第31話 干渉

あれから数日が経った。

あの日から、ただでさえ多い問題にさらに拍車がかかることが2つ増えた。

一つは、毎回の休み時間。

トイレに行こうとして、廊下に出ようとすると―――


「兄さ〜ん!」「兄貴〜!」

「ぐえ」


二人に廊下に思いっきり押し倒される。

…普通に痛い。

そこにとてとてと、冬穂がやってくる。


「…大丈夫?…お兄ちゃん。…よしよし」

「……天使」


もしかしたら天使という言葉とは、この子冬穂を表すために存在するのではないだろうか。

ああ……冬穂の背中に純白の羽が見える……

……ん?周りの男子が放っていたどす黒いオーラが増えた⁉

天使の力でも浄化できないのか…


しばらく冬穂に見とれていると、頬を膨らました夏穂と秋穂がいた。

二人は声を口を揃えて言った。


「「私達はなんなの⁉」」


「え……どういうことだ?」


なんなのって……


「だから〜冬穂は『天使』なんでしょ?なら私(夏穂)はなんなの?」

「……冬穂だけずるいっす」


「え〜と…」


そんなこと言われてもなぁ…


「「それで、なんなの⁉」」

「ええ…」


2つ目は――――夏穂である。


僕が一人になって、かつ他の二人秋穂と冬穂がいない時という条件に限ってだが、僕はこの前夏穂に「夏穂の好きな時にいつでもキスをする」というとんでもない約束をしてしまったため、なかなか心労がすごいのだ。

夏穂は「最悪スキンシップで済むから」とか言っていたが、絶対にそんなことはない。

夏穂たち三人はこの学校のアイドル的存在だ。

妹という贔屓目を抜いても、世界で一番可愛い妹たちである自信がある。

そんな光景が誰かに見られたら……


「殺されるだろうな…」

「?よく分からないけど、兄さんは殺させないよ?」


夏穂が僕がついこぼした言葉を即座に否定してくる。

今日も昼休みに、校舎裏でキスを要求されていた。


「ほら、人が来る前にしちゃお?」

「…わかった」


僕は観念して夏穂にキスをする。

夏穂は何回かして慣れたのか、舌も入れてくる。

最近は夏穂にリードされるようになった。

まあ、僕がほとんど何もしていないのだが。

僕らはしばらく続けたが、僕の方から離した。


「あ……もう終わり?」

「うん。そろそり終わらなくちゃね。」

「そっか…」


体感10分はしたからね。

夏穂は残念そうにしながらも、大人しく離れてくれる。

こういう素直なところがこの子の魅力だと思う。


それから僕らは悟られないように、タイミングをずらして教室に戻るのだった。


―――――

『ん〜?あれ?シガン・シナク君は?』


『え?普通に探せばいるんじゃないんですか?』


『いやぁ〜僕も探したんだけどね〜いないんだよ』


『……この前、別の転生者に手を貸したから怒ったんじゃないですか?まあ、怒ってどうにかなる問題じゃないですけど』


『……これは』


『どうしました??』


『時空に歪みが生じている…これは、別世界に行った可能性があるぞ?』


『……誰かの固有魔法ですかね?』


『もお〜何で俺の管轄から出ていくかなぁ〜そんな能力ずるいじゃないか〜』


『……そんな魔法作ったナスカ様が悪いんじゃないですか』


『まあそうなんだけどさ〜まあ、。すぐ戻ってくるでしょ』


『……そうだと良いですね(無理だろうなぁ〜)』


『……よし!干渉しよう!』


『はぁ〜⁉』


『少しくらいなら注意で済むさ〜』


『……ルール無駄に緩いですしね』


『そう!さあ、ちょっとだけ彼を引っ張ろう!記憶を戻したらかなり違うでしょ!』


『そうですね…ただ、少し時間かかりますよ?……主神としてのお仕事を終わらせてからですからね。サボるなんて……言わないですよね?』


『……はい(え?なにこの威圧感⁉本当にこの子戦闘向きの神じゃないの⁉信じられないんですけど!)』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

どうも、椛みさかです。


なんかこの作品の一部が出てきてるらしいですよ。

異世界旅路録〜異世界に飛ばされたけど勇者の仕事ほったらかして旅行しようと思います〜

https://kakuyomu.jp/works/16816927860790673926


最近ラブコメしすぎですね。これをラブコメと言っていいのかは微妙だけど。


多分もう少しで二章終わります。

元々短めの予定ですのでね。

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