第2話 自殺願望の小学生
父の家出の原因は愛人。
家出後に、母に離婚請求するも断わられ続け、そのまま愛人と暮らし始めて、母とは別居。
お決まりのコース。
男は愛人のためなら、可愛い盛りの娘も簡単にポイと捨てられるのだ。
イヤ、最近は女も捨てるな。
3歳だった私には、別居直後の記憶は全くなく、記憶にあるのは母と2人で暮らしていた小学校の頃からの生活。
私は恥ずかしがりで、内向的な子供だったけれど、それは母からの遺伝らしく、母もまた社会に出て働く事さえ出来ない、超内向的な人だった。
その頃のうちの家計がどうなっていたのか定かではないが、充分ではない父からの生活費と、独身で自立していた母の姉の助けで辛うじて生活していたらしい。
当然ながら貧乏で、明日の米がない、学校に持っていく給食費がない、というのが日常茶飯事だった。
学校で貧乏だから給食費がないとか、父が家を出ているからお金がないとかは、母に固く口止めされていたので絶対言えない。
となると、私は「忘れました。」と言うしかなく、忘れてもないのに自分の落ち度だと言わなければならない理不尽に、黙って耐えるしかなかった。
小学校3、4年の頃には、家賃も払えなくなり、伯母の家に2年ほど居候していた。
その頃には私も自分の置かれている状況がほぼ理解出来ていて、父を恨み、母が可哀想だと思っていた。
こんな生活は嫌だ!普通の生活がしたい!と思っても、小学生の自分にはどうする事も出来ず、悔しくて、悲しくて、母に隠れて布団の中で毎夜泣いていた。
橋を渡るたびに「ここから飛び込んだら、死ねるかなぁ?」と思ったのもこの頃から。
ランドセルを背負ったまま、橋の欄干にもたれて、いつも川面を覗き込んでいた。
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