第23話
爺さんの言っていた契約魔法とやらは、確か…スキル一覧を確認していくとあった。特別魔法の一種のようだ。鑑定をかけてみても爺さんが説明していたものと同じようだ。そこには別に隷属魔法や精霊魔法 死霊魔法といった基本的に契約魔法が元になっている派生魔法がいくつかあった。
今の俺が契約魔法を取ろうとしても取るのは不可能だ。まずスキルの獲得方法が分からない。スキルポイントはそもそもスキルのレベルを上げるためのもので獲得する事は不可能だ。ここは大人しく契約魔法を使える者に仲介してもらうのが吉か?
ピコン!
そう考えているとステータス一覧の右端にお知らせマークみたいなものが追加されメールが来ている。
「やあ!困っているみたいだね!契約魔法に関しては神殿にきて僕のところで契約をするといいよ。特別な契約にしてあげるね。あ、神殿っていうのは光側 闇側 そして他にも各属性の神と戦や生産みたいな感じで多種多様な神の像があるんだ。選ばれた人々はそこで神と通信ができる、やったね!まあ、君は特別、オンリーワンだからね、今こうして僕と会話できてるんだけど笑笑笑笑」
ウザいな。まあ、いいさ、優遇してくれるっていうならそれを利用しない手はない。…それにしても今の俺の思考も読み取っているとか怖すぎないか?やだなあ。
ピコン!
「P.S 心を読んでいるんじゃなくてただ予測しているだけだからね」
それですら怖いわ!
色々と考えていると時間が結構経っていたみたいだ。日も暮れて来ていて下の方が賑やかになって来たようだ。俺も腹が減ったし料理を食べに行こうと部屋を出て下に向かうと階段を降りている最中にとても食欲をそそる匂いが溢れてきている。
「お!今日から泊まってくれるあんちゃんだな!俺はここの店主をやっているラッセルだ!よろしくな!今日の夕飯はパンにスープ、それに今日とれたばかりのレッドボアの肉だ!今からもう食うか?」
横に大きいが脂肪というよりも筋肉といった感じの親父が気さくに話しかけてくれている。忙しく皿を洗ったり給仕をしているのは奥さんと娘さんに息子さんかな?
「ええ、よろしくお願いします。おじいさんから絶品だと聞いて楽しみにしていたんですよ。」
任せとけ!っと言いながらおやっさんは料理に集中し始めたので適当な席を見つけて座って待っておく。地元の労働者達が帰りに寄ってくるみたいで仕事終わりの男達が酒を飲みながら豪快に飯を食べている。冒険者達もそこそこ多くパーティーであろう面々で集まったりして今日はどうだった。明日はどうするなど話しながら楽しそうに過ごしている。
鑑定をかけていくも剣術や槍術 魔法など戦闘向きのものが3.4lvに行っているものが2割1.2lvが4割、何もないのが4割って所だな。これが王都や帝都、ダンジョンがある所だともっとレベルが上がるようになるのかな?まあ、今は警戒しておくような冒険者はいないようだ。
「お待たせいたしました!今夜の料理になります!」
元気よくお皿を出してくれている小学生くらいの娘さんにありがとうと伝えながら料理を受け取る。ごゆっくりどうぞー、と言いながらすぐにまた給仕に戻っていく。
現代ではあまりみなかった光景だがここはファンタジー世界、しかも中世あたりだ児童労働当たり前、むしろちゃんとしたところで働けてる分幸せなんだろうなと益体もなく考えながら肉を一口食べると、自分で焼いた肉よりも断然に美味しく、噛めば噛むほど、程よいスパイスと肉本来のガツンとした美味しい肉汁が混ざり合って絶妙に美味い肉となっている。
すぐにスープを飲むとこれも野菜と出汁がよく出ており体に染み渡るような旨いスープだった。パンは現代のものに比べると劣るのは当たり前だが、硬くなく普通に食べられるレベルのパンだ。木漏れ日亭あたりだな!!!!これであの値段なら全然泊まりたいと思えるいい宿だ。
「ふう。ごちそうさまでした。」
俺は食器を片付けてカウンターに持っていきお礼を言って、部屋に戻りそのまま寝ても良かったが寝る前に身体を洗いたかったので、庭の方に出てウォッシュを使い体を洗って温風を出しさっと乾かして部屋に戻った。
寝る前にダンジョンがどのようになっているか確認しようとステータス一覧のダンジョンの欄からアイテムを確認していると、指示していた通りに薬草や魔力草、鉱石などが少しだが増えている。採取するときは全て取るのではなく半分ほど残しておくように指示を出していた。根こそぎとってそこの生態系を壊したら次からまた取れなくなるからだ。だが、びっくりしたことがある。ゴブ太達によると1週間ほど経った後に元通りになっているそうだ。そこからはあまり気にせずに頼んでいる。
今は薬草そのままと干して乾かしたものを作りたいため乾燥させておくように指示を出している。なのですぐにアイテムボックスに戻すことなく乾燥した薬草がアイテム欄に出てくるまで放置だ。俺は明日は朝から冒険者ギルドで採取依頼を受けようと考えながらうつらうつらとして眠りに入った。
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