第14話 筒抜け
「結論を言う―――無理じゃ」
「え?」
無理なんかい。
いやさ〜理事長わりかしちゃんと話聞いてくれたし、なんとかしてくれるって思うじゃん?
「なんで無理なんですか?」
まあ分かりきったことだけど。
「それはな……」
おい。もったいぶらずにさっさと言えや。
どうせ返答は分かってるんだから…
「誠に言いづらいんじゃが……」
早く!
時間がもったいない!
「……ヨシノに嫌われたくないんじゃ!」
「分かっとるわァァァァァァ!!!!」
僕は思わず心の中で叫んだ。
なんか妙にスッキリしたな……
ん?なんで理事長は目を見開いてるんだ?
「まさか即答されるとは思わなかったわい…」
あれ?もしかして僕…
「
「ああ!クソでかい声でな!」
まじか……
「全然気づかなかった…」
「嘘じゃろ⁉」
いや、本当なんだって。
「あら。楽しそうにしていますね。」
急に理事長室の扉が開き、そこにいたのは―――ヨシノちゃんだった。
―――
「ヨシノちゃん……」
僕がそうこぼすと、ヨシノちゃんは笑みを浮かべ(かわいい)、言った。
「やっと見つけたよ。シガン様♡」
うん。
ともかく。
これだけは言える。
「ヨシノちゃん……さっきの笑顔、むっちゃくちゃ可愛かったよ。」
「ふぇ⁉」
正直めちゃくちゃ怖かったが、なぜだろうか。さっきの笑顔は間違いなく地上に舞い降りた天使だった。額縁に入れて飾ったらおそらく10億は下らないだろう。あと、ヨシノちゃんの金髪が笑った時にサッと揺れて本当に天使。さっきから同じことばかりだが、控えめに言って天使。かわいい。どこがとは言わないが、おっきい。おんぶしたいぐらい。いや、そうしたらヨシノちゃんの顔が見れなくて残念すぎるからだめだな。あ、でもくっつくくらいなら…
「もういいです!私を恥ずか死させる気ですか!」
「え?何のこと?」
「何のことって……さっきから『天使』だとか『かわいい』だとか…そのことを言ってるんですよ!」
え?もしかして…
「口に出てた?」
「はい。それはもうしっかりと。……『おっきい』とかも。」
「え?」
ええええええ!!!!!
やばい!このままじゃヨシノちゃんに嫌われる!
異世界無双系主人公は女の子と仲が良いのに!
「心配しなくても私はシガン様のことを嫌ったりしませんよ?」
「ねぇもしかしてヨシノちゃんってエスパー?」
何でわかるの?
「あ、はい」
「へ〜そうなんだ……え⁉」
まじ?
「固有魔法なんです。まあ、私の血を体内に取り入れた人限定ですけどね」
なにその物騒な条件。
っていうか…
「僕、ヨシノちゃんの血を摂取した覚え無いんだけど⁉」
「ああ。薬を注射する時に混ぜました」
「あ〜その時ね……って、何混ぜてるの⁉」
「だから血ですって」
「そういう意味じゃない!」
「っていうか、私の血を摂取したのは人間ではシガン様が初めてですから……初めてだったんですからね!」
「ちょっと!その言い方は間違いなく語弊を生むから!っていうか『人間では』って何!人間以外では何なの⁉」
「蚊です」
「蚊⁉」
こんなやり取りをしていたら拘束なんて忘れてくれてるといいな。
「あ、今日のところは忘れますけど、明日から覚悟していてくださいね。……そういえば、クエスト報告忘れてませんか?」
忘れてたァァァァァァ!!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは。椛みさかです。
補足です。
固有魔法とは……稀に発現する、通常の魔法とは一線を画す魔法。ただし、使い勝手は悪いことが多い。
使えない固有魔法の例:『物の声が聞ける』……少し乱暴に物を扱ったら、そこらじゅうから大ブーイング。ただし、自分しか分からないので、変人扱いされる。など。
そういえば気づきました?
カクヨムのプロフィール画面が、なんかかっこよく(個人の主観)なりましたよ?
先程気づいて一人で感動しました。
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