第9話

「久しぶりだな、ロックス」


 どこからか地響きのような声が聞こえた。それに今、ロックスさんの名を呼んでいた。


 「どこにいる、姿を見せないか!」


 巨大な影が近づてくるのが分かった。とても大きい。陰から推測して8メートルはあるだろうか。


 「そんなに声を荒げるな。お前らしくないぞ。お前はいつも冷酷に人を殺してきたじゃあないか。俺の家族を殺した時もなあ。」


 家族を殺された?ロックスさんに?何を言ってっているんだこいつは?


 「非人族のやつも疑問に思ってるではないか。ロックス、お前の口から説明してやれよ。」


 「すまない。家族を殺した?何のことだ?」


 「本当に覚えてないというのか!俺はお前に始まりの戦争で俺が住んでいた獣人族の村をお前に壊された。そして家族を失った。そこの非人族のようにな。」


 「今の話は本当なんですか?」俺は思わず、聞いてしまった。


 「ああ、本当だ。我は始まりの戦争のとき悪魔族の騎士団に所属していた。そして獣人の村を一つ壊してしまった。」


 「なんでそんなにひどいことを?」


 「いっただろう。始まりの戦争とは各種族が己の明日のために争う戦争だ。殺らなきゃ、殺られる。そういう残酷な世界なんだ。今の君にはつらい話かもしれない。」


 俺は悲しかった。この悲しみはロックスさんが村を壊さしたことにじゃない。数多くの人が己のために人を殺さなければならなかった始まりの戦争に対してだ。


 「俺はお前らを殺すため、強くなり十二星剣となった。そしてお前があの場所にいた最後の悪魔族だ。お前を殺して家族の恨みを晴らされる。」


 「お前は素晴らしい人だ。強い精神力を持っている。ただ、一つ間違っていることがある。それは、十二星剣になってしまったことだ。もしお前が悪意のない人を殺していなくても、悪は悪だ!悪いが我も死ぬわけにはいかない。我もお前を本気で殺す。」

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