第13話

8月20日金曜日。


小説を投稿してから、二週間以上が立っていた。


出版社のホームページには応募本数が多すぎて、審査期間を延長すると書いていた。


そう応募数は六千本。ネットからの応募か可能なので、地方のほうからも来ている影響もあるのかもしれない。


そこから一次審査で十分の一以下に絞られる。そこから二次や最終選考と次々変わる。


その途中の審査の結果は、今回訳があって後悔しないで、そのまま最終選考だけが発表される。


 なので、これまでの二週間緊張しながら結果を待ち続けていた。


 この二週間毎日変わらない日常をすごした。 


 蒼との同居生活は順調に進んでいる。


 AOIカンパニーのブログサービスを使用して、書いた料理ブログはアクセス数が増え今ではフォロワー数は、一万人を超えている。


 ウナギ店で書いた記事が反響が出てきて、短く書いているほかのブロガーと違って長文で詳しく書かれている。


 記事の中で食べた料理は、蒼が毎回連れて行ってくれたところばっかり。予約しないと食べれない飲食店なども書いているので、その影響でほかの人と差別化ができている。


 自分が自炊した料理の記事も載せて、料理の知識はある程度得た。


 今では、料理のインフルエンサー的存在になっているので、色んな所から宣伝してほしいと連絡が来る。そこから、蒼のアドバイスをもらい仕事をしている。


 小説はまだ出すことはできないけど、料理本を出さないか出版社から連絡が来ていた。


 今は、その本について作っている最中でもある。


 勉強は昔からできていたので、食材一つ一つに向き合い、健康的で栄養のある食事レシピを目指して書いている。


 大学の専攻でカメラの撮り方のような授業を受けていたので、写真の技術もたまに褒められたりしている。


 今のスマホは、一眼レフに近い写真まで撮ることができる。


 月収は一人暮らしできるぐらいまで稼ぐことができた。もっと早く仕事を辞めて今の仕事をしたかった。


 それでも、蒼との同居はやめたくなかったので、今でも続いている。


 蒼もそうしてほしいと言ってくれたので、僕的にも今の仕事があるのは蒼のおかげなので、日常でサポートできたらよいと考えている。


 こうして、家で家事をしながら料理についての記事を書くことが今の日常。


 「おはよう。」


 「おはよう。」


 今日も朝が始まった。


 蒼とは、起きる時間が毎回一緒である。


朝五半時に同時のタイミングで部屋から出る。


そして、二階から一階に行き一緒に歯を磨く。


それからは、僕が朝食を作り。蒼がソファーで読書をする。


朝食を作りながら、料理のメニューををブログに書くため写真を撮る。


今となったら、料理本を片手に持ちながら料理をしなくても調理できるようになった。


味も日々改善をしていく日々は昔とは変わらない。


いつも満足そうに、朝食を食べて会社に行く。


この日は、蒼は休みをしていて、一緒にゲームをすることになった。


そのゲーム機は、夏祭りの日に射的屋の景品でゲットしたあの賞品である。


あの時の射的技術は今でも鮮明に覚えている。両手に銃を持ち同時にゲーム機の的に的中した。


その時の店員の顔は驚いていて、景品を渡すときも顔が引きずっていた。


最近蒼は仕事で忙しかったので、リラックスするのもかねて子供の頃のように一緒に遊ぶ。幼稚園ぶり。


最新型のゲーム機はテレビにさして簡単に操作ができる。


ピッ!


テレビをつけるとニュース番組が流し始めた。


「今日のニュースです。HJ文庫の選考結果がやっと出ました。」


今回の小説賞は、受賞作を確実に書籍化するとのことなので、SNSやウェブ上で和才になっている。


しかも、携帯小説に投稿している作品も応募できることなので気軽に参加することができる。


それが。ニュースで結果発表することに驚いた。


番組はランキング形式でゆっくり結果を言い始める。


出版が決定する受賞枠は三名いる。そこに最優秀賞が加わって合計四名。


名前の欄には見えないように、シールが貼ってある。


「受賞作は一気に公開します。」


薄目で作品を見る。


モニターに映し出されたのは、


【受賞作】

タイトル:無職の俺が異世界に行っても無職 

ペンネーム:NO JOB


 タイトル:異世界転生したら、フリーターになった

ペンネーム:フリーター


 タイトル:ダンジョンの地下でアルバイトをする

ペンネーム:パート


 この中に僕の名前はなかった。


 「異世界物が受賞してるね。」


 受賞のタイトルから見ると、すべてが異世界系だと想像できた。


 恋愛要素も入っているのかもしれないが、タイトルから見ると戦闘物が多い。


 過去の受賞作は、恋愛ものが受賞もされていたが、ここ数年はジャンルが急上昇自体世界物が人気がある。


 僕が書いているのは、恋愛もの。しかもそれは学生の間の恋愛ではなく、設定されている年齢は社会人である。


 ジャンルは学園ものではなく、ラブコメに入るのかもしれない。


 文庫の年齢層は、中学や高校生の未成年たち。そんな人に共感できるのか心配になってきた。


 「それでは、最優秀賞の発表をします。」


 アナウンサーはゆっくりとシールをはがす。


 「いったんコマーシャルです。」


 CMが入り、結果は後になった。


 蒼と僕は、一緒にテレビの画面を見ていた。


 本初のゲームをする目的を忘れて、結果を待つ。


 「大賞作品はなんだろうね。やっぱり異世界物かな?」


 「そうなかもね。」


 苦笑いしながら返事した。


 ホームページには、多分結果は掲載を完了しているだろう。


 けど、検索してみる勇気がないので、ニュース番組の結果を待つことにした。


 コーヒーやビール、車のCmは頭の泣きには入ってこなかった。


 さっきから手からは、変な汗が出ている。


 「やっとお待ちしました。」


 続いて最優秀賞を発表する。


 【最優秀賞】

 タイトル:会社を辞めたら、男だと思ってた幼馴染と同棲する

ペンネーム:RIKU


これを見て僕は夢だと思ってしまった。


何回を目をこすったり、皮膚をつねってもその映像は変わらなかった。


「やったー!」


うれしすぎて思わず叫んでしまった。


「これってまさか…。」


蒼は僕の反応を見て感づいてしまったのかもしれない。


なので、ごまかすこのに決めた。


「この作品は…。そう、ネットで見たことある作品だったから、応援してたんだ。」


少しきつい言い訳だったけど、今回の賞はウェブで応募している作品を観覧すること

ができる。なので、この理由もあながち間違いでもないかもしれない。


 自分の作品なので、応援もしている。昔からうそをつくと顔に出てしまうが、今回は出たないと思う。


 「そうなんだ。」


 リモコンを取ってゲームの画面へ切り替えた。


 まさか、受賞することができて、それが対象を取ることができるなんて、驚きを隠せなかった。


 その後のゲームはうれしすぎて、プレイに集中できなかった。


 でも、蒼とのゲームは夢中に遊ぶ。


 やっとこのストーリを世の中に発信できる、そう考えると顔がほどけてきた。考えていた悩みやストレスなどこれまでに起きた最悪なことなんてどうでもなよくなってしまう。


 その日は一日中蒼とゲームをした。


 この日々が続いてほしい。


 永遠に。

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