第4話
気が付くと俺は村の北にある獣人族の町についていた。あの狼男は追ってきてはいないだろうか?奴は主様のために俺を殺そうとし、そして家族を、村の人達の命を奪った。おそらくだが、何か強大な陰謀が渦巻いているに違いない。となると、追っ手が来る可能性が高い。戦うための新しい武器を手に入れ、腕を磨くのが俺のやるべき最優先事項だろう。ただ、ほかの人種の街に入るのは気が引ける。何しろ、俺たち非人族は人に非ずと書いて非人族。まともに取り合ってもらえるわけがない。ただ、入るしかないのは確かだ。覚悟はとっくに決めてある。俺は街に入った。
俺は武器屋に入った。先客たちの冷たい視線が俺に集まる。
「すみません。この金で買える剣をください。」
「何だい。汚いゴミムシが。剣なんて一端のものを。ただ、わたしゃ客には全員平等に接する主義でねえ。売ってやるよ。ほら」
なんだこの婆さん。売ってもらえるのはありがたいが、これが客、いや人に対する態度なのか。生まれてこの方、ほかの人種とは話したことはないが、こんなに心に来ることだとは思わなかった。
「いくらですか?」
「有り金全部の値段だよ。なめてるのかゴミムシが。」
なんだと。それじゃこの先どうすりゃいいんだ。宿泊代もなくなるし、鎧や食べ物だって買えないじゃないか。ただ他をあたったところで話してくれないだろうし、ここで買うしかない。
「わかりました。その剣をください。」
「まいどまいど。あんたは話が早いねえ。」
俺はこうして剣を手に入れた、しかし宿泊代がない。野宿する場所を探さなくては。店を出ようとした時だった。
「また行方不明の女の子が出たらしいよ。
「気味が悪いですねえ。まるで非人族のようにね。」
この街にも何か邪悪な気配を感じる。おれはそう確信した。
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