第二章 願わくばこんな世界が

閑話 前世

今回はシガン・シナクの転生前の世界―――つまり、前世ですね。


一人称視点で進んでいきます。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「僕の将来の夢は、異世界に行って無双することです!」


僕は、そう小さい頃から言い続けた。


小学1年生……幼稚園の年長の時だったっけな?

たまたま見た異世界無双そういうアニメ。

そこではダンジョンに潜った少年が、神様の支援を受けてモンスターをなぎ倒していた。

それを見て僕は思った。


(すっっっっっっごくかっこいい!!)


しかし僕は幼いながらもわかっていた。

そんな世界、現実世界ここにはどこにも存在しないことを。

そして、僕は夢中になって見ているうちに、聞いた言葉。


『異世界転生』


母親に意味を聞くと、こうだった。


「異世界転生っていうのはね、もしも死んじゃった時に、もう一回別の世界で生きることができるってことだよ」


僕は思った。


(最高じゃん!)


正直、その時の理解力では母親の言葉は理解不能に近かったが、その時に僕は理解した。


「異世界、あるんだ!」⇦(純粋無垢)


それから、僕は勉強した。

どうやら別世界は、『ぱられるわーるど』とか言って、理論上は存在しているらしい。

存在しているなら話が早い。

―――行けばいいじゃん。

そうして、僕は小学生の間、必死に考えた。

そして悟った。


―――正攻法では到底行き得ないことを。


しかし、よくある「トラックにはねられる」や、「急に地面に魔法陣が浮かび上がって召喚される」などは、リスクが高いし、後者に至っては創作以外で聞いたことがない。

僕は決意した。


「神に、頼もう」


それから僕は欠かさず行っていた神社へのお参りの回数を増やした。

百度参りなんて何回やったかわからない。

そうしてやっていくうちに、ある人と出会った。

確か中学二年生の時だった。

名を、「諏訪すわ はじめ」といったはずだ。

その人は、とある神社の宮司をやっていて、孤児院の院長も兼任していた。

何回かその神社に通ううちに、あることを頼まれた。


「孤児院にいる子の、遊び相手になってくれないか」


どうやら、諏訪さんにも子供がいるが、手が足りないようだった。

僕はそれくらいならと、承諾した。

僕がそこに通ううちに、特に仲良くなった一つ下の三つ子がいた。

名前を、上から「夏穂」、「秋穂」、「冬穂」といった。

三人は、たまに付いてくる僕の親にいたく気に入られ、養子に迎えることになった。


それからは三人とも僕にべったりで、よく神社参りについてきたのを覚えている。

僕が高校に入ってからもそれが続き、三人とも顔が整っていたのもあって、かなり神社巡りに支障をきたした。

正直かなりうざかった。


そして、あろうことか三人は同じ高校に進学してきた。

学力は校内では一位から三位まで独占していた彼女らがである。

もちろん僕は問い詰めた。


「なぜあれ程の学力があってこんなところにきたのか」と。


三人とも非常に頭がよく、到底ここに来るような成績ではない。

しかし、誰か仲の良い友人でもいたかもしれない。

そういった返答を予想しながらの問いの答えは、僕の予想の範囲外であった。

「「「それはね……」」」


三人の言葉に、僕は心底納得したのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

こんにちは。椛みさかです。


過去編って難しいですね。



追記

この話の位置を一章から二章に変えました。

矛盾等あれば教えていただきたいです。




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