第24話
朝、朝食を取ってからゆっくりと冒険者ギルドに向かうと昨日よりも沢山の冒険者が集まっていた。みんなでどれを受けるかガヤガヤしながら決めている所もあれば、ソロであろう冒険者が臨時パーティーを募集したり、むしろ入れてくれと声をかけたりしている。
その場から少し離れたところで寡黙に座っている面々は声をかけられる側なのだろう必死になってはいない。その様子を横目に依頼を見てみると新しく追加されたものは街から離れた村への行商の護衛や村の周辺のモンスターの間引きなどである。
基本的には冒険者はモンスターが湧き出るシダリア山脈付近の森に入っていき戦闘をこなして、報酬部位や売れる部位を剥ぎ取り冒険者ギルドに下す。そうすることで日々の生計を立てる。その途中にある所で解決できるクエストなどを受けたり、常時依頼の採取クエストをこなしたりもするらしい。
遠くの街や離れた村への護衛や間引き等は報酬の関係上下の方のDランク上りたての冒険者が受けるみたいだ。その時に組まれる臨時パーティで仲間を探したり、そのままこのような依頼専門で受けることでソロでも活動している冒険者がいるみたいだ。基本的にパーティを組めたら魔の森周辺で活動、組めなければ依頼をこなすみたいだ。
俺は掲示板を少し離れたところから見て常時依頼の薬草 魔力草採取、少し変わった所で鉱石採取等の採取系と魔石やポーション、傷薬などの簡易的な回復手段の納品系があることを確認した。討伐系もいくつかあり、グレーウルフの群れやゴブリン、オークなどの討伐証明依頼もある。オークに関しては肉が買取される。
「ミィスさん、おはようございます。」
依頼受領の手続きを捌いているミィスさんが落ち着くのを待って手が空いた時に声をかける。
「あら、おはようございます。本日はどうされましたか?」
「はい、今日は常時依頼の採取系をこなしてこようと思うのですがオススメの場所や取り方のルールなどを教えていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
「ええ、勿論でございます。採取場所は魔の森の浅い所に群生しております。また、魔の森前の平原にもいくつか採取するものがありますのでリストにして記しておきますね。魔の森前はあまり魔物は出て来ません。
動物が何匹か居ますが無闇に狩らないでください。自然界のバランスが崩れるきっかけになりますので自身に危険が及び仕方なく対処する以外は基本的に無視でお願いします。
魔の森の浅いところにはゴブリンやグレーウルフ、コボルトなどが出ます。大体は2.3体で出て来ますので相手の連携に気をつけながら対処して下さい。無理なら無理せずに逃げ帰った方が安全ですのでムキにならないでくださいね。あ、あと他の冒険者の方に助けを求めるのは良いですが、なすり付けるようなマネをされると犯罪歴としてギルドカードに記録されますのでお気をつけください。」
ミィスさんは、はいと言いながら他にも取れる物のリストを渡してくれた。
「ありがとうございます。無理はせずにゆっくりと依頼をこなして来ますね。」
「いえ、お気になさらず。もし可能であるならばポーションにして持って来て頂けるとありがたいです。勿論素材だけでも良いのですがポーションだと買取価格も上がりますし昨日伝えたようにギルドからの評価も上がります。気に留めておいてください。」
「ちなみにポーション作成する場合は道具を使いたいのですが野外であれば何処でも使用していいのでしょうか?それともそれ用の部屋とかありますか?」
「ええ、ございます。錬金術師の方は作り方を見られたく無いですが屋外でやりたいくない。屋内でやるにも臭いなどを気にするので作業場を錬金術師ギルドで借りたりします。一応冒険者ギルドにも備えておりますのでよろしければそちらをご利用ください。
錬金術師ギルドの高性能な装備よりも少し劣りますが基本的なものは全ております。あちらは年間登録費と仕様の都度料金がかかりますが冒険者ギルドの物は冒険者であればどなたでもご利用可能ですので是非ご利用下さい。その場合は冒険者ギルドに何割か納品していただきたいのですが大丈夫でしょうか?こちらは規定では無いのですが。」
ミィスさんが申し訳なさそうにこちらを見上げてくる。このような顔をされたら男はイチコロだろう。元々そのつもりであったしイチコロにされておこう。可愛い。
「ええ勿論大丈夫です。元々そのつもりでしたのでお気になさらないでください。ありがとうございました。今から向かって来ます。」
「はい、いってらっしゃいませ。」
ミィスさんはニコッとした笑顔で送ってくれた。
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