第二話
ピピピピ!
スマホのアラームが鳴った。
布団から片手を取り出し、アラームを止めた。サラリーマンとして働いている頃に設定したアラームはスマホの中にまだ残っていた。その設定をすべて解除した。
これからは、自分が起きたいときに起き、どれだけ寝ても問題ない。睡眠を削りながら頑張っていたが、今はその必要はない。きっちり休もう。
遅刻しないように五分ごとにセットしたアラームはすべて解除され、ぼくはまたベットの中に入り熟睡した。
昨日から今日にかけての夢はこれまでの思い出だった。僕にとっては、良い思い出がない悪夢だった。成功したい一心で頑張ったのに、これまで過ごした日々が何だったんでと思ってしまう。
水の泡のように簡単に消えていく気がした。何かかが消える、
その夢を見たくないので、起きることにした。
窓のカーテンを開ける。そこからはまぶしい太陽の陽ざしが部屋の中に差し込んだ。真っ黒だった部屋は一瞬にして明るくなった。
寝ぼけている体も一瞬で起きた。東京で働いていた時は、家賃を節約するために安いボロアパートに住んでいた。そこにはカーテンをつける必要はない。なぜなら、窓の真正面には家の壁がある。その建物が太陽の光を祭儀っていた。
久しぶりに感じた家の大切さ。体を張って会社の為に頑張ろうとしたが、結局意味なかった。
人生は真面目に生きるのは損ではないのだろうか。
これからは、自分がしたいことに全力に向き合うことにしよう。いやなことは断り、ちょり良い人生にすることを決心した。
二階の寝室から出て、洗面所にむかった。その途中母親にあった。
「おはよう、かぁさん。」
「おはよう、リク。」
母親は、今も元気で、親父はもう退職して年金生活をしている。僕は、いろいろ学校では門田英二だといわれていて、それを育ててくれたことには感謝をしている。
なので、できるだけ早くお金を稼げる手段か、ほかの生きていける方法を早く探して親に迷惑をかけないようにしたい・
洗面所で顔を荒い歯を磨いた。生まれてから高校生までこの家に住んでいたので、懐かしい気がした。大学は東京に行ったので、そこから考えるともう5年だ。長いようで、短いようで、変な感覚だ。
鏡を見ると変わらない背景だったが、唯一変わったところは自分だろう。身長は大学の頃少し伸びて、運動をしてなかったが体重はストレスの関係で、昔と変わらなかった。
昔の自分と比べて果たして進歩できたのだろうか。
濡れた顔をバスタオルで拭いて、リビングへむかった。
歩く途中に香るおいしそうな料理のにおい。母親は、昔定食屋で働いていた経験がある。なのでその料理の技術と味はプロ級だ。
両手のしわとしわを合わせて。
「いただきます。」
机に並べてある料理は、味はもちろん一食の栄養はきちんと賄える。食物繊維とたんぱく質はもちろんその他の栄養まである。この料理を食べていたから今も健康に生活ができるのだろう。母親がこの一家をサッサ得ていると言っても過言じゃない。
体重やBMI、BFPすべて標準を維持できている。運動をしてないのに。
感謝を込めて一口一口、口にくわえる。暖かいみそ汁は目から涙下出そうになった。
東京での生活は、家賃と食費は節約していた。というのは建前で、住む場所や
食べるものはどうでもよいと考えていた。食べれればよい、住めればよい。
けど、実家に戻って初心に戻ることができた。幸福とは何か、成功とは何か。朝ごはんでそこまで感じることができた。
おいしい。
「ごちそうさまでした。」
お椀を重ねて、家族全員の皿をキッチンまでもっていった。済ませてもらっているので、少しは手づだわないと思ったので、お皿を洗うことにした。
これで、すこしでも両親に負担が減るのなら。
水を出し食器洗剤で、お皿に泡をつけ、皿の上についている汚れを洗い落した。
朝食を食べ終わると、また二階の部屋に閉じこもった。
今後のことで一人で考えたかったからである。最初は会社を辞めこの部屋で自分がしたいことをすることにしていた。だけど、ここに戻ってやっぱりそれではだめだと感じた。
一日常引きこもってまでしたいことはなかったし、それだとニートと言われてしまう。
有名な大学に行ってニートになる人は、たくさんいるらしい。だけど、そんな人間にはなりたくないと思った。最終手段は生活保護だが、あれには甘えたくない。
「家を出るか。」
自分の荷物を持ちやっぱり実家には迷惑をかけたくないので出ることにした。親は、家にいてもよいと言っているが、安い年金でやりくりするには僕の存在は迷惑になる。
一枚の紙を取り、上に家を出ることを伝えるメモを書いた。
「今まで育ててくれてありがとうございます。お幸せに。」
要件と今までの感謝でシンプルでストレートな文章で書いた。
このメモを机に置き、こっそり物音を立てづに出て行った。
荷物はリック一つだけ。これからどうやって生きるかわからないが、僕は人に迷惑をかけるくらいなら死んだほうが良い。
仕事も見つけるためにやっぱり東京に戻ることにした。
「行ってきます。」
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