第五話

 「着いたよ。」


 そう考えていくうちに到着した。


 駐輪所に止めているときに場違い感が感じた。駐車場にが高級そうな車が止まっていた。


 レストランの外観はさすが三ツ星の豪華な建物。入る前から、僕が浮いていると感じた。


 まずは、マナーとして服を買うために近くにあるショッピングモールに入った。


 フレンチを食べるときは紳士的なスーツを着るのがベーシック。なので、三階にあるスーツ売り場で選んだ。


 蒼は、楽しそうに僕に会うスーツを選んでいた。まず、スーツのサイズを測るために体にメジャーをつけて、計測をした。


 「こっちかな?でもこっちもよいんだよね。」


 選んだ服を僕のほうにかざして、どれが似合うか確認している。


 その姿は、彼女が僕の服を選んでいるように思えた。


 蒼は男性だけど。


 そこから、白のシャツにその外には黒のコートを着た。スーツを着ていたのは、社員として働いていた頃のことだったが、安物のを着ていたので質感とフィット感は最悪のものだった。けど、今試着しているのは最高に着心地が良い。


 「かっこいい…。」


 蒼が何か話していたが聞こえなかった。


 「なんか言った?」


 「何でもない。」


 蒼は鞄からカードを取り出した。その色は純金のゴールド色をしている。


 そのカードを店員に渡してスーツを購入した。


 夜ご飯もごちそうになって、それにこの後の食事代まで。少し申し訳なくなぅた。


 「気にしなくていいよ。飯に誘ったのは私だから。」


 そういうと。僕の手をつなぎ一回の美容室まで向かった。


 握られた手は。男性の兵十の手よりも小さくて柔らかい。まるで女性のよう。


 一回のところに散髪ができる、場所があったので伸びきった前髪を着ることにした。


 「適当に、かっこよくして。」


 「かしこまりました。」


 漠然とした意見を出す蒼だが、美容師の人はすぐにハサミが動いていた。

今あった人なのにその人に適している髪型がわかる。さすがプロ。


 素早くハサミを持ち、もう片法の手にブラシを持ち切り始めた。


 鏡の自分を見ると、髪の毛が長かった。会社にいた時は、疲れすぎて髪を切るのも面倒になっていた。髪が目に当たったら、自分で切るくらい。


 なので、美容室は久しぶりだ。どうなるかが楽しみである。


 ぼさぼさの髪短くなってきた。久しぶりに自分の顔を見た。鏡で自分を見つめることがそんなに多くはなかった。


 自分に何も興味はなかったのかもしれない。いつも目の前のことから目をそらしていたのかもしれない。いつも周りのせいにしてた。


 「完成しましたよ。」


 美容師さんが後ろに鏡を持って髪の外観をみえるようにしている。


 「どうですか?」


 鏡に映る僕は、自分で言っていいのか、分からないがかっこいいと思った。


「大丈夫です。」


学生時代にファッションに目を向けたことがない。いつも近所の激安散髪屋さんに行って髪を切っていた。


 髪の毛の印象でこんなにも変わるのかと驚いた。


 「すっきりしたじゃん。」


 蒼は髪の毛を見てほめてくれた。


 「美容室に連れてくれてありがとう。」

髪の重要性に気付かされたことに感謝をした。

人間の第一印象は外見からだったので、大学デビューに失敗した原因なのかもしれない。


 もし、そのころに外見に目をつけていたら成功して外交的な人間になれたのかもしれない。


 「ファッションの勉強でもするか。」


 蒼はそれを聞いて、頑張れと言ってくれた。


 今回の晩御飯に誘ってくれたのも多分このことを教えたからだと思う。貴重な体験ができた。


 美容師さんに大丈夫ですと伝えると、ドライヤーで頭の上にある髪を風で落とした。次に髪の毛を洗いに行くために、美容師が服に当たらないようにしているカバーを取った。


 椅子から降りる途中鏡に売っている姿を見た。


 蒼が選んでくれたスーツと今の髪を合体しているその姿は、仕事ができそうな人に見えた。スーツのコマーシャルに出てきそう。


 「……。」


 こっちをずっと見つめる蒼が鏡から見えた。


 美容師に連れられ髪を洗いに行った。

人に髪を洗わせるのも何年ぶりだろう。椅子のようなものに寝っ転がって、頭を水が出る洗面所のところに置く。


 寝ている状態から上を見たら、蒼が僕の髪を洗っていた。


 「え?なんで蒼が…。」


 今髪を触って洗っているのが蒼で驚いた。しかも、そのテクニックはすごく気持ちよかった。頭から全身までマッサージされている気分。


 まずは、髪を濡らしそのあとにシャンプーで洗う。シャンプーのにおいはほんのり香る花の匂いだ。


 花には詳しくないけど、どこかでかいだことがある匂いだった。なんか身近にある何かのにおい。


 「痒いところありますか?」


 笑いながらこちらを見る蒼は、可愛かった。下から見上げるその姿は美少年。僕が女性だったら、すぐに告白をするだろる。


 「なんで、そんなに髪洗うの上手なの?」


 髪を洗うテクニックが気持ちよかったので、蒼に質問をした。すると、蒼は語りだした。


 「昔、美容師さんになりたかったんだ。」


 過去に何かあったか話し出した。大学時代のアルバイトが美容室だったらしい。バイトでお金を稼ぎながらプロの技術を盗んできた。


 「でも髪を切ることはできなかったんだよ。」


 けど、最初の新人は髪を洗うだけ。髪を切る仕事になるまでは一から二年かかるらしい。なので、途中でやめてしまったらしい。


 髪を洗いすぎて、手がカサカサになるときもあった。手袋しながらだと、お客さんの髪を丁寧に洗えないため素手で。


 結局美容師になる夢をあきらめて経営者になった。

この美容室は蒼の会社が資金を投資して経営していた。幅広い分野に投資をして事業を拡大しているので、そのジャンルは多種多様。


 今の時代一個の分野に専念していくことも重要だが、時代の変化が激しいので蒼の戦略のほうがリスクも抑えながら儲かることが可能。 


 髪の毛についている泡を邸内に流す。お湯の温度まで調整が適切だった。何をやっても完璧な蒼だけど、挫折することもあった安心した。


 人間はじぶんを完璧な人間にしたいため自分の欠点は隠す。けど、僕に弱みを見せるところが心を許している気がした。


 髪を洗い終わった僕をドライヤーで乾かした。精神ともにリラックスができた。繊細な手で丁寧に乾かした。


 「ありがとう。」


 「いえいえ。」


 身なりが整ったのでようやく外に出た目的の有名フレンチを食べに行く。


 入る前の扉の前にはウエイトレスがもう待っていた。ドアに近づくと。


 「蒼様、お待ちしてました。席をご案内します。」


 何度もこの店に来ていたらしい。なので、顔を知られている。


 ウエイターがドアを開け、席へ案内した。


 やっぱり中の客は、すべてきちんとし紳士的なスーツやドレスの姿がほとんどだ。


 居酒屋のようなお酒を飲んで、大声でしゃべるような客は一人もいない。


 案内されたテーブルに着いた。椅子に座ろうとするとウエイターが椅子を引いてくれた。その椅子に座る僕は、何か場違い感がまた再度認識した。


 緊張している僕を蒼はわらぅっていた。


 「そんなに緊張しなくていいよ。リラックスして。」


 その言葉を聞いて深呼吸をした。フレンチを食べるのも人生初なので緊張しないほうが難しい。


 この店ではコースメニューしかない。シェフがその日仕入れた食材を一番おいしい料理に返還させる。


 食材の魅力を心行くまでに堪能できるのがフレンチのフルコースの良いところである。ここに来るまでにいろいろスマホで調べたので、最低限の知識とマナーは学んできた。失礼の内容に食べよう。


 一品ずつ提供されることが特徴である。その理由は料理が覚めないようにして、一番おいしい状態で食べてほしいという理由がある。


 暖かいものは温かいうちに食べてもらい。冷たいものは冷たいうちに。料理を楽しんでもらうための工夫やサービスが充実している。


 この店も、蒼が資金提供している店だった。なので、ウエイターたちが名前と顔を知っている。


 この店のオーナーとは、昔からのビジネス関係でよく商談をしていた。彼は、ものすごく投資の目があると見込まれ、有名店になる前から投資をしていた。


 そのおかげなのもあり、今この店は繁盛している。接客の対応も完璧、文句の付け所がないお店。


 「前菜です。」


 ウエイターが料理を持ってきた。


 コースの最初に前菜が出てきた。これを用語で言ったらー「オードブル」


 料理の量は少ないが、それは食欲を引き立てる役割をしている。鮮やかで豊富な食材の数々。


 「いただきます。」


 横に置いてある箸ではなくフォークを取り、一口食べる。



 酸味や塩味の効いた料理で、メインの前には最適としか言えなかった。


 口に広がる食べたことのない食材たち。少量の料理は、一瞬にして消えていった。


 食べ終わった後もルールがある。ウエイター食べ終わりまし板の合図をしないといけない。それは、居酒屋のように店員が自動でもっていくのではない。


 使用したフォークを斜めに起き、食べ終わりましたの合図をする。


 逆に食べ終わっていないときは、八の字にしてまだ食事中と伝える。これをしないと多分一生次の料理が来ないかもしれない。


 蒼は、ウエイターが来た時に注文をした。


 「今日のコースに合うワインを二人分。」


 「かしこまりました。」 


 席から見える数百本のワインから選ぶソムリエの姿。一本一本じっくり観察して今日の料理にある最適解を求めだしている。


 そして、ようやく決まったのかワイングラスとワインを持ってきた。


 新品のワインなのでコルクがついている。それを専用の機械で開ける。その時、ボトルの中に閉じ込められている匂いが香り始めた。


 匂いだけで美味しいとわかる。それを細いワイングラスに注ぐ。上のほうの口がうちがはに傾いていて、それはワインのにおいを逃がさないためである。


 細いグラスをグラスの下のほうを持ちまずは匂いを嗅いだ。


 テレビとかでにおいをかいでから飲むのを見たことあるからだ。その匂いは、さっきボトルを開けた時よりも濃厚であった。


 一口飲むと苦みがなく、絶妙な酸味と甘みが口いっぱいに広がっていった。


 「飲みやすい。」


 「そうでしょ。」


 ここのソムリエは海外で仕事をしたり、学んだ経験がある人たちである。そのため現地でものすごく知識を得ている。仕入れから保存の仕方まで徹底的に管理。お客様に美味しい状態で飲んで楽しんでほしいの一心で。


 「スープをお持ちしました。」


 次にメイン料理が始まった。最初に出されたのは、リサーチ通りでスープだった。


 そのスープはコンソメ。料理本で見たが、手間と時間がかかる料理らしい。

スープには、体の芯から温める効果がある。食べるよりも飲むほうが口にしやすいので、最初にスープが持ち出されるらしい。


「このスープおいしいです。」


 粉スープではコンソメをよく飲んでいたが、それとは比べ物にならないくらいダントツだった。まろやかで濃厚的で飲めば飲むほど味が変化していく感じがする。


 中に入っている具材もこのスープの味を引き立てている。すべてのものが欠かせない黄金比率を保っていた。


 食欲がどんどん出てきた。これは、フレンチのと口調なのだろう。


 食べ終わるとすぐに料理が来るため、待ち時間でイライラすることもない。シェフたちが個人個人の食べるペースに従って調理を始める。

食材の料理手順が多いうえに民案のペースを把握しないといけない。生半可な技術では当然できない。

蒼とは食事中会話よりも料理に集中していた。


「魚のポワソンです。」


ウエイターが次の料理を持ってくるのはー「ポワソン」

ポワソンはフランスでは魚を表す言葉で魚料理を意味してます。これらの魚も朝市の市場から即急で冷凍保存され、調理されている。


その日のとれた魚で料理が決まる。


何の魚がわからないがおいしいことは分かる。ほんのりと香る坂野に匂いは生臭くなく、美味な感じが漂っている。


魚だけではなくその周りに添えられているソースは、にんにくやセロリ、にんじん、玉ねぎなどの食材で鮮やかにしている。


メインの魚の上にかけられたソースにペッパーを少量つける。魚は、前面に火を通す為にポアレと言われる料理の手法干している。

本当のメインデッシュは御肉なのに対してお魚を前に入れる。お肉と魚を両方味わえる最高のコース。


右手にナイフを持ち、左手にフォーク。ナイフで軽く押すだけで、魚は小さく切ることができた。口に入れるときに溶けていくような気までする。

「こんなおいしい魚初めて食べた。。」


蒼は楽しそうに食事をしていた。その姿を見るとこっちまでうれしくなる。


やっぱり人と食事をするほうがよいと再確認できた。

切って食べる、この単純作業がたのしかった。永遠につ図家らるかもしれない。

食べ終えた後もさっきのようにナイフとフォークを置く。ナイフの刀のほうを内側に置きフォークの背中を下に。これで、ウエイターがお皿を運ぶときとかのけがするリスクが減少する。


魚を食べ終わるとようやくメインが来た。事前に肉の焼き加減を聞かれたが、何かわからないので、蒼と同じミディアムにした。

ネットの記事だと『迷ったらミディアムを頼むと無難です』と書いてあったので丁度よかった。


肉には筋があるので、それに沿って切ると切りやすくなる。ナイフを少し斜めにして、切り始める。

すると、力もいれずに簡単に切ることができた。

むかし、ステーキ屋さんで肉を切るのが面倒だったので、すべてを切ってから食べたのっだが、それだと肉汁が流れてしまう。せっかくの肉を台無しにしてた。


けど、この店の肉は、簡単に切ることが可能なので食べるときに切ったほうがよい。しかも、全部切り刻むのはフレンチの中では、マナー違反らしい。

食べるときに切ると、切り目から大量の肉汁があふれ出してきた。口に入れると、噛めば噛むほど出てくる。


バランスよく付け合わせに置いてある料理も同時進行でバランスよく食べる。

肉の質もよいが、この料理を作る手順と工夫も食べながら感じることができた。

自分もこのような料理をつくれたらいいなぁ、と考えながら食べた。

最初は少量だからおなかがいっぱいにならないと思ったが、コース料理には、食べる間があったり、味を楽しむためによく噛んだりしたのでもう満腹状態になっていた。


メインを堪能した後は、食後のデザートが来た。


甘いフルーツとケーキが合体したフルーツケーキ。もうおなかいっぱいだと思ったが、目のまえに出されると食べたくなった。

デザートは本当に別ばっらなのだろう。


「今回晩飯に誘ったのは、一緒にご飯食べたいの理由のほかにもあるんだよね。」

蒼は、何か僕にやってほしいことや相談したいことがあるらしい。なので、聞き返した。


「なんでしょうか。」


思わず敬語を使ってしまった。真剣そうな蒼の顔を見ると口調が変わった。


「今やっている事業のことなんだけど、手伝ってくれない?」


蒼は今ある新事業に挑戦しているらしい。それに協力してほしいと提案してきた。

もとから手づだいたいと思っていたので丁度良かった。


「具体的に何をすればよいんだ?」


 蒼の仕事内容はウェブのサービス系が多いので、僕に手伝えることはそんなにないと考えている。プログラミングはやったことないし、営業も日と接するのは少しまだトラウマがある。そんな僕でもできることであれば何でもする。


 「ブログを書いてほしいの。」


 ブログとは、ネット上に乗っている記事などがそうだ。話を聞くと、蒼はウェブサイトを提供するサービスをしていて、これからユーザー数増やす為に宣伝してほしいと提案してきた。


 本を幼少時から読んでいたりしてたので、書くことはできる。蒼の為になるのなら、ブログなんて問題はなかった。


 なので、二つ返事で、「はい」と伝えた。


 ちょうど蒼にずっと頼りっきりはよくないと思ったので、家事と同時でブログの記事を書くことに決まった。


 内容は、何を書けばよいかわらないので、まずは日々の出来事を書く日常ブログに決めた。

明日から始めよう。


 「ありがとう、蒼。」


 フレンチの料理を楽しんで食べたので、蒼に感謝を伝えた。

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