらったがダンジョン外の魔物については簡単にいうと自然popする魔力が元に生まれたものと、繁殖して生まれてくるものがあるらしい。基本的に両者に違いはなく、狩らずに放置しているとどんどん数が増えて擬似スタンピードが起きるらしい。

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