第3話 ひとりぼっちのカンタータ ⑦
『演劇部フラれたってよ』
みずほ姉ちゃんの口利きを持ってしても、演劇部の勧誘は実を結ばなかったらしい。
龍兄からメッセージでその報告を受けたのは、放課後、図書室に借りた本を返しに行こうときのことだ。
第三者の俺にわざわざ連絡をくれたのは龍兄なりの配慮なのだろう。たとえそれが俺のガス抜きが目的だったとしても、こういう細やかな気配りをできるのはさすがだった。
驚いたのは、龍兄からその連絡が来たとき、自分が思った以上に残念な気持ちになってしまったことだ。心のどこかで俺も変な期待があったのかもしれない。あの潤花が舞台に立っていたら一体どんな世界を見せてくれただろうかと想像を掻き立てられてしまったのは、やはりあいつが『何かすごいことをやってくれるかもしれない』というような破天荒な可能性を秘めているからだろう。
「……まぁ、俺には関係ない話だけどな」
こういう勝手な期待を抱くやつらが、あいつの周りにたくさんいるんだろうな。
そんな連中からの、引く手数多の勧誘。それが毎日絡まれていたとしたら、仮に潤花じゃなくたってうんざりして逃げ出したくなるだろう。
一部始終を目の当たりにしたわけではないが、そういったことに関しては少しだけ潤花に同情した。
「ん?」
図書室の前を通っていると、階段の踊り場の方から誰かの話し声がした。
「……美珠さん、他に部活とか考えてないんでしょ? 入部を考えるのは先でいいから、体験入部の延長だと思って、もう少しうちにいてくれないかな?」
「あー……他の部にもそういうこと言われたんですけど、時間縛られるの好きじゃないんで、全部断ってるんですよね。すいません、私これから美術部の見学行きたいんで」
……げ。潤花の声だ。
噂をすれば影である。
俺は壁際に隠れてこっそり踊り場の方を見下ろすと、潤花とバレー部のユニフォームを着た長身の女子生徒が話し合っていた。靴の色からして、女子生徒は二年生だ。
「待って! あと五分! あと五分だけだから!」
「えぇ……」
潤花が歩き出そうとすると慌てて制止され、眉をひそめる。
幸い二人ともこちらの様子に気付いていないが、必死に食い下がる先輩に対して、潤花は次第に苛立っている様子が見て取れた。
まずい……あいつ、大丈夫か?
良い意味でも悪い意味でも、潤花は何をしでかすかわからない。今の潤花をこのまま放っておくのは非常に危険な気がしてきた。
俺は死角に隠れたまま固唾を飲んで二人のやりとりを見守り続けた。
「お願い! 私たち、どうしてもインターハイに出たいの!」
「それは今いる人たちで頑張るのが筋じゃないですか?」
「それができないからあなたにお願いしてるんだよ!」
バカ、そんな言い方したら余計気に障るだろ……!
俺は名も知らない先輩に心の中でそれ以上余計なことを言わないように念を送ったが、その努力もむなしかった。
先輩が下手な説得で喋れば喋るほど、潤花の目が少しずつ据わってきている。
過去に何度か幼馴染みの流血沙汰の喧嘩に巻き込まれたことはあったが、その発端となる人物が爆発する前兆はまさに潤花のそれだった。肝心な火種が導火線に触れていることに気付いていないこの状況は非常にまずい。頼むから空気読んでくれ。
「……私、自分が思い出作りの道具にされる分には別に構わないんですけど、バレー部にだけは入りたくないなーって思ったことがあるんですよ」
「えっ、何? 誰か何かした?」
「一緒に体験入部に来た子、私以外で五人もいましたよね? なのに、先輩たちみんな私にばっかり話しかけてきて、他の子たちのことなんか全然相手にしてなかったんです」
「だって、美珠さんは特別だもん」
「そんなの、あの子たちに失礼じゃないですか。いろんな部活がある中で、わざわざバレー部を選んでくれたのに。私、一部の人にだけそういう贔屓がある輪の中にいるの、嫌なんですよ」
「そんな……」
「新しい一年生の子たちとインターハイ目指して頑張ってくださいね。それじゃ」
潤花は踵を返し、歩き出した。
まずい、こっちへ向かってくる。盗み聞きに夢中で、この後のことを何も考えていなかった。どうしよう、何か良い言い訳は……と狼狽していると、
「なによ、ちょっと運動神経良いからって……!」
先輩の悪態が漏れると同時に、潤花の歩みが止まった。
潤花はわざとらしく大きなため息を吐いた。
「『ちょっと運動神経良い』って思うレベルなら、私じゃなくても良かったんじゃないですかー?」
「っ! うるさい! ほんっと生意気! こっちが下手に出たら調子に乗ってさぁ! 何様のつもり⁉ こっちが毎日どんな思いで部活やってるか、何も知らないくせに‼」
「知らないですよ。私、あなたじゃないんで」
「そうやっていちいち上から目線なのがむかつくって言ってんの! なんなの⁉ こっちは真剣に話してんのに涼しい顔してさぁ! そういうとこ、あんたの姉ちゃんにそっくりだよ!」
「は?」
「姉妹揃っておかしいんじゃないの……⁉」
ドサッ。
潤花の鞄が無作為に落ちた。
潤花はそのまま振り向いて先輩と向き合うと、視線を合わせた先輩の表情がみるみるうちに恐怖に染まっていた。
まずい、スイッチが入った。
「…………」
潤花はツカツカと速足で階段を降り、先輩に歩み寄った。
そしてその殺気にたじろいだ先輩を壁際に追い込むや否や、ドンッ! と凄まじい音を立てて壁に蹴りをくらわせた。
ぐわんぐわんと踊り場が揺れて音が反響する。
「っぁ、いや……!」
「『いや』じゃないでしょ。ねぇ、喧嘩売ってきたのあんたでしょ?」
「や……やめ……ごめ……」
「そういうのいらないから。手どけて」
「おねが……やだ、ごめん……ごめん……」
「うるさい。いいから。早く。手。早く……どけろって」
「──おい、ウル」
さすがに、これ以上は待てない
「……衣彦」
「あ、あ、たす……!」
俺は先輩の戦意喪失を確認してから潤花の威圧を制止した。
潤花の頭を冷やす時間を与えるように、なるべくゆっくりとした口調で言う。
「その辺にしとけ」
先輩の手首を掴む潤花の手にそっと自分の手を添え、目を合わせる。
正直、止めに入ったこっちの足が震え上がりそうなほど凄い眼力だ。
だからと言ってここで引くわけにはいかない。俺も負けじと潤花を睨み返す。
「……離して」
「そっちが離すのが先だ」
「嫌だって言ったら?」
「わかるだろ? 俺が誰に、何を言おうとするか。お前が大人しくすれば、俺だって何も言わない」
「…………」
潤花は思いのほか素直に手を離した。この脅し文句がこれほど有効なのは意外だったが、まだ油断はできない。
俺は潤花の溜飲を下げるために、ここでもう一押しフォローを入れておくことにした。
「先輩、美珠の言い方が面白くなかったのかもしれないですけど、本人じゃなくて身内のことまで悪く言うのは、人としてもスポーツマンシップとしてダメじゃないですか。それはちゃんと謝らないと」
「……ごめん」
「俺じゃなくて、美珠に」
「ご……ごめん、なさい」
「親指の爪全部剥がしてから土下座」
「ウル」
「だって、私、悪くないもん」
「あぁ、ウルは悪くない。ただ、ウルも暴力をふるおうとしたことは謝れ。それで迷惑がかかるのはお前じゃない」
「嫌だ」
「『できない』って捉えていいのか?」
「っ……それとこれとは、話が違うし」
「いいから、あとでちゃんと謝っとけよ。何度も言うけど、あんまり心配かけるな」
「……偉そうに」
潤花は面白くなさそうに口を尖らせた。
まだ怒りが収まっているわけではないが、さっきまでの敵意は消えていた。
「ほら、鞄」
俺は放り投げられていた潤花の鞄を拾い上げ、手の平で軽く埃を払った。
「せっかく綺麗な鞄なんだから、もっと大事に使えよ。似合ってるのにもったいないぞ」
「…………」
潤花は俺が差し出した鞄をじっと見つめながら、花束を受け取るかのように丁寧な仕種でそっと手に取った。
「行こうぜ。喋ってたら喉乾いた」
俺はタイミングを見計らい、親指を横に向けて潤花に移動を促した。
潤花は一瞬ぴくりと動きが止まったが、それ以上は何も言わずに俺の後ろを着いて来た。
去り際にバレー部の先輩を見ると、赤くなった手首を押さえながら、さめざめと涙を流している。罪悪感はあるが、潤花がいる手前これ以上声をかけられなかった。
それからしばらく歩いて、俺たちは廊下の片隅にある自販機のコーナーまで辿り着いた。
潤花はまだ口をつぐんでいる。
こういうときに助かるのが飲み物の存在だ。
その昔、秋子おばさんが言っていた。喉を潤すと人はリラックスして口が軽くなると。子供ながら不思議とその法則には納得したもので、俺も幼馴染み同士でふざけ合って喧嘩になりそうなときは意識してブレイクタイムを入れるようにしていた。
だが、今回のケースでは一つ誤算があった。
「んが……!」
自販機の前で財布を開くと、中身が八十二円しかなかったのだ。
商店街の福引でアホみたいに使ってしまったせいだ。
おまけに、財布の中に入れた覚えのない小さなゴキブリのおもちゃまで入っている。十中八九、福引のハズレ景品を持て余した直のイタズラだった。
すかした顔で喧嘩の仲裁に成功した俺を嘲笑うかのようなその悪ふざけは、いつも爪の甘い己の未熟さを目の前に突き付けられたようで、地味に精神的ダメージがでかい。
「いいよ、私出す」
自販機の前でまごついている俺を見て状況を察したのか、潤花が小銭入れのジッパーを開いた。
「いや待て。金はあるんだ。スマホに電子マネーがさ。この自販が対応してれば……」
「良いってそんなの。何? どれ飲むの?」
「いらん。借りは作らない」
「こんなの借りのうちに入らないじゃん。じゃあ私適当に二本買うから、どっちか選んで」
なんて強情なやつだ。こうなったらやむを得ない。
俺は財布からある紙切れを取り出し、後ろ髪を引かれる思いでそれを潤花に差し出した。
「これで。メロンソーダ」
「『なんでもいうこときくけん』?」
「等価交換だ。ジュース代程度の手間ならそれで言うこと聞いてやる。これで貸し借りなしだ」
「これ、どうしたの?」
「小学生のときにみずほ姉ちゃんの誕生日プレゼントにときにあげたやつが、最近になって返ってきた。おかげで俺はなる気もなかった学級副委員長だよ」
「へぇ……」
潤花は『なんでもいうこときくけん』をしげしげと見つめながら、自販機の投入口に五百円玉を一枚入れた。メロンソーダのボタンを二回押した潤花は、ガタン、ガタンという音を立てて出て来た三五〇ミリの缶二本を片手で器用に拾い上げ、それを俺に手渡してきた。
「じゃあ私死んだら衣彦にお墓立ててもらおうかな。静かで花が咲いてるところがいい。前方後円墳かピラミッド、どっちにするかは選ばせてあげる」
「ジュース一本で奴隷契約した覚えはねーよ……とりあえず、いただきます」
予想の斜め上の要求に呆れながら、俺は潤花とほぼ同時に缶のタブを起こした。カシュッと小気味良い音が二つ重なり、ごくごくとメロンソーダが喉を通る音も同じタイミングだった。
「あっま」
ぷはっと一息して飲み終えた潤花が顔をしかめた。
「わかってて飲んだんじゃないのか」
「だって同じの飲んでみたかったんだもん」
「……あぁそう」
俺は間を置かず再びメロンソーダを喉に流し込んだ。
喉が渇いていたわけではない。ドキッとして動揺した顔を見られたくなかったからだ。
潤花は無防備にこういうことを言ってくるからたちが悪い。
「…………」
かすかに潤花の長い黒髪が揺れた。
潤花は目を伏せて何やら考え事をしているようだ。
さっきの一件が尾を引いているのか、いつもうるさいくらい元気な潤花が心配になるくらい大人しい。
……こうしていれば本当に綺麗なんだけどな。
物憂げなその表情が見惚れてしまうほど絵になる。
深層の令嬢のようなその出で立ちは、見ていても飽きない。
これで中身が野獣でなければ、少しは可愛げがあるのだが。
「……あぁいうとき、衣彦はなんとも思わないの?」
「あぁいうときって、さっきのか?」
「うん」
「普通にむかつくよ。でも、無視はできる」
「気長いね」
「そういうわけじゃない。ただ、俺の身内をないがしろにする連中を相手にする価値なんかないって思ってるだけだ。何を言われたってその人たちの良さは絶対変わらないし、悪口を言った方の人間性だってたかが知れてるだろ。相手にするだけ無駄っていう話だ」
「それで、自分の大事な人が傷付いたら?」
「多分、俺もお前と同じことしてるよ。暴力以外の方法でな」
「……悪いことをしたやつは殴った方が早いし、効果あるよ。話や言葉が通じない相手でも、暴力や痛みは通じるもん」
「それをしたら傷付くやつがいるってことも覚えておけ」
「でも、そうしなかったら大事な人を守れない」
「守るっていうのは誰も傷付けないで済ませることだ。後先考えないで力に任せることじゃない」
「そんなの、理想論」
「あぁそうだ。でもな、それができなかった俺の姉ちゃんは周りから孤立した。楽しみにしてた修学旅行にも行かなかった。イジメで友達を追い込んだ連中全員ぶっ飛ばして、親に示談金払わせたことを今でも引きずってるよ」
「……!」
「ウルがそうなるとまでは思ってない。ただ、身近でまたそんな光景を見るのは二度とごめんだ。そういうのはもう見たくないし、誰にも見せたくない」
「……難しい。むかついたら反射的に手出しそう」
「煽り耐性ゼロかよ」
ネトゲの対戦なんてやったらディスプレイを叩き割るんじゃないだろうか。
さっきの怒りは義憤に駆られた行動だったにせよ、こんな調子じゃこの先の学校生活でまたさっきみたいなトラブルを起こしそうでハラハラする。
「また格闘技でも再開したらどうだ? 身体鍛えてたら、さっきみたいな安い挑発受け流すくらいの心の余裕もできるだろ」
「それもちょっと考えたんだけどね。でも、もう格闘技はやらない」
「何でだ?」
「百人に勝つことより、百人と仲良くできる方が大事だから」
「お前それ……」
コツ、コツ……
言葉に迷ったところで、近くから足音が響いてきた。
音のする方向を見てみると、足音の主は黒いギターケースを背負った小柄な女子生徒だった。
ばっさりと切り揃えられた黒髪のショートボブに薄く釣り気味の眉と囲み目のシャドウ。見るからにダークな雰囲気を醸し出したそのメイクは確固たる彼女の個性を如実に表現していた。歩きながら音楽を聴いているのか、視線は手元のミニオーディオを見つめ、耳に付けた無線イヤホンからはわずかに音が漏れていた。
その音を聞いて俺ははっとした。
この曲は……
「…………」
俺たちの横を通り過ぎる間際、彼女はチラリと俺たちの方を一瞥(いちべつ)したが、すぐに視線を手元のミニオーディオに戻した。
驚きながらも彼女の持つ鞄やギターケースを凝視している俺の横で、潤花も彼女の後ろ姿をまじまじと見つめている。
「…………」
「気になるか?」
「いや、気になるっていうか……かっこよくない? あの子。自分の世界観持ってるっていうか……歩いてるだけで絵になるよね。ギターも上手いし。休み時間とか放課後、弾いてるの見たことがあって、それ聞いたときも、すごいグッときたんだよね」
「話しかけてみればいいだろ。今のうちサインもらっておけよ」
「いいよ。そんな大げさなことじゃないし、いきなり変でしょ」
「いいだろ話しかけるぐらい」
「恐れ多いって。不敬罪だよ」
「相手、皇室の人間?」
「あの子はね、きっと音楽以外のことは眼中にないし、誰にも媚びを売らないし、口を開く言葉全部ロックに決まってるよ。そんな子に……ただの一般人が気安く関わっていいはずがない。それに──」
潤花はばつが悪そうに、眉尻を下げた。
「私みたいなのとは、住む世界が違い過ぎるよ」
「…………」
またその顔だ。
気に入らない。
どうしてすぐ、そんな顔をするのか。
「あーあ、もうこんな時間になっちゃった。私、ちょっと行きたいとこあるから行ってくるね」
俺が眉をひそめていると、潤花は腕時計を見てから大げさにため息を吐き、身体を伸ばした。寝起きの猫のようなその仕種は見ていて愛らしかったが、どこか空元気のようにも見える。
「……遅くなるのか?」
「夕飯までには戻るよ」
「わかった。みずほ姉ちゃんに言っておく」
「ありがと。衣彦は?」
「これから図書室」
「え、あ……もしかして、私、邪魔してた?」
「誰かさんが毎朝鏡の前を占拠する時間に比べたら可愛いもんだ」
「あれは私が人間としての理性を保つために必要な営みだから」
「毎朝何と戦ってるんだお前は」
まだ本調子というわけではなさそうだが、さっきよりは自然な軽口が言えるようになってきた。
「まぁいい。とりあえず、さっきのことは誰にも言わないでおくから、もう学校で問題起こすなよ」
「気が向いたらね」
「向かなくてもやりなさい。じゃあな」
踵を返す。
「……ねぇ」
「ん?」
「あの、さっきはさ……」
「うん」
慌てて呼び止めておきながら、潤花は視線を左右に動かして言葉に迷っているようだ。
何を言おうとしているのか、鞄を掴む手がぎゅっと強く握られていた。
「……やっぱり、なんでもない」
潤花は視線を落とし、そわそわした様子で下唇を噛んだ。
何を言おうとしたのかはわからない。
ただ、何を言いたかったのかは、なんとなく感じ取れた気がした。
俺はふんと鼻を鳴らして口角を上げる。
「言っておくけどな、何言ってもセロリを食わされた恨みは一生忘れないからな」
きょとんとした顔が一転、潤花はニコッと目を細めた。
「それは好き嫌いする方が悪いっ」
雲間が晴れたように、勝気な笑顔がそこにあった。
俺は再び振り返って、背を向けたままひらひらと手を振った。背後から感じる視線は、今はもう気にならない。
「……さて、どうするかな」
コツ、コツ、と自分の足音が次第に大きくなってくる。
俺は手に持っていたメロンソーダの残りを一気に飲み干し、喉の奥に流し込んだ。
炭酸の強い刺激が鼻を抜け、つんと痛みが走る清涼感が心地良い。
ここにきてようやく、ずっと心に引っ掛かっていたものの正体が見えて来た。
別に放っておいたっていい。
だが、このちっぽけな世界で見つけたちっぽけなすれ違いをこのままにしておくのは、それこそ抜けないトゲだった。
復讐と呼ぶには生温い。
親切と呼ぶにはおこがましい。
けれど消えない歯痒さを、放っておくのはもどかしい。
まずは図書室に行って、中庭へ向かい、コンビニに寄って、それから……アニメ版の第一期を見直すか。
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