6.【恐怖の洞窟】

「ど〜すんだよ!!眼前には魔物で、ここの結界を急いで張らないといけない!!原因は何も掴んでいない!!」

「仕方ないでしょ!!女神っぽいことはつい口に出ちゃうのよ!!職業病よ!!」

「まじダルなんすけど〜。ていうかウチカンケーないんで帰っていいっすか?」

「「お前もなんか考えろよ!!」」

「ヒャ〜ハァァァアァ。もっとやれ〜!!妾は呑むぞ〜。」

「「衛生兵!!この酔っぱらいに解毒!!」」

「どうする!?どうなる!!どうしたら!!」

「私天界に帰ったらちゃんと女神するんだ・・・」

「死亡フラグ立てるなぁぁ!!ていうか今お前男じゃあねえかぁぁぁ!!」


 謁見の間で騒ぐ四人はとにかく一旦落ち着くことにした。

「いいか。

 まず予言で予め結界が崩壊することがわかっていた、そして現在結界が崩壊して魔物が入ってこようとしている。

俺たちはここの軍が魔物を防いでいる間にこの結界を直さないといけない。」

「そして軍は敗れ・・・」

「妾たちも・・・」

「何ネガティブ思考で黄昏てんダァぁ!!」

「妾の見立てではこの結界は燃料切れを起こしているのだと思う。何かに壊されたわけでもなく、前触れもないことから何かが足りなくなったとか。」

 女神が笑いながら言う

「ていうか予言書って曖昧じゃない〜。最初に何が起きるか書いておけって感じ。そもそもここに私たちが現れることなんかわからなくない?説明書でも置いといてよって感じ。」

ハバキが予言書を見ながら呟く。


「ていうか〜これワンチャン説明書的な〜。」


「「「え?」」」


「『予言書』はこの国が創設される時に記された確実な未来を記した書であるって王様言ってたじゃん。

国が建国した時から分かりきってるってことは数値とデータがあったってことでしょ。

多分書き換えられたり暗号にしたりで文章が少し変えられて『説明書』から『予言書』になったんじゃね〜。

『神の御使が現れし時に最厄起きる』=『御使様が現れるくらい長めの年月で結界切れるよ』」


「たまにいるよな超有能ギャルキャラって。」

「証拠はあるのかの!?出鱈目だったら許さぬぞ!!」

「だってここに結界の構造書いてあるし。」

予言書の表紙は中央に光で溢れているこの都市の外観が描かれて、その周りは古代の文字が装飾みたいにびっしりと書かれている。


「王宮と街の間になんかキラッキラのダイヤモンド描いてあるじゃん。

これ発生源だし、周りの文字はオシャレ文字じゃなくて説明文。」


「・・・ここの学者何してたん。」


 説明文通りに玉座をどかすと地下へと続く階段があった。

「それで?ここからは道のりでいいのか。」

「いくつか試練があるとかないとか。」

「我に任せておくが良い。我が覇道の前に立つものなどことごとく粉砕してくれるわ。」

「女神・・・キャラ変わってきたんじゃね。」


 地下道を進むと広い大広間が出てくる。広間の中央には巨大な金属の像が立っている。

すると周りのスピーカーから馬鹿でかい音声が聞こえてきた。

「ハロー!!ここに足を踏み入れたチャレンジャーよ。トイレ入ったかい?歯は磨いたかい?お祈りはしたかい?

この恐怖の洞窟に足を踏み入れて帰ってきたものはいない!!覚悟はできてるか〜い!!」

「なんだ〜このアトラクション前の放送的なやつは!!」

「さあみんな一歩前に出るんだ!!」

前に出る

「目を瞑って腰をかけて!!」

目を瞑って突然魔法で出てきた椅子に腰をかける

「安全レバーを下ろすからしっかり握ってね!!」

安全レバーを・・・・ん?

「それじゃあいってらっっしゃぁ〜い!!」


ガコン


 次の瞬間地面が落下した

「「「キャァァァァ〜」」」「あの石像関係ないんかぁいぃいっイィ一イィ!!」


 すごいスピードで落下していく途中で街の風景が一瞬見えた。

あと女神だけ安全レバーが降りてなかった。

「死ぬ〜!!死んじゃう!!助けてぇえっぇ〜!!」


バッシャン


 水飛沫を立てて着水する。そのまま水流で流されていく。

「し・・・死ぬかと思った。」

「女神は?」

 女神は水面に浮かんでいた


「ここは魔物の洞窟。気をつけろ!!いつ奴が襲ってくるかわからっーギヤァぁぁ〜!!」

何だかわかりやすいアナウンスが入る。

女神の周りにギザギザのとても大きいヒレが見え隠れする

「えっ!!なになに!!」


バシャン

「・・・・」

 女神とそれが見つめ合う。 

女神の目の前から飛び出したのは5M以上はあるでかいピラニアみたいな魚だった。

ガチンッーン ガチガチ

 目の前で歯を鳴らす魚


「ギヤァァーーッットマッワバビッッメッバッチョったっべバビッえぇぇェェェ」

(ギヤァァァァっっちょっと待って女神よ私!!食べないデェぇぇぇぇぇぇぇぇ)

 華麗な犬かきだかクロールなのかよくわからない気持ちの悪い泳ぎをしながらこちらに逃げてくる女神

それを右に左にガチガチと歯を鳴らしながら追いかけてくる巨大魚。

「やれぇぇ!!そこだ!!右ぃぃ!!」

「チョォォあんたアトベオボエナバババイボー!!」

(ちょっとあんた後で覚えておきなさいよ!!)

 女神が浮かんでいる乗り物に追いついて手を掛ける


ザバァァァ

 魚が飛び上がり乗り物全体を影で包み込む


「「「「ギヤァァァァ」」」」


すると乗っていた全員が何とも言えない浮遊感に襲われる。振り返ると川の続きがない。

「「「「ァァァァァァァァ」」」」


 魚は頭上を飛び越えていき、乗り物は落下していった先にあるレールに乗っかった。


ガンッ シャァァー ガタンガタン

 派手な音を立てて乗り物が着地すると女神の体も上下にはねる。振り落とされまいと必死に並走する。

「ちょっと!!誰か助けなさいよォォぉ!!!」

「女神様安全レバーで動けません。」

「ちょっっ足がやばい!!ハッテャッ死んじゃう!!」


 目の前には突然の急降下、からの急上昇


「「「わぁァァ↓おぉぉォォ↑」」」「ぶべべべべべ↑ぐぬぬぬぬ↓」


 左右から火柱が近づいてくる

「「「キャァァァ暑い〜!!」」」「焼けるぅぅっぅ!!暑い熱い!!」


 キィィィィ

元いた広場に戻ってくる。

「おぉチャレンジャーたちが戻って来た!!君たちが初めての帰還者だ!!我々は再挑戦を待っているぞ!!」

「二度とくるかボケェぇ!!」


 乗客三人は満足と面白さで満面の笑み、一人はこの世のものとは言えないくらいの憎悪を表した顔になっている。

「えっと次は石像を見ればいいのか・・・えっと。」


「『この先を進んで開けた場所の中央の床にバッテリーがあります。』」


「電池かい!!」


次回 迫る王国の危機  ケンジャの指輪の真の力を解放する

   予告でネタバレ? いやいや大丈夫

   次回 俺に力をォォォォ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る