第1話 選択

「か、かみぃぃ!?」

「そうじゃ、我は神、ノルンじゃ。」


と言って、男か女か分からない風貌のものが現れた。

それにしても神か。まあトラックにひき殺されたから、あり得ない話でもないか。

それはそうと、コウのやつ俺が死んだせいで落ち込んでほしくないな。


「うむ、確かに落ち込んでほしくないの。」


そうそう、落ち込んでほしくないんだよ。って、


「僕今、声に出していないよね。もしかしてあれですか、神は心が読めるんじゃ、的なやつですか!?」


「違う違う、そんなたいそうなものではない。」


ね。ていうことは、本当に心が読めるのかも。

でも、じゃあ今のはどういうことなんだ?


「今のお主は魂がむき出しの状態。隔てるものがないから、筒抜けじゃ。」


そういうことなんだ。でも、なんか恥ずかしいな。それにしても今の僕はどういう状況なんだ?


「お主の事は我が呼び出させてもらった。」


「呼び出す?なんでなんですか?」


「その前に謝らないといけないかもしれぬの。本当に申し訳なっかた。」


「ど、どうしたんですか急に。」


「少し確認したいんじゃが今まで、机の角に足の小指をぶつけるのが一日に何十回もあった、というようなことがなかったか?」


た、たしかにあった。あのときはそうとうイラついてたはずだ。


「や、やはりか。実はの、今までお主にふりかかっていた不幸の多くは我らのせいなのじゃ。」


「どういうことですか。」


「うむ、実は神というのは複数いてな。と言っても、全員が全員良い神とは限らないのじゃ。そして、悪い神の一人、グーマがお主に不幸が多くふりかかるようにしていたのじゃ。」


「な、なんでそんなことを。」


純粋に不思議に思う。なんでそんなことをするのかを。


「それはあ奴は、人の絶望を養分として強くなるからじゃ。」


じゃ、じゃあ自分のために僕にそんなことをしてきたのか。


「ほ、本当に申し訳ないのじゃ。こうなってしまったのは我にもせきにんがあるのじゃ。お詫びと言って話なんだが、お主には、選択する権利を授ける。」


選択?


「何を選択するんですか。」


「このまま天界に行くか、異世界に転移するかだ。」


異世界転生!?

まあでもこのまま天界に行ってもやりきれない思いがあるし、異世界転移は少し興味があるから...


「異世界転移でお願いします。」


「うむ、了解じゃ。では今回は特別にお詫びとして、いくつかお主の願いを聞き入れよう。」







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