第六話
日々のもくひょがなかったが、人生にはまだ自分が攻略していないことがあるので、その未練をこの世にもう残さないようにがんぼろうと決めることができた。蒼に出会わなかったら、こんな考えにはならなかった。
「いえいえ。」
蒼は笑いながら返事をした。やっぱりかわいいと感じた。
車に乗り、家まで帰っていった。外は食べることに夢中で気づかなかったがもう夜遅くて真っ暗だった。
「楽しい時間は過ぎるのが速いな。」
明日から忙しくなるぞ。
真夜中を車でドライブしながら帰る。途中で見えるイルミネーションなんかは、絶景だった。
*
「ピピピピぴ!」
朝になり、スマホにセットしたアラームが鳴った。
同居生活二日目。昨日の夜に食べた兄フレンチは格別に青しかった。今までの生活だったら味わうことができない。そんな貴重な体験をできたのは、もう今日死んでもよいと思ったほどだ。
昨日の食事代は蒼が払ってくれたので、朝ごはんを作るために早起きをした。
窓につけているカーテンを開けると部屋の中に陽ざしが入ってきた。
前に住んでいたボロアパートは、窓の前には建物があり狭い隙間からしか光が入ってこなかった。
確か蒼の子の一軒家は、高級住宅地で建物の高さは二階までの一軒家が並んでいる。なので、太陽の光が遮られることもなかった。
やっぱり立地が良い家に住んだほうがよいと感じた。眠気があるのに太陽の光は、一瞬で目が覚めた。
二階から階段を降り、洗面所で顔を洗い、歯を磨いた。
鏡を見ると昨日髪を切った自分が写っていた。そのことから昨日のことが夢ではないと認識できた。
髪の印象は人を変える。口周りのひげも艇の意に剃ってくれたので、朝なのにひげがまだ生えていない。
冷たい水で顔をまた覚ませる。歯ブラシは昨日のショッピングで買った。歯磨き粉をブラシのほうにつけて、歯に入れて洗う。最後にコップ一杯の水をコップに入れ、口を注いだ。
朝の五時半に起きたので、蒼はまだ寝ていると思ったけど、リビングにはもう蒼がソファーで本を読んでいた。
「おはよう。」
「おはよう。」
朝ごはんはまだのようなので、作ることにした。昨日図書館で借りた本を片手に持ちながらレシピを見た。
キッチンに向かい料理を始めた。朝食は一日の中でも重要な食事なので、張り切って作る。
朝には食欲がないときもあるかもしれないので、シンプルな料理を作ることに決めた。
まずは、ご飯を炊いた。炊飯器の使い方は、昨日ちゃんと調べたのでオプションの全部は把握済み。
昨日食べたカレーはもっちりとしたご飯でカレーのルーと合わさると完璧と言わざる終えなかった。ネットで調べたらもちもち派としゃっきり派があった。しゃっきりのご飯をまだ食べたことないので、試してみることにした。
炊飯器の上についているモニターを選びしゃっきりと書いてるランをクリックする。すると、炊飯器は自動で動き出した。
次に作るのは、スープ。日本の家庭で最も出てくるみそ汁を作ることにした。日本人には欠かせない一品。
みそ汁のレシピも簡単で、端的に言うと味噌をお湯の中に溶かすだけ。
その中にわかめ、豆腐をいれて具材を足す。
まずは、冷蔵庫から豆腐とわかめを取り出した。それを適切な大きさまで切った。
水を調理器具の中に入れ、沸騰させる。水が沸騰するまで、本を読みながらほかに何を作るか考えた。
お湯の中にわかめを先に入れて煮込む。もう一個の素材の豆腐は崩れやすく、煮込みすぎると形が崩れてしまうので、味噌を入れるときに入れることにした。
火を弱火から中火まで通るまでじっくり煮込む。
ワカメが柔らかくなったのを確認すると火を止め、あらかじめ分けといた味噌を煮汁の中で溶かす。
この時をお玉にみそを置いて箸で少しずつ溶かすのがおすすめと本に書いてあった。慎重に味噌が出汁の中に溶かしてゆく。これをすることで、だま防止ができる。
さっき火を止めた理由は、沸騰しているときにとくと、風味とうまみが抜けていくらしい。しかも、塩辛くなることもある。
最後に加熱の必要ない豆腐を入れて、みそ汁は完成した。
こんな簡単にできるなんて。スプーンで少し味見をしたが、実家の母親の味とはかけ離れているが、それでも普通においしかった。
何かが足りないかもしれないので、時間があったら母に連絡してみよう。
次に作るのは、卵焼きである。たんぱく質を摂取するために卵料理を作る。
まずは卵を割り、その中に塩や醤油などを入れて混ぜる。幸い蒼の家には、卵焼き専用の正方形のフライパンがあった。
そこに油を敷いて。卵を敷き詰める。一層目が完成したら、巻いていく。そこに新たに記事を注ぎ込んで、何層にも重ねる。
こげないように火は弱火で調理していく。
完成した卵焼きをまな板の上で切るとそれは、何層にも分かれていて僕が知っている卵焼きと違う。一切れ取って口に入れた。
「普通においしい。」
見た目には問題があったが、味にはそん色なかった。なので、皿に盛り付け、その上におろし大根をトッピングした。レシピは簡単だったが、作る工程が難しかった。今度また再挑戦したい。
最後に主食で魚料理を作ることに決めた。
昨日食べたフレンチのお店のあの魚の味は今でも鮮明に覚えている。外はカリッと、中は柔らかい。しかも、ナイフで軽く触れただけで切ることができた。
それを再現できたらよかったが、それは不可能である。なので、朝食の定番の焼き鮭にした。
二切れの調理された鮭を油の敷いたフライパンの上に敷く。そして、ふたを閉めて三分間待つ。
三分間立った後タイマーが鳴る。そのタイマーをストップさせて、酒をもう片方にひっくり返す。片面の焼き加減は成功している。
もう片方に変えたらまた二をして二分間待つ。
焼き終わった鮭を皿に盛り付け、コショウと塩で味を調えた。
匂いにつられてきたのか、蒼がきっっちんに来た。
「美味しそうじゃん。」
そういうと、完成した料理をリビングのテーブルまで、持って行った。
机に並べられた今日に昼ご飯は、ご飯とみそ汁、焼け鮭と昨日蒼が教えてもらったキャベツのサラダ。
蒼のレシピは簡単で、短時間で完成できた。味も問題ない。
「では、いただきます。」
僕が食べる前に蒼の反応を見るため待った。まず、みそ汁に手を出して一口飲んだ。みそ汁は具が入っていたので、箸で豆腐も食べた。
「体があったまる。」
ホカホカの味噌汁を飲んだ反応を見て、感想は上等だったあので安心した。味見をしたが人それぞれ好みの味が違うので、当然感想も変わってくる。
安心した僕は、箸を取り朝ごはんを食べ始めた。
「いただきます。」
焼きたての鮭から食べることにした。魚を焼くのは初めてなので、少し心配だった。みそ汁のように味見をすることができなかったので、味が把握できていない。
なので、蒼が食べる前にまず自分で毒見を始める。
外見は普通だが、料理で重要なのはその味。
箸で鮭を切り、口に入れる。
「普通に、うまい。」
口の中にある鮭と一緒にお椀に盛られたご飯を同時に食べる。ご飯の触感はしゃっきりに設定している。
昨日のカレーの時とは違って、米一粒一粒がはっきりしている。もっちりした触感とは対照的なおいしさが存在した。
次からどの設定にして米を炊いていくのが、迷ってしまう。
今日の朝ごはんは成功で終わった。
「ごちそうさまでした。」
その間に昨日の相談話が持ち込まれた。それは、ブログを書くことである。
昨日はざっくりとしか教えてくれなかったので、具体的な話に入った。
ブログは今誰しもが聞いたことがあるかもしれない。サラリーマンの頃に副業をしている先輩がそれをしていた。
簡単に言うとウェブサイトの一種。蒼の今回のビジネスは、有料で簡単にホームページが作れるサービスを提供するらしい。まだ、サービスを開始して日が浅いので、ユーザー数を増やす為に執筆者になってほしいと頼まれた。
執筆者と聞くと、新聞の記者や本を書いている人に思われので、ブロガーと言ったほうが分かりやすいだろう。
そのジャンルは決まってなくて、自分が好きなように評論したり、日記を書いたりできる。自分の思想や考えを全世界へと発信できる。今は、個人でも簡単に稼げる時代になりかけているのかもしれない。
ウェブサイトを作るには、プログラミングでHTML、CSS言語など、たくさんの難しいものが必要になる。けど、そのような知識がない方に、手軽に書けて、公開することができるように設計した。
試しに社内の人に使わせてどこが不便でバグがないかを計測してほしいのだと。
「で、僕はなんの記事を書けばいいんだ?」
何を書けばよいかわからないので、そのまま蒼に聞いた。
「好きに書きたいことほ書けばよいんだよ。「
何も答えを出さなくて、結局自分で決めることになった。
「書きたいものかぁー。」
朝食を食べながら、悶々と考えた。
後で調べよう。
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