第32話 かくしごと
(冬穂side)
私は最近思うことがあった。
それは―――最近お兄ちゃんが私に隠し事をしている気がすることだ。
私とお兄ちゃんは、生まれる前から運命の糸で繋がっている。
その私に隠し事をするなんて、あってはならないことなのだ。
お兄ちゃんに問い詰めるのもいいけど、はぐらかされてしまったらそこで終わりだ。
『
つまり、普通に探る必要があるのだが……一人では心もとない。
「最近お兄ちゃんが怪しい…」
「……冬穂?どうしたんすか?」
「……秋姉、丁度いい所に。提案があるんだけど…」
「え?め、珍しく急っすね……話を聞きましょう!」
よし。食いついた。
あとは……
「『
「ちょっ!え?冬穂⁉……」
秋姉が崩れ落ちる。気を失ったのだ。
この前分かったことだが、この能力を人間に使うと、気を失うらしい。
ともかくこれで秋姉は(本人は無自覚だろうが)私に対する拒否権を失った。
もう秋姉は私の駒だ。
直接操れたらもっと楽だろうが、残念ながら私の能力はそこまで便利ではない。
ただ、「消滅」させることしか出来ないのだ。
まあ、秋姉の能力は探るのに向いてないので、操ってもすごく楽になるわけではなさそうだが。
さあお兄ちゃん、あなたは何を隠しているの?
――――
(春葵side)
僕がこの世界に来てから、数ヶ月が経ち、季節は秋の終わりかけになった。
夏穂に連れられて、僕はとある場所に来ていた。
とある場所とは―――諏訪神社である。
その敷地内には椛がたくさん植わっており、楓や銀杏、紅葉など種類は様々だ。
今はもう運営していないらしいが、数年前までは前神主さんが神職がてら孤児院を運営していた神社である。
そしてその孤児院は、夏穂たち三姉妹が幼少期を過ごした場所である。
そんな思い出の場所に夏穂は僕を連れてきて、何がしたいのだろうか。
……まあ、だいたい察しはついているが。
「なあ…まさかわざわざここまで来た理由って…」
「……女の子に言わせちゃだめだよ、兄さん」
「…キス、なのか?」
「……分かってるなら聞かないで」
あの約束からしばらく経っているが、随分と嗜好を凝らすようになってきた。
夏穂は一番きれいに色づいている木の下でしたいらしく、随分真剣な顔をして選んでいた。
「兄さん!早く来て!」
「…はいはい」
どうやらお気に召した木があったらしい。
その木は、高さ10mほどの楓の木だった。
なるほど。これは立派だ。西日が当たってとてもきれいに色づいている。
「じゃ、するか…」
「ん……」
そうして、いつものようにキスをしていく。
もちろん深い方のキスだ。
一度時間が無かったときに、触れるだけにしたらその日はとても機嫌が悪くなってしまった。
その時から、触れるだけのキスはしないようにしていた。
毎回「できるだけ早く終わらせてしまおう」と思うのが、なんだかんだで今回も5分はしてしまっていた。
僕は離そうとするが、夏穂が僕の頭も押さえつけていて離れられない。
(仕方ない、夏穂が離れるのを待つしか無いか。)
僕はいつもながらそう思い、夏穂に身を委ねようとしたその時―――
「え?……兄…貴?」
「………」
そこにいたのは―――秋穂と冬穂だった。
「……見つけたよ、お兄ちゃん」
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なんかたまにシガン・シナクとかが出てくるらしいですよ?⇩
異世界旅路録〜異世界に飛ばされたけど勇者の仕事ほったらかして旅行しようと思います〜 https://kakuyomu.jp/works/16816927860790673926
まず第一目標だった5万字越えました。
ひとまずは、10万字を越えたら良いなって思います。
異世界旅路録の進捗次第でもありますが、多分あと1〜2話で二章終わります。(予定)
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