第三話

 

 東京は大都会なので仕事を探すには一番の近道だろう。貯金は、3万しかなかったのでそれを使って東京への新幹線のチケットを買った。


 数時間かかる新幹線の中は狭いのだが、グリーン車に乗ってしまうとお金が無くなってしまう。なので、一般車両に乗ることにした。


 歩いて駅のホームまで向かった。


 このホームも懐かしかった。ここに到着した時は夜だったので、駅は暗くて見えていなかった。学校に登校するのに毎日使用している電車の駅。


 気分が悪かった時も、悲しいときもいつもこのホームで通学した。古びた時計は、

新しいのに変わっていた。けど、なじみの風景から感じる雰囲気は健在していた。


 この駅は、、僕の人生のリスタートになる。


 「ん?」


 隣から鳴き声が聞こえた。そこにいたのは男性がいた。服装は、黒のスーツを着ていた。そこから。成人だと察した。けど、その体は、一般男性に比べて細かった。


 こんな昼間に駅で泣いている男性を見ると声をかけないといけないと心の中の自分が話した。なので、勇気を出して。


 「あの…。大丈夫ですか?」


 泣いていた彼のかをは涙を拭き上を向いた。


 「寝て起きたらここについてて…。」


 また泣きそうな震えた声で返事をした。


 話を聞くと、彼は昨日の夜お酒を飲んで酔っ払っていたらしい。その時に電車を乗り間違えてこの駅についてしまった。


 東京からここまで約一万かかるので電子決済の金はすべてなくなったらしい。なので帰りの電車賃がなく帰れなかったようだ。


 二万円の資金から二人分のチケットは買える。だけど、その場合東京に言ったらお金が無くなる。僕の頭の中には天使と悪魔が現れた。


 天使のほうは、お金を貸してあげなさいとささや空いてくる。


 悪魔のほうは、そんな見ず知らずの男性を助けるきりはない。


 どっちの選択にするか迷ったが、こんなにもなく男性を見てしまったら助けないといけないだろう。


 「グリーン車のチケット一枚ください。」

駅の切符売り場に戻りもう一人のチケットを買った。ついでに、残りのお金を使ってグリーン車に帰ることにした。


 またゼロからスタートすることにした。どうせ少額の金を持っても東京の物価だろ買えるものは少ない。なら、そのまま使ってしまおう。手持ちの金が数百円しかなくなった。


 グリーン車のチケットを片手で握りしめ彼に渡した。


 「これあげるよ。」


 「え?」


 彼は驚いた顔でこちらを見てきた。


 「東京行のチケットだよ。あげるよ。」


 手に持ったチケットをまた差し出した。


 彼は動揺していて何が起きているか把握できてなかった。そして、手をなばしてチケットを手に取った。


 「ありがとう。」小声で感謝した。泣いていた顔が一瞬にして笑顔になった。


 その笑顔は男性だけど可愛いくてドキッとしてしまった。少し女性よりの顔だと思ったが、そんなことはない。


 ふたりで新幹線が来るまで待った。遠くのほうからは、少しずつ近づいてくる新幹線が見えてきた。


 「黄色い線までお持ちください。」


 アナウンスがホームの黄色い線の後ろに立ち、安全な距離を取るように注意をした。

目の前を通る新幹線は早く、強い風がほほにあた立った。


 止まった新幹線はゆっくりとドアを開け、そこに一人づつ入っていった。


グリーン車のチケットを買ったため席と席の間は広かった。荷物おいてその上に座る

とそこはふかふかの椅子だった。来るときの快適さとは比べ物にならなかった。


「ドアが閉まります。ご注意ください。」

新幹線は東京までは出発した。


 そんな電車の中を見ず知らずの人と一緒に東京に向かうのであった。


 彼の顔は初めて見た時から見たことあると思っていた。

頭の中で昔であった人のライブラリーを開いて検索した。だけど、僕の知り合いはそんなに多くはないので簡単に思い出せると思ったけど、見つからなかった。なので直接本人に聞くことにした。


 「君とどこかで出会ったことある?」


 彼はこちらに頭を振り向き頭を傾げた。たぶん、わからないだろう。


 「何でもない」


 僕の勘違いだろう。


 「もしかして…。リク‼」


 彼はこちらに向かって僕の本名を言った。名前をまだ言ってないけど。


 「幼稚園のころ覚えてない?」


 幼稚園の頃?


 幼稚園の時僕は友達と呼べる人が一人いた。そのときは、人との接触には抵抗がなかった。それが人生でゆういつの友達と呼べる親友だった。


 突然の引越しで急な別れをした。確かその人の名前は。


 「確か…。蒼(あおい)?」


 彼は頭を縦に振った。なので、彼が蒼なのだろう。


「久しぶり、幼稚園ぶりだね。」


 そこからは、久しぶりに人と猛烈なトークをした。


 昔の思い出や、急に引越しをした理由など色々話した。


 仕事の関係上引っ越した蒼はあの時からもう12年くらいたったけど。顔の面影か

ら蒼と判断できた。


 蒼は、幼稚園の頃から仲良くしてもらっていて、何をしても僕を誘ってくれた。そ

んな日々がたのしかった。それが僕の毎日の楽しみであった。


 数時間の電車の移動時間体感では数分で終わった気がする。もう少し話したかったが毛東京についてしまった。


 新幹線のがつくとリックを背負い降りた。そこからの風景は、大きなタワーマンションやら広告のポスターたくさん目にした。毎日の通勤ラッシュを思い出し履きそうになった。


 「リク! もう少し話したいから。カフェに行く?」


 蒼は近くにあるカフェに誘ってきた。僕も話したいことがまだあったので、行くことにした。


 「はい。」二つ返事をした。


 スマホを取り出し、近くにあるカフェテリアを探した。徒歩5分で着くらしい食べログ4.2の有名店に行くことに決めた。


 「美味しい店見つけたんだ。」


 ここの有名なのはブラックコーヒーである。オーナーが現地で原料を選び、コーヒー豆を独自の技術で一番香りが立つ入れ方をしてくれる。

それだけでなく、ランチも格別においしいと評判である。


 駅から出るために階段を下りて、改札機にチケットを通して外に出た。


 駅の周辺は人がたくさんいた。時間に追われるように早歩きで歩いている。通勤ラッシュはとても過酷である。

僕は、それも会社を辞める理由の中に含んでた。駅のホームに行く前に見る大勢の社畜たち。


みんな早歩きをしているため、肩と肩が当たることはめったにある。

そこから、パンパンな電車の中に押し込まれて夏場なんかは冷房があるのにもかかわらず、熱中症になる人も。


 駅から離れると人ごみは少なくなってきた。


この時間帯にカフェに行く人は働いていない人たちか主婦だけである。通勤が混む駅周辺以外はそれほど混んではいなかった。


 数分歩いたら、有名なカフェテリアに着いた。


「ここだね。」

そこは外見からコーヒーがおいしそうな店。木で作られた外観のツリーハウスで中の

インテリアもその雰囲気が良い風紀を醸し出している。


 カラン、カラン。


 店のドアを開けると上についている鈴が鳴った。その音もものすごくよい。高くもない低くもない、適切な音量も店中に響き渡る。


 「いらっしゃいませ!」


 中からウエイトレスが出てきた。にっこり満面な笑顔をしている。多分、本心からではなく接客のためだろう。けど、優しい口調で席への案内やメニューを紹介してくれたりしてくれて、この店は素晴らしいと実際に感じた。


「なに頼もうか、迷っちゃうね。」


メニューの種類は20種くらいでそれほど多くはないけど、迷ってしまう。すべてが適切な角度とライトの色で、おいしそうに撮影されている。メニューのレイアウトで、プロの技術を感じた。


「満知世っと二つで。」


結局二人とも。その日の日替わりランチセットを頼んだ。


「はい、かしこまりました。」


店員は目も取ったら、厨房のほうに入っていった。

なんか忘れている気がすると思った。


それは、このランチのお金がないということだ今僕が持っている所持金は数百円だ

け、このお店の代金を払える額はない。


どうすれいいのだろう。皿洗いでもするか。蒼に聞いた。


「お金足りないんだけど。皿洗いでもする?」


すると、おなかを抑えながら、大声で笑ってきたそこまで笑わなくてもよいでしょ。


「心配しないで。私がおごるよ。」


蒼は、財布を取り出した。新幹線に乗るチケットはなかっただけなので、ランチの二人分のチケット料金はあるらしい。


なので蒼がこの日のランチをおごってくれた。


ランチが来るまで、新幹線の中で話していた事を話しながら待った。

キッチンからは、おいしそうな匂いが香る。その匂いで、おなかはもう空いていた

料理が出る前の会話は当たり前弾んだ。幼稚園のことなのだが僕にとっては人生で一番の思い出である。


楽しかった思い出と、やらかした恥ずかしい黒歴史の思い出まで話した。昔なら耐え

きれなかったが、今では笑いながら話せた。


「お待たせしました。日替わりランチです。」


店員が持ってきた料理は、ブラックコーヒーとミートソースのパスタだった。その上にはおしゃれで緑のパセリが乗ってある。


「いただきます。」


少量の粉チーズがまたおいしいパスタの味が変化していった。コクのある子のパスタの中には隠し味でバターを入れているらしい。赤ワインと白ワインで煮込んだ肉は、臭みはなく独特な病みつきになる味。


「おいしい。」


一口食べるともうその勢いは、止まらなかった。


食事中は、蒼も食べるのに集中していて会話はできなかった。人生の中でランキング上位に乗るだろう。


フォークでパスタ麺を丸めて口に入れる。この単純作業がたのしかった。


「ごちそうさまでした。」


蒼の口周りにミートソースがついているので、机に置いてあるティッシュを取って拭

こうとした。手を伸ばして、口に近づける。


「口についてるぞ。」


蒼は顔尾赤くした。まるで、女子のようだった。


 「ありがとう…。」


 照れながら感謝をした。


 食後にコーヒーを飲んだら、すごく元気が出て来た。今なら何でもできそうな気が

する。


 今なら、僕悩みも打ち明けることができるかもしれない。


 「僕、会社を辞めて今住む場所がないんだよね。」


 はっきりに悩みを話した。僕がどのように小中高大学の期間過ごして、社会人になった人間関係のストレスすべて話した。今までにないくらい会話をした。


 これまで会話と言ってよい会話はしてこなかった。なので、この体験は貴重な経験となった。人と話すのとても良いことだと気づいた。


今まで一人でも生活して生きて行けると思ったが人は古代から群れを作って生活いているので、今のままだとだめだ。


 僕の今までを隅々まで話した関係で入店からもう2時間たっていた。話し終わると蒼は。


 「つらかったね…。」


 両目から大量の滝のような涙が流れてきた。自分のことのように共感をしてくた。こんな反応してくれるなんて思いもしなかった。


 「住む場所がなかったら、家来る?」


 「え?」


 蒼は今自ら会社を立ち上げていて社長をしているらしい。それは、驚きだが幼稚園の頃から頭は周りの人よりも飛びぬけているので予想外の出来事ではない。


 一人暮らしでマンションに住んでいる。税金対策の資金で借りたので、部屋が広く一部屋余っているらしい。そこに無料で寝どころを手影響してくれるらしい。


 蒼に申し訳ないと思ったので、断ろうとしたが町の中を放浪してホームレスになるのはこの真夏にはつらかった。なので、甘えることにした。


 「ありがとう。」


 持つべきものは親友だと思った。これから何か問題が起こったら助けてあげよう。


 机にある伝票を蒼がとり、会計をした。ごちそうさまと伝えたが、礼はいいよと返事をした。


 「あの時、新幹線のチケットを買わなかったら東京には帰れなかった。その時にくれたお金の価値は、住む場所の提供比べてら安いものです。」


 そう言ってくれて有難かった。人に感謝されるなんて何年ぶりだろう。このひとだったら、一生そばにいたい。男性だけど…。

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