1.【キの棒】
「おぉい!!ミネオ!!オマエ俺の燻製肉食いやがったなこの野郎!!
いつもいつも食べたい時に限って・・・ お前ゆるさねぇ!!」
「それはあんたが俺のパンを食べたからでしょうが!!おあいこです〜!!
別にあなたに許してもらわなくても財布を持っているのは私です。
野垂れ死たくなかったら次から人のパンを食べないでください〜。」
街の酒場で言い合う二人は他の客から注目されていた。一人はスーツに黒髪の男、もう一人は赤い髪に白い白衣の青年がお互い睨み合っていた。
赤髪の男がカバンから木の棒を取り出す。
スーツの男は距離を取る寸前に赤髪の男の皿から目玉焼きを盗み食っていた。
「あんふぁ、武器はずるいでひょう!!暴力反対!!この人でなし!!」
「うるさいうるさい!!俺の肉と目玉焼き返せ!!」
木の棒を垂直に構えると赤髪の男の頭上に4つの木の棒が現れた。
「いけぇぇ!!『キの棒』!!この不埒ふらちものに天誅てんちゅうダァぁ!!」
「なっ!!その武器ズルないっすか!!」
店の中を走り回る男、それを追いかける4つの木の棒は男の局部に狙いを定め・・・そして・・・
「ぎぃやぁぁぁぁあっぁァァァ」
◆
目が覚めると目の前にはこの世の者思えないくらい美しい女性が立っている。
「ここは剣と魔法の世界オルタネイト。
あなたにはこの世界を魔王の手から救い出してほしいのです・・・
が、実はこの世界はとても危険な世界で何人もの勇者を送っているのですがいまだに魔王は倒せていません」
つまり俺はこの危険な世界に送り込まれる勇者の一人って言うことかっ、お決まりのチートが
「でもあなたにはあんまり力が無かったのでベンチに入ってもらいます。」
「野球か!!わしゃ補欠かぁ!?」
「今送り混んだ勇者は11人ですよ。何を聞いているんですか?早くベンチに着いてください。」
「そりゃサッカーだわ!!初耳だわ!?何この女神!!」
「」
「」
「はぁはぁ、さすがね『常識に囚われたツッコミニスト』侮れないわ、この私にツッコミを入れるなんてッ!?」
「何その中ボス感!!ちょっとなんですかその変な称号。」
「ステータスを見てみなさい、私が追加した称号です。ほらご一緒にやりますよ。」
「何この頭おかしい女神!!えぇー、えっと何を」
女神は手の薬指と中指を折り込んで天高く拳を突き上げたー
「ステータスオープン」「いや!!なんでそこだけ棒読みなんですか!?」
目の前に透明の板が出てきた。『いや、俺言わんでも開くんかい!?』
『
「ヤマザキ・ミネオ 24歳 :勇者補欠」
称号 :『常識に囚われたツッコミニスト』:うるさい程ツッコミを入れないといけない。でもセンスは・・・
スキル : 『話術』Lv.5 『交渉術』Lv.5 』 『情景反射』ツッコミに限りLv.3 』
「ゴミじゃないっすかっウケるんですけど〜。」
「あんたが言うな!!えっでもこれで今から女神が危険っていう世界にー」
「時は満ちた、我が右目に宿し偉大なる神の目ゴッズ・アイ、が貴様の内なる力をこの世に権限しこの世を救
済せよと疼きおる・・勇者よ旅立つが良い我が封印が解かれぬうちに!!」
「あっはい。」「ここは突っ込めよ!!」
足元から体が透けていくー今日から俺は転移勇者・・・補欠だ!!
「ねぇちょっと!?突っ込みなさいよ!!このままじゃ厨二病女神になっちゃうじゃないの!!ねぇー!!」
消える寸前に顔面真っ赤で髪を振り乱す女神を見たと思ったけど気のせいだ、あれは妄想だ。
その後荒野で野垂れ死そうになった俺と同じく金がなくて野垂れ死そうになった鍛治師が、生き延びるために必死で武器を売り捌いて食い繋いだ。
◆
そして、現在に至る。宿屋で泣きながらスーツのズボンの股を縫いながら、昔のことを思い出す。
「で?次はどの国に行くんすか?俺こんな見た目だけ若いおっさんとむさ苦しい旅するの嫌だっすよ。」
「ああ次は予約がある客だし、ここに迎えが来るから。あと喜べ次は女がいっぱいの国だぞ?」
「旦那一生ついていきやす。」
「来たみたいだ。」
宿の窓から外を見ると空は真っ黒な雲で立ち込め、衛兵が街の入り口に集まって陣を敷いている。堅牢な扉が粉微塵に破壊され、そこから骸骨やオークが綺麗に整列したまま入ってくる。
兵たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、市民たちも悲鳴をあげて逃げ出した。その軍列が窓の前でピタリと止まる。
骸骨の一匹が声を張り上げる。
「『ハバキ』御一行!!魔王軍第一師団がお迎えにあがりやした〜。」
「いや!!いきなり魔王なんかいぃぃっぃぃ!?」
次回 主人公が訪れるのは右も左も魔物だらけのどでかいお城
女の影なんてありゃしない
怖い廊下に荘厳な門、さあ待ち受けるのは一体何王なのか?
最終回にはまだ遠いぞッ さあ立ち上がるんだ勇者補欠!!
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