0.【コードネーム『死神』2】
俺は諜報員156番「本田 勝矢」。
海外任務を終えた後、帝都にある諜報局に呼ばれた正確には『
『 帝国軍情報作戦局 ー 通称 諜報局 』
表向きには地理や歴史、科学者が開発した技術を国内外から集めて帝国軍の栄光を強固にするという名目で特別に組織された機関。実際は世界各国と国内のありとあらゆる情報、工作、などを行う。
各基地や施設に存在しているがどこが本部なのかははっきりとはしていない、そのため諜報員は転属した基地から各国へと派遣される。
上層部は俺に休ませるつもりはないらしい。部屋番号は『作戦室4号』、ノックを2回して入る。
室内には司令官である
「失礼します。156番本田勝矢ただいま帰還いたしました。」
「本田…お前には帰還早々に次の任務遂行してもらう。おい、さっさと説明しろ。」
「ーハッ」
脇にいた将校が敬礼をして、資料を渡してくる。
中に入っていたのは『霧江』の周辺地図、そして司令書だ。
手にしてから数秒で取り上げられる。
「全て記憶したな。
これから君には霧江へと向かってもらう。任務は他国の諜報員を三人を探し出して抹殺すること、その協力者もだ。
この三人の諜報員はこれからこの月照げっしょう帝国から霧江へと向かうことと、女一人と男が二人ということが判明している。
もちろん我が帝国軍の機密に関わることだ、失敗は許されないことは肝に銘じろ。以上だ。」
将校は手帳を取り出し数ページパラパラとめくるとこちらに帳面を見せてくる。
「そうそう、先ほど伝えた諜報員のスパイの一人がここから程近い港から霧江へ船で向かう事がわかっていたのだった。確か男だっだな。出航は1時30分、まあ急げば間に合うだろう。早速で悪いが任務についてもらうぞ。」
「了解しました。」
敬礼をして、ドアノブに手をかけたときに将校に呼び止められた。
「ああそうだった。一つ手紙を預けるんだった。」
「手紙?誰あてです?」
「霧江にいる諜報員だ。一人だと不安だろう?大陸鉄道の事務所の誰かに渡せば必ず来る。だが、用心深いやつでね。
対処法が書いてあるからメモ通りに動いた方がいい。もちろんそのメモも後で廃棄してくれよ。」
部屋を出た後は、出航前の船に乗ってスパイの一人を探した。船の上でメモに目を通す、内容は封筒に入っている暗号の解き方の詳細が書いてある。この暗号の解き方を知っているということは同じ諜報局の人間であるということだから、これで死神本人かどうかを判別しろということ。
また、その諜報員に出会ったら開口一番に死神と呼ぶことと書いてあった。
ー死神ー
その単語には聞き覚えがあった。
諜報活動の中でも、訓練過程でもこの世界の諜報員全てが感じているであろう違和感。
『霧江』へ行く諜報員の数がとても少ないことだ。
鉄道も通っていれば、港もあるし他の街に比べたら発展している。
ならばこの地は諜報活動の拠点になっていてもおかしくないはずだ。
この話を話題に出したら、例外無く論理的に解析しようとする。
戦術価値から見ると、軍がどうだだの。
そうして最後に一人酔っ払ったやつがこう叫ぶ。
「あの場所には死神が取り憑いている……」
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