第九話


同居生活三日目に突入した。


寝ているときに夢の中では、何か良いエンディングを迎えるこのができた小説のスト

ーリーがあった気がするが、思い出すことができなかった。


確かなんかのイベントがあってそこで軟化したはずなんだけど。


そう考えながら、朝五時半に起きて歯を磨いていた。その隣に蒼が歩いてきた。


「おはよう。」


「おはよう。」


朝起きたばっかなので、低い声が出てきた。僕の横で蒼も歯を磨いていた。


鏡越しで見ると蒼はやっぱり女子に見える気が少ししてきた。小説を書いている影響もあるが、いつもとは見た感覚が変わっている。少しずつ意識をし始めてしまった。


「何考えているんだ。」


自分にツッコミをして考えないようにした。


歯を磨き終わると朝食の用意をした。昨日昼ご飯を食べるときに、料理は分担して作ることが相談して決まった。


僕はみそ汁とご飯を作り、蒼はメインの料理を作ることになった。


昨日も作ったことがあるので、料理工程は頭の中にダウンロード済み。蒼は料理が手馴れているから、効率よく分担できて朝食は一瞬で完成した。

今日の朝食のメニューは、蒼がトマトときゅうり、レタスのグリーンサラダと目玉焼き。僕が、みそ汁とご飯を作った。


ご飯はやっぱりもちもちのほうが好みだったので、今日はもちもちにした。


手を合わせて。

「いただきます。」


箸を取り食べる。目玉焼きは真ん中が黄色黄身で、きちんと分かれて、グリーンサラダは、シンプルに作れてしかもおいしかった。


「今日の味噌汁なんか味が違う。」


僕が、作ったみそ汁は、昨日の晩に母親に連絡して具体的な作り方を教わった。なので、今日の味は一味違う。


「そういえば今日、夏祭りだっけ。」


「そうなの。」

夏の名物イベントの一つ夏祭り。色んな所で開催の時期が違ったりするが、今日近所で夏祭りがあるらしい。


「夏祭りか…。ひさしぶりだな。」


夜に行くことに決めた。


幼稚園の時に一回だけ一緒に夏祭りに行ったことある。その時にやらかした色んな黒歴史をしゃべりだす蒼に僕は、笑いながら朝食をとった。

今となったら、懐かしい思い出だ。


ついでに、小説のラストシーンになればいいと考えていた。

そこで何かアイディアがあれば取り入れて、できるだけノンフィクションにしたいため、何かイベントが発生したらいい。


今から楽しみになった。

「今日仕事がお休みだから、着物試着しに行かない。」


蒼は今日休みだったので、朝食後に着物を試着しに行くことにした。

夏祭りだとやっぱり着物が良いらしい。蒼は、自分の浴衣を持っていたので、僕のを借りるために出かけることになった。


ついでに昼ご飯も外で食べる。浴衣屋さんの付近に美味しいウナギ屋さんがあるらしい。その店は、創設して六十年以上の名店で、テレビや雑誌での取材が前に見たことがある店で昼ご飯を食べる。


自分の出かける仕度をして、蒼の車に乗った。


「行ってきます。」


確か今日の天気予報は一日中晴れなので、雨で祭りの花火大会が中止になることはない。


雨だと、祭りが延期になったりするので今日の天気はお祭り日和だ。家から出て車に乗るまでの距離で、もう汗が出てきた。


「今日も暑いなぁ。」


今日も猛暑が続いている。なので、水分を定期的に摂取して熱中症対策を取る。

この天気で、歩いていたら数時間で熱中症になる確率は高い。車の中には、エアコンがあって涼しい風が出てきている。


駐輪場が家の中で室内にあったので、入る前に太陽で車の中で温められられることはなかった。昔に乗っていた車で、外に止めた時に太陽の日差しを浴びた車の中はサウナのように熱い。


快適な車の中でドライブしながら、祭りで着物を着るために着物屋さんがあるところまで向かった。


「蒼は着物を持っているのか。」


「黒が好きだから黒色のきものだよ。」


黒の着物を着ている蒼を想像するとやっぱりかっこよく感じる。蒼の身長は172センチで、僕より8センチ低いけど、身長以上にほかの魅力があるので、身長なんて関係なかった。


幼稚園の頃は僕のほうか小さかったので守ってくれたりしていた。勇敢で、いつもお兄ちゃんみたいな感じで慕っていた。兄貴的の存在だ。


「一生ついていきます、兄貴。」


その言葉を聞いてあきれた感じで笑った。


「何言ってるの。」


たまに見せる可愛い姿と、かっこいい姿にギャップが感じる。こんな彼女がいたらどれだけよかったのだろう。


この気持ちを小説にするために、スマホでメモをした。これで夜の祭りで何かが起きれば小説のストーリーは完成まで到達できる。


今もまだ、ハッピーエンドの理想形が浮かんでこなかった。自分が言うのもあれだけど。今まで書いてきたストーリーの前半はものすごく良い出来だと思っている。そこに感動するかキュンとする門のガタリがあれば完璧にストーリーが完成する。

小説の出来は今日の取るに決まること言っても過言ではない。


 「着いたよ。」


 駐輪所に車を止め、徒歩で向かうことになった。さっき運転中に電話で会社のほうに着物が余っている社員がその着物をお譲りしてくれると連絡があった。


 「ここが蒼の会社か。」


 蒼の会社の本社の名は、AOIコーポレーション。そのまま自分の名前を会社名にするのはすごい勇気が必要である。


 自分の名前が会社名だともし問題を越したらそのまま自分へも直接影響する。そのため覚悟がほかの起業した会社よりもある。


 小説に応募するときは、ペンネームの掲載も必要だった。

ここは、蒼の真似をして自分の作品にかける気持ちを強くするためローマ字表記でRIKUと書くことに決めた。


 多分これにすれば蒼が見た時も僕だと築かないだろう。


 会社は都内にあり駅から歩いて五分程度にあり、立地は最高だ。駐輪場が会社の中についていて、三階建てのガラスで覆われた建物の中には、警備員や受付の方までいる。今日はクライアントの重要案件がないので、蒼は休んでいるがほかの社員は働いていた。


 蒼の会社の勤務時間は自分で決められる方法になっている。その代わりに結果重視で、納期までに最高の結果をの残せばよいという考えが経営方針だ。


 みんな働き熱心で、さぼろうとする人はいなくて、みんながより良い商品やサービスを提供するために日々頑張っている。さすが蒼が一人一人探した人材。


 会社の中に入ると接客譲は、挨拶をした。


 「蒼社長、おはようございます。」


 「おはよう。」


 にっこりした顔とトーンの高めの声。これを聞いた社員たちは毎日気分がよく知っ者できるだろう。もしかしたら、受付院も蒼が選んでいるのかもしれないと考えてしまった。


 会談で三階まで登った。そこには、きものを持っていた人がいた。


 「社長、お待ちしてました。」


 手に持っている着物は僕が今晩着るやつである。


 「これです。」

社員の方に渡された着物の色は青色一色で、帯が茶色。


 時代劇で出てきそうな感じ。刀を帯のところにつければ完璧だ。


 サイズも僕の身長とぴったりだった。聞くところによるとこれは、その社員の息子の昔来ていた着物だったらしい。バスケで部活をしていたおかけで身長がもう190を超えていた。


 190センチなんて、電車の車両の扉に通るときに頭が当たるくらいの高さ。そんなに高い人がいるのか。


 着物をくれた社員に向けて背中を45度にして感謝を言った。


 「ありがとうございます。」


 着物の付け方が難しかったので、そのまま着物を着ながら会社から去っていった。


 着物を着たのは七五三の時以来なので少し新鮮な感じ。蒼も僕が試着していた時に着物に気がいていた。


 想像していた以上に蒼の着物姿はかっこよかった。何もデザインがない全身真っ黒な着物。靴もサンダルに着替えてみてるだけで目の癒しになりそう。


 「きれいですね。」


 そのままの感想を伝えると。蒼は顔を赤くして歩いて行った。


 「行くよ。」


 「はい!」


 前に歩いて蒼を後ろから追いかける。着物を受けとったので、次は昼ご飯を食べに行くことになった。


 その場所は会社から近いので、そのまま歩いていく。

着物を着ているのが僕と蒼の二人だだったので、完全に周りから浮いていた。そんなことを気にしないで、二人は歩いてゆく。


 個々のお店は、天然のウナギを食べらるれる。しかも、そこは調理をする直前まで生きているウナギを使用するので、鮮度はほかの店と比べると格別だ。


 ウナギの仕入れは、高知県から輸入をしている。お店の外見は、外見から見てウナギ点だとわかる。なぜなら、お店の外にはウナギのマスコットらしき大きなフィギュアが立っていた。


 扉を開けるとそこから、ウナギが焼けて出てくる香ばしいにおいが漂っていた。その匂いは、店内のカウンター席からは、直接見ることができる。


 僕と蒼は、カウンター席に座った。ガラス越しから見えるウナギは、注文を受けてから、調理を始める。

オーダーを受けてからウナギが泳いでいる水槽から素手でウナギを取る。ぬるぬるの体をまな板に固定して切り始める。


 ウナギ業界にはこういった言葉がある。


「 串うち三年

  裂き八年

  焼き一生」


 このけた外れの修業をしている職人たちが今回の昼ご飯を焼いていく。


 天然ウナギの量が減ってきて、値段が上がってきていてほかの店では養殖を使用している場所まである。

だが、この店の先代から受け継がれた意思で、今でも高くても天然を提供する。


 頭のほうに針を刺し固定する。そこから、刃のほうが短い京都型のウナギ包丁でウナギを横から半分に切る。この切る動作が7年。


 切り身の内側にある内臓はきれいに残っていた、まるでウナギ地震が切られたことがないように思えた。


 ウナギの体は柔らかい。その理由はあばら骨がないからだそうだ。その柔らかい腹部に正確に切りメモ入れるのは至難の業。


 その上この店のウナギは天然物で、調理するまで生きている。まな板に固定しても頭から下のほうは暴れている。かなりの訪朝技術が必要とされる。


 目の前でこの技術を見てしまうと、七年間必要だと感じた。もしかしたら七年でも習得ができないかもしれない。


 次に焼く工程に入る。ウナギの焼き方やタレの種類によって味は変わってくる。それぞれの有名店では、その店独自の工夫や特徴がある。


 串を割いたウナギにお店専用のたれをつけて、炭火の焼き場の上に置いて焼き始めた。


 上に置いた瞬間にたれのにおいが香りだした。久しぶりのウナギでおなかはもうなり始めていた。


 目の米に焼かれるのを見ていると、何かしらの拷問なのかと思ってしまう。目の前にあるのに食べれない。


 「はやく、食べたい。」


 横に座っている蒼ももう待てなくなっていた。この光景を目の前で見て、食べたくないと思ってしまう人はいないだろう。

いつも冷静な蒼でも抵抗することができなかったから。

焼いている最中にウナギを盛るお皿にご飯を入れる。その米は、ふっくらして、上には湯気が出ている。

その上に焼き終わったウナギを載せる。たれがウナギから米のほうに滲んでそれはもう宝箱のよう。


「うなぎ、二人前です。」

店員さんがウナギの皿をこちらに持ってきた。

箸を持ち、食べ始める。


「いただきます。」


ウナギの盛るために使用した容器は外が黒色で、中が赤色。

これには何か工夫があるのだろうか。多分、その配色のほうがおいしそうに見えるのだろう。スーパーの肉売り場に赤のライトをつけるようなものだと思う。


箸でご飯とウナギを取り、同時に口に入れる。外はカリッとしていて、中はフワッとしていた。自然と笑みがこぼれてまう。


「おいしい。」


このおいしさは、焼くときの技術である。役修行にかかる何月は一生。なので、それなりに重要な工程だろう。これをミスしてしまうと味が変化してしまうリスクがある。


タレとご飯が一粒一粒絶妙に絡み合ってよい味を出している。

蒼とは会話をしないで無言に食べていた。一口食べるともう止まらなかった。

一言でこの料理を評価すると、うまいとしか出てこない。



次々とウナギを平らげる。

「ごちそうさまでした。」


ほぼ一緒で間食した。店内のお客さんを見ると全員が満足層顔をしている。問う仕事をしている証拠だ。


食べ終わったので会計を済ませた帰ることにした。


「ご来店、ありがとうございました。」


 おいしかったので、また来たかった。今回の子のウナギのうまさを伝えたいので、僕が書いている小説に書き足したくなった。


 こんなにおいしいものを食べてないなんて人生のそんである。これを食べれば多分生きる生きがいになるかもしれない。


 祭りは夜の七時ごろに始まるので、それまで部屋で、執筆作業をした。車で帰るときに冷静に考えたら、小説にウナギを書く人がいるなんておかしい。しかも僕が書いているのは、恋愛小説。


 そこに、ウナギを追加する作者はいたら頭がおかしいと思われる。やっぱやめよう。


 でもこのおいしさを世の中に発信したいので、どうしようか考えた。


 「あっ。」


 蒼からブログのサービスについて記事をまだ書いてなかった。なので、空白の自分のウェブサイトにウナギの記事を書くことにした。


 幸い食べる前に写真を撮ってあるので、その記事の中に写真をつけるようにした。この記事を見たら必ず食べに行きたくなるようにおいしいそうに詳しく書く。


 ネットで情報を調べていくうちに、そのお店は色んな賞を受賞をしているらしい。しかも、天然ウナギを使用しているほかの店と比べて値段が格別にコスパがよかった。


 たぶん、立地と建物の外見から立ち寄る人が少なかったのかもしれない。魅力は調べればたくさん出てきた。


 その魅力を一から十まで書き記した。ウェブのブログ用なので、短く端的に書いたほうがよいのだが、食べ終わった後に書いたので、そのうまさを短く書くことができなかった。


 小説用に撮ってた写真をホームページの一番目に着くところに置いた。


 数時間書いてやっと完成した。今のネット上には、情報がありふれているが、今日食べたあの店のレビューはあまりなかった。


 新聞でも記事でとりいられたことは少なかった。もしかしたら、隠れた名店なのかもしれない。


 休憩で窓の外を見ると外はもう暗くなっていた。

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