溺れる魚へ天使から
空見ゐか
溺れる魚へ天使から
死にたい人間を助けてどうするんだ、と、僕は珍しく考えた。
とある梅雨の日の、昼休みの屋上。塔屋の屋根の下に座り、コンクリートに特攻する雨粒の群れを眺めていると、その向こうから、ドスン、と、どんくさい音がした。半端な量の菓子パンを口に詰め込み、ゴミと傘を一緒に握って音のした方へ向かう。
見覚えのある人間が、フェンスの根本に倒れていた。
見覚えがあるのは、たぶんこの人間が僕と同じクラスだからだ。けれど、僕は人を覚えるのが苦手で、彼が誰だったか、しばらく思い出せなかった。
「い、いってー」
青年は膝を手で押さえている。地面に滴る水滴に、赤い血が滲んでいた。さっきの音からして、フェンスから落ちたのだろう。雨に塗れて、フェンスはかなり滑りやすくなっている。
「今日は誰もいないと思っていた」
意味もなく呟くと、彼は「ぼぼぼ僕もだよ」と気まずそうに言った。「ままままさか、つつ
彼は吃音がひどく、降りしきる雨の音も相まって、神経を尖らせないと何を言っているのか聞き取れなかった。特に「さ」の発音が苦手みたいだ。――ちなみに、紬というのは僕の名前だった。
「昼休みはずっとここにいたから、雨の音で放送は聞こえなかった」
「へ、へえ。ででもどどどうして屋上に?」
「ご飯を食べるときは、一人が好きなんだ。雨の日はいつもここで食べてる。誰もこないからね」
「そそそうなんだ」
「君はどうして?」
これは別に訊かなくてもよかった。見当はついてる。自殺するためだろう。
この短い会話だけでだいたい分かった。彼はライオンで例えると、足が遅くて上手く獲物を狩ることができない個体。社会に適応できず、人間でなければとっくの昔に淘汰されていた個体だ。
彼は俯いたまま「つつ紬くんにはかかか関係ないっ!!!」と叫んだ。
関係ない。確かに。
僕は納得した。
「保健室に連れて行ってあげるよ」
「……え?」
彼は目を丸くして僕を見上げた。……丸くしたと言っても、細い目の上瞼がわずかに持ち上がっただけだ。鼻が極端に低くて顔の輪郭が丸い、豚みたいな不細工な顔だった。
「その足じゃあ、このフェンスを上るのは難しいでしょ」
「そそそうかも」
「今日は自殺に向いてない。今度はもっと小雨のときにしたら?」
「……」
「ほら、立って」
僕は彼の肩を、傘を持ってない方の腕で支えた。
「君の名前は?」
「おっ、おおお覚えてないの? おお同じクラスなのに!」
「覚えてない」
「……
僕は感心した。自分の名前は吃らずに言えるみたいだ。
――すずみ。その言葉の響きで僕は彼のことを思い出した。
「涼海さん、宿題は?」
密かな怒気のこもった
現代文の授業が始まって間もなく、宿題冊子を回収した古城先生は、その枚数を確認するなり端整な顔を歪ませた。
「ももももってくるのをわわわ忘れました」
またか、と、たぶん僕だけではなく、クラスのほとんどがそう思った。
「やややややったんですけど……かかかかばんにいい入れるのを忘れて……」
あちらこちらに目を泳がせながら、起立した彼は昨日とまったく同じ台詞を口にした。他の言い訳を考える知能を持ち合わせていないらしい。素直にやってないと言えばいいのに、どうして嘘を吐くのだろう。むしろその嘘が、古城先生の逆鱗に触れているとも知らずに。
「はあ、まったく。君、今何年生ですか?」
「さささ三年です」
「小学校の?」
「こここ、こ、ここうです」
「なんて?」
「こ、こ、こ……こ、ここう、こ……ここう、こ……」
ふふふ、と、悪意の籠った笑い声がクラス全体から漏れ出す。彼は鳥の鳴き声みたいに「ここう、ここう、」と繰り返していた。
「静粛に! ――『ここう』ではありません、こ・う・こ・う。高校です。別に高校三年生が宿題をやってこようとこなかろうと、私は気にしません。でも、嘘を吐くのは絶対にダメです。何度も言ってますよね? どうしてわかってくれないの?」
「ううう嘘じゃありません……ほほほほんとうにややややりました」
「それ、昨日も聞いたんだけど」
「ううう嘘じゃありません……。うう嘘じゃ、あああありませんっ!!!」
ついに彼は大声を上げて泣き始めた。じゅるる……じゅるる……と、鼻水を啜る音が鼓膜に張り付く。古城先生はため息を吐いて、彼を椅子に座らせた。
「……では、授業を始めましょう。教科書を開いてください」
ようやく授業が始まる。けれど、彼の神髄はここからだ。
ガリガリガリ、じゅるる、じゅるる、
ガリガリガリ、じゅるる、じゅるる、
ガリガリガリ、じゅるる、じゅるる、
彼は不機嫌になると鉛筆の先っぽを口で噛んだり吸ったりする癖がある。そのせいか、彼の鉛筆には無数の歯形が刻まれていた。
ガリガリガリ、じゅるる、じゅるる、
ガリガリガリ、じゅるる、じゅるる、
ガリガリガリ、じゅるる、じゅるる、
音が気になって彼の方を見ると、唾でどろどろになった鉛筆が、唇と糸を引いていた。「新手のASMRかよ」隣に座っているたいちが小声で言って、周りの人たちはみんな失笑して先生に怒られた。
――このように、すずみは発育の遅れた生徒だった。勉強もできず、運動もできず、性格も悪く、容姿も汚い、なんにも取り柄のない人間。普通の人間と同じようにできることは何一つない。病院に行けば、何級かの障害者手帳を貰えるだろう。戦時中ならば、足手まといと言われて真っ先に粛清される類の人間だ。
僕は、すずみについて、もう一つ思い出した。
のちに伝説として語り継がれるその事件は、まだ三年生になったばかりの春の、終礼の直後に起きた。
「ぼぼぼ僕と、つつつつ付き合ってください!!!」
まだほとんどの生徒が残っている教室のど真ん中で、彼は突然告白した。
「……えっ?」
そのあまりの気迫と声量に、運悪く彼に目をつけられた人間は、びくりと身体を震わせた。
時が止められてしまったかのような、沈黙。無音。何が起きたのかさえ分からず、部屋にいる全員の視線が部屋の中央、その二人に集中した。
告白されたのは、見るからに気弱そうな少女だった。長く伸ばした前髪の隙間から見える大きな瞳は、今にも泣きだしそうだ。
「ききききみのことが、しゅしゅ、す……しゅ、す、しゅきです!!!」
哄笑と悲鳴が同時に舞い上がり、すぐに教室はカオスに満ちた。
彼はそんな周囲の様子など一切気にせず、演説を始める。
「きょきょ今日から、ぼぼぼ僕たちは、おおおおおお互いの手をたたたずさえて、どどどどのような困難が訪れようとも、おおおおお互いを強く信じて、えええ笑顔溢れる、あああ温かい家庭をききき築くことを、ちちちち、ちちちちちち誓いますっ!!!」
「あはははは、ああ、腹がいてー」「みなと、お前結婚すんのかよ」「わざわざ覚えてきたんだな、知能障害のくせによく頑張ったよ」さまざまな声が混沌の中に飛び交う。少女は膝から崩れ落ちて泣いていた。そんな彼女の唇に、彼は無理やりキスをして、教室はさらにどっと沸いた。学級委員長が喧騒を必死に鎮めようとするが、まったく効果がない。後になって委員長から騒ぎを聞きつけた古城先生がやってくるまで、この地獄は続いた。
人間は優しい。だから、彼のような人間未満の人間でも、こうして十八歳になるまで生きることができたのだろう。――けど、それは果たして正しいのだろうか? 天使に訊いてみよう、と、僕は彼を保健室に運びながら思った。
▼
梅雨が明けてしばらく経った日、僕は図書館で宿題をしていた。帰宅部の僕は、帰る前に図書館で宿題を片付けるのが日課だった。
「おい、紬」
背後から僕を呼ぶ声がした。見ると、同じクラスのたいちだった。
「きららが呼んでる。来い」
たいちは不愛想な口調で、このご時世には逆に珍しいくらいの真っ当なキラキラネームを口にした。
きらら、るみ、たいち、まこと。僕のクラスの四人組で、いわゆるいじめっ子グループだ。関わるとろくなことにならないのは明らかだった。
「どうして?」
「いいから、来い!」
たいちに無理やり腕を引っ張られ、僕は仕方なく彼の後についていった。
時刻は午後六時。まだ空は仄かに明るいが、ほとんどの生徒はすでに帰路についていた。
「どこに行くの?」
「教室。三年B組の」
僕らの教室だ。
嫌な予感がした。腕を振りほどいて逃げる? いや、逆らった方が、たぶんもっと嫌なことになる。
階段を上ると、まことが教室の前に立っていた。見張りだろう。
たいちとまことに両腕を抑えられ、教室に這入る。
変なにおいがした。あんまり嗅いだことのない、不快な匂い。
「ははっ、みなとが好きな紬くんのご到着だよー」
「よかったね、みなと。紬くんが来てくれたよ」
るみときららが、明かりのない教室で僕を歓迎した。
二人は僕を、僕の机に導いた。そこには口をガムテープで塞がれ、下半身を露出させた人間がいた。僕はその人間の名前が「みなと」であることを初めて……いや、改めて知った。
みなとは身体中の毛穴から大量の汗を流し、疲れ切った表情で僕を眺めている。
「みなと、イけないの。障害児なんじゃない?」るみが楽しそうに言った。「だから、紬くんに手伝ってほしくて」
「手伝うって、何を?」
「オナニー。したことないんだって」
「は?」
「ほら、早く」
るみは後ろから僕の身体を抱きしめて抑え、きららは僕の右手をがっちりと掴んだ。
「みなとが言ってた。紬くんにしてもらえば、イけそうだって。紬くん、女の子みたいに可愛い顔してるし、最近そういう子人気なの」
きららの手に誘導され、僕の手がみなとの性器に触れる。気持ち悪い。
みなとは抵抗することなく、まるで壊れてしまったかのように動かなかった。
「どうしてこんなことをするの?」
「さあ、楽しいからじゃない?」
「変態だ」
「これ、動画とってるから。あんま喋んない方がいいよー」
何度か僕の指の先端がみなとに触れると、みなとは達した。汁が飛ぶ。「うげえ、汚いなー」きららは手を叩いて喜んだ。「おめでとう、みなと! 大人の階段のーぼるー、きみはまだー、――」
「おい」
後ろからたいちが焦った声色で言った。
「さすがにやばいだろ、これ」
「たいちは意外と度胸がないのね」
「俺もやり過ぎだと思う」まこともたいちに同調した。「こいつが自殺したらどうするんだ」
「ガイジに自殺なんかできないでしょ」
「帰るぞ」
「ええー」
たいちとまことは、僕からきららとるみを引きはがした。
「動画、とってるからな。お前も共犯だぞ、紬」たいちが言う。
「机、綺麗にしといてね。そいつは好きにしていいよ」きららが言った。
四人は教室を去った。
僕は時計を見た。午後六時二十分。下校時刻、つまり、職員室に鍵を返しに行かなくてはいけない時刻まで、あと十分。
教室の隅にある用具入れのロッカーから雑巾を三枚取り出す。みなとが邪魔だったので、ガムテープを口から剥がして、その身体を隣の机に移動させた。
「早く服を着て」
呆然自失しているみなとに呼びかけつつ、雑巾で床や机を拭く。
よく耳を澄ませると、みなとは小声で何かを呟いていた。
「………紬………ごめ………い……ご……めん………紬く……ん………さい………」
みなとが死んだのは二日後のことだった。
▼
みなとが死んで、その次と次の次の日は休校だった。
僕は朝の十時に起きて、僕の部屋のクローゼットの中に住んでいる、双子の妹と話していた。
双子の妹――
「いじめは許されないって、人間は言うよね。けど、それは間違っている。許されているから、いじめは起こるの」
「どういうこと?」
意味がよく分からず、僕は訊いた。
「例えば、勉強ができて、運動ができて、性格もよくて、顔も綺麗な女の子がいたとする。その子がいじめられると思う?」
「思わない」
「どうして?」
「いじめられる理由がない」
「そうだけど、正確には、いじめることが許されないから。だって、誰かがそんな完璧な子をいじめていたら、腹が立つでしょ? 腹が立つってことは、その子をいじめることが、許せないってことだよ」
柚は宝石のような、美しく感情のない瞳で僕を捉えて笑う。
「逆に言えば、いじめられていても腹が立たないような人間に対してなら、みんな案外簡単にいじめを許す。別に、みんなが寄ってたかってその子をいじめるわけじゃないよ。ただ、許す。許して、傍観する。――周囲から孤立した社会の中で、そこに属する人間たちが、その人間をいじめることを許容した場合のみ、いじめは生じる」
「でも、正義感の強い人なら、どんないじめも許さないんじゃないの?」
「あは、そんな人間、いるのかなー? テレビだって、ネットだって、みんなみんな人を馬鹿にして笑ってるじゃん。質の悪いことに、無意識にね。
そう、無意識なんだよ。人がね、いじめられるのを許す人間と、許さない人間を選別するのは」
ピンポーン、ピンポーン
インターホンが鳴った。「ちょっと出てくる」僕は起き上がって、柚を残して部屋を出て、玄関前を映すモニター画面を確認した。映っていたのは、つり目で気の強そうな少女の顔だった。
一階に下りて、玄関の鍵を開け、外に出る。
「おはよう」
「ああ、紬くんね。おはよう」
委員長は軽く手を振って応えた。背は低く、身体は華奢だが、凛とした顔立ちと声色は、いかにも委員長という雰囲気だ。「これ、差し入れ」委員長はアンリシャルパンティエの袋を僕に差し出した。
「どうしたの、こんな朝に」
「ちょっと相談したいことがあって」
「僕に?」
「ええ」
「上がって話す?」
「ここでいいよ、別に」
「今、両親は仕事でいないんだ。遠慮しなくてもいいよ」
「……変なこと考えてないよね」
「委員長こそ、どうして僕の家が分かったの」
「
委員長を家に上げる。玄関にもどると、寝間着姿のままの柚がそこにいた。
「彼女さん?」
「違うよ。僕のクラスの委員長。……それより、柚、出てきて大丈夫なのか?」
戸籍上、柚は五年前に死んだことになっている。というか、死んだはずだ。交通事故でトラックに頭を潰されて。
けど、柚は何食わぬ顔で、事故の一か月後に僕のもとに帰ってきた。柚はほんものの天使になったらしい。両親はこのことを知らない。だから、柚はずっと僕のクローゼットの中で隠れて暮らしている。両親は共働きで夜まで帰ってこないから、生活に不自由はないらしい。
「たまにはいいでしょ。おはようございます、ええっと……お名前は?」
「
「はい。柚です。いつも兄がお世話になっています」
「いえいえ、こちらこそ」
リビングの椅子に、僕と柚が並んで座り、テーブルを挟んでその対面に委員長が座った。
「柚ちゃんも今日は学校が休みなの?」
「はい、今朝は体調が悪くて」
「えっ? そ、そうなのね。ごめんなさい、急に押しかけちゃって」
「いえ、今はもう元気です。……それで、兄に相談とは、どのようなことでしょう」
インターホンから会話を聞いていたらしい。柚が委員長に訊いた。
顔も声も僕とほとんど同じなのに、柚の言葉には不思議な力が宿っている。教会の牧師みたいに、妙な説得力があった。委員長もそれを感じているらしく、やや躊躇いながらも要件を話し始めた。
「紬くんは知ってると思うけど、私のクラスの生徒が死んだの」
「それで?」
「学校の先生はみんな、その子が自殺したって言うんだけど、私はどうしても納得できなくて……それで、紬くんに相談を」
「なぜ兄に?何か証拠があるのなら、警察を頼るべきでは?」
「証拠があるわけじゃない。それに……みなとが言ってた。自分を人間として見てくれているのは、紬くんだけだって」
「みなとが、僕のことを?」そういう風に思われているなんて知らなかったので、僕は思わず口を挟んだ。
「ええ。……私、小さい頃、みなとと友達だった」
「友達!?」今度は大きな声が出てしまった。「委員長とみなとが友達だったの?」
「何か悪いかしら」
「いや、悪くないけど……あまりそういう風には見えなかったから」
「最近は話さなくなったからね……。けど、あの子は私に嘘を吐かないから、これは本当。だから、紬くんだったら、もしかしたらと思って、声をかけてみた」
愛の反対は無関心だと、マリオのキャラクタみたいな名前の人が言ったらしいが、この場合だと無関心は愛だったのかもしれない。僕は大抵の人間に無関心だから、どんな人間に対しても同じように接することができる。けど、それだけだった。
「事情は分かったけど、それで、なぜみなとの自殺に納得ができないの?」
「だって、みなとは、自分で自分を殺せるほど、強い人間じゃない。それに……私は一昨日の夜、みなとの屍体を少しだけ見た。とても自殺で死んだ人の屍体には見えなかった」
「その屍体について、詳しく聞かせていただいてもいいですか?」
柚が顔を寄せて訊くと、委員長は当時の状況を徐に語り始めた――。
屍体の第一発見者は、きらら、るか、たいち、まことの四人だった。
たいちとまことはすでにサッカー部を引退しているが、きららとるかはまだ吹奏楽部で現役だ。部活が終わるのは午後五時半だが、きららとるかはいつもその十分前には音楽室を後にしていた。四人は毎日、午後五時半に校舎三階の三年B組の教室に集合し、下校時刻の午後六時半までの一時間、みなとをいじめる。
普段通り部活を早めに切り上げたきららとるかは、二階の音楽室から校舎西側の階段を上る。三階の廊下には西側から東側に向かって、A組、B組、C組と教室が並んでおり、さらに廊下の西側の端にはトイレがある。
二人が三階に上がると、ちょうど反対側の廊下――C組の向こうからたいちとまことが現れた。軽く手を振ると、向こうも手を振るしぐさを見せた。また、A組の教室の前で、三人の女子生徒とすれ違った。彼女らはA組で活動しているボードゲーム部の部員で、決まって五時半に部活を終える。教室に鍵をかけ、きららたちを避けるように、彼女らはそそくさと西側の階段を下りた。
四人はB組の前で合流して、教室に這入った。
「あれー? みなとはー?」
るかの言葉通り、明りのついた教室には誰もいなかった。
「逃げたのかなー? 電話して呼んでみる?」
「いや、鞄がある。トイレにでも行ってんじゃねえの」
「おい、お前ら、あれ……」
まことの怯えた声。彼が指さす方向に、四人の視線が集中する。掃除用具入れのロッカーだ。
「あれ……、みなとじゃね?」
ロッカーの扉は開かれていて、頭をロッカーの中に突っ込んでそのまま眠っているかのような、奇妙な体勢で座る下半身だけが、外側から認められた。
「おい、何してんだよ」
「私たちを怖がらせようとしてるんじゃない?」
「おーい、生きてますかー? みーなーとーさーんー?」
るかが呼びかけても、全く反応がない。
「おい! なんとか言えよ、お前! 寝てねえでさ、なあ!」
きららはロッカーに歩み寄り、その身体を掴んで引きずり出そうとした。しかし、「おもっ」予想以上の身体の重さに、きららは掴んだ手を離した。バシャン、という音と同時に、ロッカーの中から水が溢れ出す。支えを失ったみなとの身体は、ずりりときららの足元に崩れていった。それは、どう見ても生きている人間のなせる動きではなかった。きららは逃げるように後退りする。
「何これ……」
ロッカーの中に、青いプラスチックのバケツが、俯いたままのみなとの顔の横に転がっていた。薄茶色の水は、今もロッカーの中から溢れ続けている。
「……死んでる?」
「嘘だろ?」
「おい、きらら、お前……何やったんだ!」
「何もしてないわよ!」きららは泣きそうになって応える。「あんたたちも見てたでしょ? 身体を掴んで、持ち上げようとしだだけよ。こいつ……バケツに顔を突っ込んで、死んでたのよ」
「はあ?」
「ついに頭がおかしくなったんだわ」
「自殺……ってことか」
「たぶん……」
横たわるみなとの屍体を見下ろして、四人はしばらくの間、口を閉ざした。
「なあ、これって、俺らやばくねえか」ややあって、沈黙を破ったのはまことだった。「俺らがこいつをいじめてることは、クラスの全員知ってるだろ。あいつらがこれ見たら、俺らが、その……
「はあ? こいつが勝手に死んだんでしょ! 私らは何もしてないわ」
「そうだよ、そうだけど……普通、こんな自殺、しねえだろ。水張ったバケツに首突っ込んで自殺って、聞いたことあるか?」
「……こいつ、ガイジじゃん。あり得るでしょ」るかが言う。
「俺らはそれ知ってても、警察がどう思うか……」
「警察!」きららがヒステリックに叫んだ。「いやよ、私! 犯罪者なんて!」
「落ち着けって。誰が何と言おうと、俺たちは殺してねえ」
「落ち着いてなんていられないわよ。こいつのせいで、こいつが死んだから、私らが疑われるのよ!」
「俺、先生呼んでくる!」
ずっと黙っていたたいちが言って、走りだそうとする。すぐにその腕をまことが掴んで制止した。
「正気か、お前? さっきの俺の話聞いてたか?」
「ああ、聞いてた。それで思ったんだ。ここで俺らがだらだら言い争うほど、俺らはより怪しまれる。さっき廊下でボードゲーム部のやつらとすれ違ったろ? それからまだ五分くらいしか経ってない。五分でトイレ行ってバケツに水張って、戻ってきて人間一人殺せると思うか? なあ、俺の言ってる意味が分かるか?」
たいちはまことの腕を振りほどいて、廊下に飛び出した。屍体と共に教室に残された三人は、その後姿を黙って見送った。
「――これが、彼ら四人から聞いた話。その後、学校中が騒ぎになって、先生や私が教室を見に行ったのは、午後六時四十分頃だった。みなとの亡骸を見つけた先生は、すぐに生徒たちを三階から追い出した。だから、私も教室の中はよく見れてないのだけど……」
長話を終えた委員長は、柚が淹れた紅茶を啜って喉を潤した。
「そのみなとさんが顔を突っ込んでいたというバケツは、常にロッカーに常備されているものですか」
柚が問う。「ええ、そうだけど」と委員長はやや戸惑いながら応えた。
「そうですか。……それから、たいちさんって人が言っていた通り、仮にバケツに水を汲むとしたら、それはやはり廊下の西側にあるトイレから、ということになるのですか」
「そうね。校舎の中だと、水を汲めるのはトイレくらいじゃないかな。トイレは一階、二階、三階の、同じ西側の一番端にあるのだけど、三階のトイレから水を汲んできたと考えるのが自然だと思う。わざわざ階段を下りて、二階のトイレから汲んでくることはないし」
「バケツの水は普段は空?」
「え? ええ……バケツを使うのは、年末の大掃除のときくらいだから」
「ちなみにボードゲーム部の三人からは、話を聞きましたか?」
「ええ、もちろん」
委員長は肯いて、再び話し始めた――。
くみ、えみ、ゆみの三人は、放課後、三年A組の教室を使って、ボードゲーム部の活動をしている。とはいっても、単に仲良し三人組で駄弁りながら、ボードゲームで遊ぶだけの部活だ。
その日も三人は、終礼後の掃除が終わって誰もいなくなったA組に集まった。オカルト好きのゆみの発案で、三人は教室の中央に机を寄せ合って『こっくりさん』をしていた。
「こっくりさん、こっくりさん。私の天使、紬くんが密かに恋をしている女性は私ですか?」
「何それ」くみの質問に、えみは呆れて笑った。「あんな女々しい顔の不思議ちゃんのどこがいいわけ」
「わかってないなー。そこがいいんでしょ。きゃわいいじゃない。きゃわわだよ。きゃわわだよね、ゆみ?」
「きゃわわきゃわわ」
「もっと感情を込めてっ」
「きゃ、きゃわわわわわー」
そうこうしているうちに、三人の指を乗せた十円玉は、やがてゆっくりと文字列の上を移動し始めた。
「……い……い……え? おい、おめえら、何してくれとんのよ! そこは嘘でも『はい』って動かすのが友達ってもんでしょ」
「私、友達には嘘を吐けないわ……」えみはわざとらしく片手で胸を押さえながら言った。
「あんたねえ」
「もはやこっくりさん関係ない」ゆみが不満げに呟く。「真面目にやって」
「ごめんごめん。つい、うっかりね」
「えみが悪いのよ、私は大真面目」
「はいはい。次は……私ね。何にしようかな。私、あんまり悩みなんてないからなー」
今度はえみがこっくりさんに質問しようとした丁度そのとき、ガラガラと教室のドアが開いた。
「あら、楽しそうなことやってますね」
現れたのは古城先生だった。
古城先生はこのボードゲーム部の顧問で、毎日、午後四時半になったら、ちゃんと三人が部活動をしているのか様子を見に来る。
「懐かしいわね、こっくりさん。私も学生のとき、やったことがあります」
「そうなんですね!」とくみ。「どうでしたか、十円玉、動きました?」
「さあねえ。動いたかもしれないし、誰かがこっそり動かしていたかもしれないし……そこが楽しいのじゃない?」
「そうですかねえ……」
「でも、気を付けた方がいいわよ」古城先生は声色を変えて、おどろおどろしく言う。「たまにいるのですよねえ。遊び半分で、悪い霊を呼び寄せてしまう子たちが」
「ゆ、幽霊なんて、いないですよ」
「さあ、どうかしらね」
古城先生はくみたちが机に広げていたポテトチップスを一口だけ食べて、部屋を後にした。「じゃあ、また明日。戸締り忘れないでね」
それから少し経って――午後四時四十五分。
「音」
こっくりさんを続けていると、急にゆみが呟いた。
「音?」
「うん、廊下から」
三人は黙って、耳を澄ませる。
僅かだが、ずるり……ずるり……と、何かをゆっくりと引きずるような不気味な音が、廊下から聞こえた。しかし、教室の外には誰もいない。三人はぴくりとも動けなかった。
「ほんとに……」くみは顔を青く染めて言う。「ほんとに幽霊が来ちゃった」
「なんだか不気味ね。誰かが廊下を
「かんじーさいぼーさーぎょーしーはんにゃーはーらーみーたーじー」
ゆみはこのときのために家で練習してきた、うろ覚えの般若心経を唱えていた。
「ちなみに、三人によると、部活が始まった午後四時から五時半までの間、古城先生を除いて誰もA組の前の廊下を渡っていないそうよ。幽霊が来るかもしれないから、神経を尖らせてずっと見てたんだって」
話し終えた委員長は、冷めた紅茶をずずずっと飲み干した。
委員長の話をまとめると、きららたち四人がみなとの屍体を見つけたのが午後五時半。さらに、ボードゲーム部が部活を始めた午後四時から午後五時半までの間、A組の前の廊下を通ったのは古城先生だけ。ちなみに、その日は僕が掃除当番だったから知ってるけど、掃除が終わった午後三時五十分の時点では、当たり前だが掃除入れのロッカーのバケツは空だった。
「水か」僕は呟いた。
「そう、水が問題」柚は肯く。「午後四時の時点でバケツが空だったとすると、屍体が発見された午後五時半までの一時間半の間に、誰かがバケツに水を汲んだことになる。その狙いは、たぶんたいちさんの危惧した通り、この殺人をいじめっ子グループの四人によるものだとミスリードさせるためだと思うけど」
「ボードゲーム部の三人の話から、バケツに水を汲みに行くことはそもそも不可能だよ」
バケツを持ってB組からトイレに向かうには、最短ルートだと、A組の前を通らなくてはならない。しかし、もし誰かにバケツを持っている姿を見られたら、その水でみなとを溺死させた犯人だということがバレてしまう。
「質問してもいいですか?」柚は委員長に言った。
「どうぞ」
「月見里さんの話によれば、一昨日の午後四時から五時半までの間、A組の前の廊下を渡ることができたのは古城先生のみ。しかし、それでも往復はできない。トイレとB組を往復するためには、当たり前ですが、行きと帰りでA組の前を最低でも二回通らないといけませんから。けれど、A組にいた三人は、教室に訪れた先生を一度見ただけで、他には誰も見なかった……。そこでなのですが、A組の前を通らずに、つまり、B組から東側の階段を下り、二階の廊下を経由して、西側の階段から三階のトイレに行く――これを誰にも見られずに行うことは可能でしょうか?」
「ほとんど無理だと思う」委員長は自信ありげに応えた。「二階の廊下の、東の端には音楽室があって、部屋の中から廊下の様子はドアのガラス越しに常に筒抜けだし、あの日は二階の教室で補習があったはず。誰にも見られずに廊下を渡るなんて、よっぽど運が良くないとね。あと、一階も駄目。職員室があるし、そもそも人通りが多すぎる」
「ありがとうございます」柚はフィナンシェを頬張りながら礼を言った。「みなとさんを殺した犯人が分かりました」
「え? ……ほんとに?」驚く委員長。
「ほんとです」
「犯人は誰なの?」
「会いに行きましょう」柚は立ち上がった。「紬、制服を貸してくれる?」
▼
僕と委員長と古城先生が、限りなく気まずい雰囲気の中、三年B組の教室で待っていると、柚がトイレから帰ってきた。
「お待たせしました」
「あなたは?」古城先生が訝しげに訊ねる。「紬くんとそっくりだけど、お友達ですか? うちの学校に紬くんは一人だけだった気がするけど」
「私は
「は?」
「あは、冗談です」柚は笑った。「でも、冗談は半分だけ。
「……それで、柚さんは私に何か用ですか?」
「古城先生、でしたっけ? あなた、みなとさんを殺しましたよね?」
「は?」古城先生はいよいよ苛立ちを隠せずに、声を荒げる。「冗談でも言っていいことと悪いことがあるわよ」
「めんどくさいので、はいかいいえで応えてください。あなたはみなとさんを殺しましたね?」
「……いいえ」
「では、これからあなたがどうやってみなとさんを殺したのかを説明します」
「だから、なんで私が……」
「まずは私の説明を聞いてください。それから、言い逃れができそうかどうかをしっかりとよく考えてください」
柚は教壇に腰を下ろし、僕と違って腰まで伸びた黒髪を手で弄りながら喋り始めた。
「まずあなたは、放課後、いじめっ子グループのきららさんたちから、この教室で待つように指示されているみなとさんに接触しました。この辺りは推測ですが、あなたはみなとさんがいじめられていることを知っていて、その相談に乗る形で、みなとさんと話したのでしょう。みなとさんはあなたの偽りの優しさに触れ、嗚咽をあげて泣き始めました。なので、あなたはみなとさんを、トイレに行って顔を洗うように誘導しました」
「何それ、全部あなたの妄想じゃない」
「時刻は午後四時半。あなたはみなとさんをトイレに連れていく途中、A組のボードゲーム部の三人を訪ねました。あなたが三人と話している最中に、みなとさんは廊下を渡ってトイレに行きました。ゆえに、三人にはみなとさんが見えませんでした」
「ねえ、ふざけないでよ」
「それで、A組の教室を出たあなたは、みなとさんの待つトイレに向かいました。あなたはあらかじめ、トイレの掃除用具入れの個室の、シンクの底に栓をして水を張っておき、そこにみなとさんを誘導した上で、みなとさんの顔をシンクに突っ込んで溺死させました」
さっき柚が三階のトイレに行ったのは、洗面器やシンクに水を張ることができるのかを確認するためだったのだろう。
「けど、それだと、バケツの水の問題はどうするの?」僕は気になっていたことを柚に訊いた。「古城先生がA組を訪れたとき、先生はバケツなんか持ってなかったよね。それじゃあ教室に水を運べない」
「いい質問だね、紬。そこが先生の工夫ポイント、ですよね?」
古城先生は柚の言葉を黙殺した。
柚は「あは」と嬉しそうに笑う。
「つまり問題は、誰にも見られずに、トイレの水をB組のバケツに運ぶこと。では、古城先生はどうやって水を運んだのか? 答えは簡単です、屍体を使ったのです、水を貯える容器としてね」
「みなとの、屍体を……」委員長が信じられないという表情で呟く。
「古城先生はみなとさんを溺死させたあと、その屍体の口や肛門にホースで水を入れました。胃や大腸は、限界まで膨らませれば、かなりの量の水を貯えることができるはずです。水を入れたあとは、ガムテープか何かで水が漏れないように栓をすればいいでしょう」
耳を刺すような沈黙に、柚の声だけが歌のように響く。
「さて、あとは屍体をトイレからB組に運ぶだけです。古城先生はみなとさんの屍体の足をホースの先端で縛り、もう片方の先端を廊下のトイレ側からB組の方へ、なるべく音がしないように投げます。その後、先生は急いで二階へ降りて、廊下を渡り、西側の階段から三階へ向かいます。そして、先ほど投げたホースの先端をC組側から引っ張ることで、みなとさんの屍体をA組の前を通らずに回収しました。また、そのとき、屍体と廊下の床が擦れる音がしたはずです。こっくりさんをしていたボードゲーム部の三人が聞いたのは、このときの音でしょう。時刻は午後四時四十五分だったと言ってましたから、時間的にも矛盾はありません。
屍体やバケツの水を調べれば、水がみなとさんの身体の中にあったものだということは、分かるかもしれません。しかし、それはそれで先生にとっては構わないことです。みなとさんが、そういう類のいじめによって死んだということにできますからね」
「……あとは、屍体に入れた水を用具入れのバケツに移して、その中に屍体の頭を突っ込むだけってことですよね?」古城先生は人を殺せそうな視線で柚を睨んで言った。「確かに、その方法だと、殺すことができたのは私だけね」
「はい。……これは余談ですが、つまり犯人は、みなとさんをトイレに誘導することができた人物です。察するに、ある程度みなとさんが信頼する人物でなければ成立しません。例えば、親友や先生など。とはいっても、クラスでいじめられていたみなとさんに、友達などいなかったでしょうから、先生です。また、いくらみなとさんでも、男性に、男性用トイレや女性用トイレに誘導されれば、さすがに不審に思ったでしょう。つまり、みなとさんは女性に女性用トイレに誘導された。この学校の女性教師はあなただけみたいですね、古城先生。まあ、そんな回りくどいことを考えなくても、そもそもA組の前の廊下を一度でも通れたのはあなただけなのですが」
「かわいそうだったのよ」古城先生は窓から遠くの空を見つめて言った。「この世界には、どう生きたって不幸にしか生きられない人間がいるでしょ? 死んだ方が絶対にいいって、街中アンケートで百人中百人が答えるような人間。自分で自分を殺す勇気を持っていたら、まだマシだわ。彼女には、その勇気がなかった。だから、私が代わりに殺してあげたのよ。かわいそうな彼女を、慈悲深い私が、殺してあげたの。あなたにこの気持ちが分かるかしら、天使さん?」
「人間の気持ちはよく分からないですね」柚は真顔でそう応えた。
▼
気の弱い雨霧は涼海のあの告白を断り切ることができず、それをいい気に涼海は雨霧に付きまとい続けた。それがクラスの男子の間で話題になって、雨霧は男子とならどんな奴でもヤらせてくれるという噂に変わり、それを面白がったきららたちに標的にされ、ついには酷いいじめを受けるようになった。これは天使が真実を暴いたその日に、委員長が泣きながら僕に教えてくれたことだ。
霧雨の降る屋上には、先客がいた。
ドスン、と、どこか聞き覚えのある音がして、僕は駆け寄った。
フェンスの根元で倒れていたのは、やはり涼海だった。
「つつつ紬くん。ままままた会ったね」
「すずみくん、しばらく休校続きだったから、久しぶりだね」
「ぼぼぼぼ僕の名前、おおお覚えてくれたんだ、ううう嬉しいな」
「またフェンスから落っこちたの?」
「ううううん」
涼海は恥ずかしそうに頭を掻く。もともと変な方向に曲がっている足からは、血が滲み出ていた。
「ねえ、あれから僕、考えてたんだけど」そういって、僕は涼海を見下ろす。「君が自殺したいのってさ、雨霧さんがいじめられているのが自分のせいだって知ってて、それに負い目を感じているからかな?」
「いいいいいじめ? おおおお負い目? ななな何言ってるの紬くん」涼海は気色悪い声で言った。「ぼぼぼ僕のみみみみ湊がね、たたたたたいちくんと、ままままままことくんに、おおおお、おおお、おおっ、おっ、おっかっ、おかか、おか、犯されたんだ!! ぼぼぼぼ僕とは、つつつつ付き合ってるのに、ままままだ、せせせっ、せ、せっ、せ、せっく、せっくっ、せせせ、せ……せく、せくス、せせせクス、セックス!! !!したことないのに!!!!」
「それが死にたい理由?」
「はあ……はあ……そそ、そうだよ」
肩で臭い息を切らしながら、涼海は何か助けを求めるような目で僕を見つめる。
「ね、ねえ……ぼぼ僕、ああああ足がさ、いいいい痛くて、ひひひひ一人で歩けないよ。だだだだからさ、つつつつ紬君……ほほほら、ああああのときみたいに、ほっ、ほっ、ほほ、ほほほけんしつに……」
「今日はいい自殺日和だね」
僕は天使のように灰色の空を見上げて言った。「ほら、さっさと立てよ」
終わり
溺れる魚へ天使から 空見ゐか @ikayaki_ikaga
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます