第39話 再現
そして現在に至る。
「『獄炎』!『獄炎』!」
(なんでそんなに連発出来るんだよ!)
この子の魔力はもしかしてえげつない量なのではないか?
それから体感で十数分―――実際にはほんの二、三分だろうが、ひたすら迫りくる魔法を、空気魔法の『真空』で消していった。
しかし、さすがは武闘派貴族の娘。
緩急をつけながら的確に僕の対応しづらい所を突いてくる。
「っ!」
消しそこねた魔法が僕を焦がす。
間一髪で直撃は避けられたが、服の一部が燃えてしまっている。
……そういえば、こっちの世界に戻ってきたから服もこっちの世界仕様になっているんだな。
「戦闘中に別のことを考えるとはっ!舐めてるのかー!」
「うおっ!」
リンの『獄炎』が僕にかする。
(あっつぅぅぅぅぅ!!)
やばい…本気で死ぬぞこれ…
「そっちもっ!攻撃してこ〜い!」
「うわっと!」
なんとか『真空』が間に合ったから何とかなったが、あとコンマ数秒遅かったら…
(死んでたかな)
「いつまで受け身なんだ〜!覚悟を決めろ〜!」
「……」
悪いけどリン、それは出来ないや。
(なんとかリンの攻撃をやめさせないと……あ)
いいこと思いついた。
でも……仕方ない。切り札を使うか……
「『
「なっ⁉」
僕は入学式後にヨシノちゃんに使った『微雷・改』を再現した。
ちゃんとリンに直接作用するようにね。
「ふにゃぁ……」
こうしてリンを眠らせることに成功した。
『ふにゃぁ』って……可愛かったなぁ……
――――――――
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
リンが起きてから数分。
見ての通り、僕はリンにひたすら土下座をされていた。
「あのさ、リン……?もういいから…ね?」
「……他ならぬししょーを疑ってしまうなんて……弟子として恥辱の極み!かくなる上は腹を切って……」
「そ、そこまでしなくていいから!」
閑話休題。
「……で、僕の部屋が物理的に入れないようになってたんだけど、どうなってるか知ってる?」
「…………知らない」
これは知ってるな。
「……本当に?」
「……黙秘権を行使しm「だめ」ひぇえう……」
そしてリンは観念したのか、口をひらいた。
「……ヨシノさんです…」
「え?」
「だーかーらー……ヨシノさんだってばぁ!」
リンはそう言うと泣き出してしまった。
……え?ヨシノちゃん?
「リン……それ本当?」
「…ししょーに嘘をつくなんてありえないもん」
なるほど。
まずはヨシノちゃんに会うことから始めるべきらしい。
―――――――――――――――――――――【補足】
固有魔法はシガンのように、後天的に得ることもありますが、ありえないと言ってもいいくらい、事例は少ないです。
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