第22話 テスト②

「シガン様、どうされましたか?さっきからずっとぼーっとして。……私以外の女のことでも考えてました?」


「ししょー、どっか悪いの?」


「いや……」


リンとヨシノちゃんが心配してくる。


ヨシノちゃんの場合、あながち間違ってないのが辛い。


しかし、僕はで悩んでるなんて言えなかった。


髪色は違う。


でも、それ以外は本当に秋穂だ。


前世の僕の義妹三姉妹。


上から夏穂、秋穂、冬穂。


その内の一人がこんなところに?


……いや、考えすぎだ。


異世界がパラレルワールドの一種なら、同じ人間がいてもおかしくない。


でもあの子が本物―――秋穂だったならば、夏穂や冬穂もいるのだとしたら。


そうだとしたら、僕はどうする?


僕は……何ができる?


結局この日は寝付けなかった。

―――――

次の日。


今日は実技のテストである。


時間内に、フィールド上にある的を何個破壊できるかというものである。


つまりよくあるやつだ。


次はリンの番だ。


「『最上級:獄炎』!」


リンから放たれた獄炎が、次々に的を飲み込んでいく。


改めて見るとえげつないな…


僕、あんなのをくらったのか…


空気魔法の有用性が証明された瞬間だった。


ちなみに的は毎回校長直々に土魔法で錬成してるらしい。


校長ブラックだな…


さて、次は誰かな。


リンの後だから僕だったら嫌だな…


「次!アキホ・ニシノ!」


「秋穂…」


いや、あの秋穂が本当に僕の知っている秋穂とは限らない。


僕は無双のことを考えなくちゃ。


僕がこの世界で生きていく本分だからね。


「「「おおおお〜!」」」


ん?なんかどよめきが起こっている。


なんだ?……これはすごいな。


秋穂が雷魔法上級の『轟雷』で、的を次々と撃ち抜いていた。


しかも、いくつか同時発動している。


ただ、当の秋穂は少し辛そうだ。


それもそうだ。


あれだけの魔法を同時に発動させると、かなり神経を使う。


しかし、ちゃんと全ての的を時間内に撃ち抜き、終えていた。


そこはさすがというところだろう。


これの後だったらいy「次!シガン・シナク!」僕だわ。


よりにもよってあいつらの後かよ…


まあいいや。


僕は僕のやることをするだけだ。


「始め!」


これから始まるのは、僕の無双長年の夢への序章だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

こんにちは。椛みさかです。


補足です。ヨシノの固有魔法は、一定の条件を満たした者の心を読めますが、その効果は一週間ほどなので、今は消えています。……ヨシノが料理などに自分の血を混ぜなかったらですが。(ヨシノならやりかねん)


今週一週間学校が休校になったので、いつもより更新します。多分。

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