第21話 テスト①
あの日から一週間がたった。
今日はテストの日だ。
あれから、僕とヨシノちゃんは放課後はつきっきりでリンに座学を教えた。
しかし、やはり僕は絶望的に教えることに向いておらず、ほぼヨシノちゃんに任せることとなった。
ヨシノちゃんは、「教えることで私の勉強にもなるので大丈夫ですよ」と言ってくれたが、ヨシノちゃんが苦手だという実技の練習の時間があまり取れなかったのは少し危うい。
この時の僕は、ヨシノちゃんが言う苦手の意味をはき違えていた。
ただ、額面通りに受け取ってしまったのだ。
しかしこの時の僕はそんな事、知る由もない……
――――
「はい。じゃあ始めてくださ〜い」
座学が始まった。
座学は2時間に渡って行われる。
ちなみに休憩なしの2時間だ。
前世だったら教育委員会もびっくらポンのスパルタっぷり。
最初の方に集中力を使いすぎたら間違いなく死ぬ。
しかし、試験問題は割と難しい。
解けないわけでは無いが、ところどころ引っ掛けがあったりと、直情的なリンが心配になる問題ばかりだ。
本人は「ししょー達に教えてもらったから大丈夫です!」と自信満々だったが、本当に大丈夫なのか……?
解いていると横から何かが聞こえてくることに気づいた。
たしか隣は真っ赤な髪の女の子だった気がする。
なになに……?
『…ちゃ……めだ……げ……だ……に』
ふむふむ。
並び替えたら聞いたことある言葉になりそうだが、やめておこう。
まずは目の前の問題だ。
さあこれは……
――――
座学の時間が終わった。
とりあえずこの時間で気になったことを確認しに行こう。
それはもちろん―――隣だ。
最中に、『…ちゃ……めだ……げ……だ……に』ってずっと言っていたからな。
うるさすぎる。
全く集中できなかった。
隣が僕だから良かったものの、これがリンとかだったら間違いなくキレていた。
文句を言おうと、話しかけようとしたその時。
ガバっと隣の子が机に倒れ込んだ。
体調不良かもしれないので話掛けてみる。
「あの……大丈夫ですか?」
すると彼女(人称)が顔を上げる。
……え?
似てる……
……いや、そんなはず無いんだ。
「ん〜?誰っすかぁ〜?」
「あ、ああ。僕はシガン・シナク。よろしく」
僕がそう名乗ると、彼女は急に、
「ぷっ!はははははははははは!!」
笑いだした。
しばらく僕が唖然としていると、彼女はようやく我に帰ったようで、申し訳無さそうな表情で言った。
「あ〜急に笑ってしまって申し訳ないっす…。私、アキホ・ニシノって言うっす。…ふふふっ……シガンシナクって……たしかに外人っぽいけど……くくくっ……」
「え?……秋穂?」
「……?どうかしたっすか?」
「いや……」
まさかな。
秋穂……西野秋穂がこんなところにいるわけがないんだから。
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こんにちは。椛みさかです。(需要なくてもしていくスタイル)
今回の補足はありません。
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