第23話 テスト③

「始め!」


目の前には大量の的。


ざっと50はあるだろうか。


道路とかにある標識を、高さだけ半分にしたみたいな見た目だ。


今回は空気魔法は使えない。


あれは生物に対しての近距離特攻だ。


秋穂のように、ひたすら雷魔法で撃つのも考えたが、おそらく僕の魔力が持たない。


火魔法でぶっ飛ばすのは時間がかかる。


さあどうする?


(……よし、決めた。)


僕は地面に手を当て、魔力を流し込む。


(座標、確認。数…54。)


なんか機械みたいなことやってる自覚はあるが、違う。


さあ土魔法――――


「『上級:断層』


すると地面が割れ、次々に的が飲み込まれる。


(戻れ)


僕がそう念じると、先程できた地割れが元に戻る。


その時に的は押しつぶされる。


「……よし」


完璧だ!


的は全滅。


これは記念すべき初無双と言ってもいいのではないか?


そう思って僕がクラスメートの方を向くと――――


みんなは口を揃えてこういった。


「「「その手があったか!」」」


あれ?


なんか思ってた反応と違う⁉


それからクラスメート達は快進撃を見せた。


ある人は地面を液状化させ、ある人は土魔法と火魔法を併用したり。


はたまたある人は僕と全く同じことをしたり。


僕は気づいた。


(そういえば土魔法って一番簡単だっけ)


多くの魔法使いと言われる人は、自然魔法の中では、土魔法だけ修めてる人が多い。


上級まで使える人はそれほど多くないが、中級までは使える人は一定数いるのだ。


しかし最上級にもなると賢者と言われるクラスにならないと使えないと言われる。


そうこうしているうちに、全員が終わったらしい。


一応制限時間は30秒だが、そうもかからない人が多いため、早く終わったらしい。


さすがは上級クラスだ。


しかし、終わらなかった人も一部いるため、そういう人はうなだれている。


心のなかで合掌しておこう。南無三。


これでテストは終わったわけだが、今回の最終成績は明日出るらしい。


きっと教師ってブラックなんだろうなと思った。


「ししょー!すごかった!」


リンがとてとて寄ってくる。かわいい。


「さすがししょーって感じですごかった!やっぱりししょーは最高なの!」


いや、それを上級クラス最速で的を全滅させたやつが言うか?


ちなみに僕はだいたい真ん中あたりだと思う。


これだけ差が開いてる人にすごいって言われてもなぁ…


嬉しいんだけど……


「なんか複雑だ……」


「?ししょー?どうかした?」


「いや、何もないから大丈夫…」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

こんにちは。椛みさかです。


補足です。

実技テストの評価基準

(破壊した的の数+残った秒数)の和が多いほどよい。

※制限時間は全クラス統一で30秒

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