第3話
大丈夫じゃなかった。
姉さんにはできたことを俺にもやらせようとする。
水泳、塾、そろばん、ピアノ、ダンス、書道。すべてを習わされた。でも何もできなかった。
やっぱり姉さんはすごかったんだ…
そう思った。
そしてそれが繰り返されて小学5年生のとき
「今日は絵を描いてもらいます。」
担任の先生にそう言われた。
姉さんの特技…か、できなかったらどうしよう…
謎のプレッシャーに追われた。
そして俺は黙り込んでずっと手を震わせていた。誰にも見られない。姉さんみたいな人になにかあったら絶対みんな見る。そしてみんなが心配してソワソワしだす。でも俺みたいなやつなんて何もできないし、何もされない。なにかあってもみんな見ていない。誰にも求められていない。
俺は姉さんとは違うんだ…
「ねぇ、大地。大地ってさ何になりたいの?」
「すごい人!姉さんみたいな!」
「私?w どういうふうにすごい人になりたいの?」
「全部!…… と、いうことは、ヒーロー!」
「ヒーロー!かっこいいじゃん」
「頑張るんだ!」
「頑張ってね!」
ヒーロー、そっか、ヒーローだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます