2.【従者の制服】
僕たちは何故か人力者のようなもので二人並んで運ばれていた。
目の前のミノタウロス「ミノス」さんはこの部隊の偉い人らしいけど目の前で爽やかに笑いながら僕らを運んでいる。
一本に伸びた石造りの街道の周りには禍々しい草木でいっぱい。
頭上には恐竜図鑑で見たプテラノドンっぽい龍が群れで飛んでいて、周りに生えている植物は食虫植物をでかくした様なもの壺みたいな草から足みたいな・・・
「あ“ぁぁ足だぁぁ!!ハバキさんあれ人ですよね!?食われてますよ。」
「ああ、あれは食人植物だったものだ。ここらへんのやつは俺が改造してインフラに使った。ちなみにありゃ風呂だぞ。」
「●神家かぁい!!どんな入り方だよ、窒息死するわ!!半身浴のレベルじゃねえ!!」
足を引っ込めたかと思ったらちょっとヌメヌメしたおっさんがはぁはぁしながら上半身を出した。
見なかったことにしよう、あれ絶対日本人だ。バーコードだし。
「お二方どうですか?勇者トラップに異常ありますかい?
言われた通りにあのツボバナに瓶詰めの冷えたエールを置いといて、そのあと温泉流し込むんでんですけど・・・」
「どんな体勢でビール飲んでんだよ!!てかミノスさんやっぱ行き先って・・」
「魔王城ですよ〜。ちなみに私はここの第一関門の守衛をやってますよ。」
「ミノスはここの師団長の一人でここまで到達された時の第一関のボスだ。てかミネオ怖いのか?魔王が?」
「だって魔王ですよ!!前も言ったけど僕一応勇者の補欠ですよ。いわば物語的にはラスト辺りに来る場所でしょ。絶対おかしくないっすか?あっミノスさん見逃してくれたら嬉しいな〜。」
ミノスは見た目に合わない爽やかな笑みを浮かべて僕を見る。
「ミネオさんは仮に勇者だとしても歓迎しますよ!!だって他のとは違いますから。」
すると脇の茂みから金ピカの鎧に包まれた男が出てきた、女の子を3人侍らせて
「俺の名はユウヤ。そこの魔物よ囚われている人間を解放しろ!!」「きゃー」「かっこいい!!」
うわぁ〜こいつはきっと素質があって何かしらの能力とかもらってんだろうなー。
羨まけしからん。でもそりゃ女の子3人に囲まれたらああなるわな〜。
懐かしい〜俺の学生時代唯一のモテ期、一週間で終わったけどこんちくしょう。
「ミネオよ〜くみてろよ。ミノスは対人戦闘に関しては最強だ。」
ミノスは人力者をそっと置いて勇者の前に歩みでる。
「貴様が望むのは平和か?それとも蛮勇か?第一の関門の番人ミノスに答えを聞かせよ。」
「決まっている!!お前ら魔族を滅ぼしっー」「きゃーユウッー」
勇者一行が話している途中でミノスが猛スピードでぶつかっていく、勇者一向は先ほどのツボバナに頭から入り温泉を入れられる。
「ぐバァオボぼぼぼぼ」
「あいつら毎回同じこと言うんでちょっとノイローゼ気味で、途中で話切り上げるんですよ。ていうかどの角度で飛ばせば壺に入るかわかるんでもはやただの作業ですよ。」
どこか遠い目をしている彼に心からの親近感と敬意をこめてこう言った。
「いや!!やってること●んゴルかい!?でもありがとう、そしてお疲れ様です。」
◆
【謁見の間】
謁見の間に通されると真ん中の方まで歩いていく。
するとミノスさんが玉座の前で跪いた。僕とハバキはそのまま立っていた。
ミノスさんが魔王からそうするようにと言伝されたかららしい。
「魔王様、鍛治師ハバキ殿と勇者補欠のミネオ・ヤマザキ殿両名を連れて参りました。」
ミノスさんが僕らの前で跪く。
すると何故か他の幹部?ぽい感じの人たちも元々案内に付き添ってました感を出して横にしれっと並んでくる。
こちらから見えない玉座脇の通路から・・・俺の第六感が今すぐ跪けと命令を出してくる。
玉座の前に立った女性は黒髪に水牛の様な角、首元に黒いファーがついたマント、おおっとここからが本題だ。
全身黒い革で統一されていて蹄のような厚底ヒールにそこから黒く長い靴下か?タイツか?
広がる絶対領域、何故かミニスカでピチッとした黒の競泳水着的な脇腹部分が空いたインナーだが脇から上が短い黒いシャツだ!!
目の前のこいつらが跪いたのはっ!!まさかっ!!
「表を上げよ!!」
俺も幹部も歴戦の戦士のような顔で顔を上げる、一瞬チラリズムで見えるガーターッ
「魔王様ー、目の前のこいつら覗いてま〜す。」
「「「「「「「ハバキッ、貴様っ謀ったなッッッッ」」」」」」」
「キャァぁぁはははは、は破廉恥です!!メッ」
放たれた黒い球体とその恥ずかしがり方で幹部と俺は魔王城の謁見の間の地面に人型を残すことになった。
◆
その後すぐに執務室に案内されて、茶会のような感じで商品の納品が始まった。
僕と出会う一週間前に依頼されていたらしく、とっくに完成させていたらしい。
僕は知らなかったけどハバキはアイテムボックスを持っているらしく男女の制服が出てきた。
「はい、こいつがデザイン通りの幹部と城内の従業員の新しい制服、あんたのスキルで複製できるだろう。」
「まぁ素敵〜。これが報酬のタクルス金貨500万枚」
「500万枚!!もう一生あそんで暮らせますね〜」
ハバキが大きな麻袋を受け取ると僕の肩を掴んで魔王様と反対方向へ顔を向けた。
「じつわなこの金貨・・・使えないんだよ。」
「は!!・・・・(小声→)なんでですか?金貨ですよ。金としての価値だけでも・・・」
「(小声+早口)呪われてんだよこの金貨。
ここの金貨全部龍王の貸金庫から引っ張ってきたもので、龍の呪いがかかってる。
魔王国建国の借入金で、利子が半端ないのに魔王が返すの忘れてるからここで作る金貨も借りてた金貨例外なくある呪いがかかってる。
『その金貨持つものには龍族総出で金品を差し押さえる呪い』市場に流れちまったのもいくつかあるけど持ってるだけで竜に襲われる。」
「どこのヤクザですかっ。」
「あの〜よろしいでしょうか?次の依頼についてなんですけど〜。」
「は〜い私ミネオがご相談承ります。」
魔王と言うよりもどこかの貴族のお嬢様のような印象に骨抜きにされた僕はまだ気づいてはいなかった。いや、気づかないフリをしていた。これは俺が幸せになるロマンス物語ではないことを。
「私の個人的なものなんですけど・・・、ずっと夢に女神様が出てきて困ってるんです。
悪気はないと思うのですけど少し他の夢も見たいな〜。
とか思っちゃって・・・その・・一時的にその・・・女神様におかえりいただけるものを作っていただけますと嬉しいのですが。」
俺は確信したッ!!必ず、かの暴虐邪神の女神を除かねばならぬと決意した。『俺はメ●スか!?』
次回 語られる魔王と女神の出会いとこの世の真実。暴かれる魔王の衣装の謎。誰がこんなデザインをー
ハバキの出番はまともにあるのか!? というかいつになったらちゃんと鍛治するのか!?
次回はセキュリティ問題を解決 立ち上がる機動メイド!! 君は絶対領域を見ることができるのか・・・
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