第10話 イメージは金魚すくい
「ん……」
起きたらもう皆帰っていた。
……いや、正確には
おそらくとっくに授業は終わっているのだろう。
幸い日は全く落ちていない。
……授業が終わってからだいたい1時間くらいと見た。
この世界は時計が存在しないため、時間はかなりアバウトである。
……この世界の人ってどうやって待ち合わせしてるんだろう。
ドタキャンくらったら完全に待ちぼうけくらうじゃん。
…決めた。
僕はこの世界で待ち合わせをしないぞ!
………
……
…
僕は何を誓っているんだろう。
そんなことは置いといて。
さて気を取り直して行くとしよう。
学校を出ると、僕は冒険者ギルドへ向かった。
―――
学園では、冒険者として活動することが認められている。
なので、小遣い稼ぎでなんとなく依頼を受ける人も多い。
僕もその一人だ。
しかし今日は違った。
空気魔法の実験をするのだ。
一応何回も練習してるから大丈夫だと思うが、もしかしたら酸素が生きるのに必要ない魔物とエンカウントするかもしれない。
僕は適当な討伐依頼を手に取り、手続きを済ます。
相手は魔狼と呼ばれる、名前の通り狼っぽい魔物だ。
しかし、魔狼の亜種になると角が生えていたり、足が六本あったり、羽が生えていたりと、なかなか忙しい見た目をしている。
ちなみに羽が生えている魔狼は、赤ちゃんの頃から飼いならすことで、郵便屋さんの相棒になったりもしている。
届くのは早いが、少し値段が張るので、あまり多用はできない。
話を戻そう。
依頼の魔狼は、亜種ではなく通常だった。
場所は「コノラノ平原」で、最近増えすぎて被害が多発しているらしい。
数は………は?
待て。僕の目がおかしい可能性も無きにしろあらずだ。
一応前世から視力は2,0をキープしているはずだが、この世界には視力という概念がそもそもないので、測りようが無く、わからない。
さあもう一度。
………
……
…
『100匹』
…………どうやら見間違いではないらしい。
一応ギルドの規定としては、期間は一週間になっているが、そういう問題じゃない。
皆さん、金魚すくいを思い出してほしい。
あれって楽しいけどさすがに「百匹取れ」取れと言われたら萎えるでしょ?
多分二十匹ぐらい取ったら飽きると思う。
金魚すくいの場合体勢も楽じゃないしね。
今回はそのイメージ。
つまり、「倒すのは簡単だけどそこまで集まってないからつらい!」
お分かりいただけただろうか?
つまるところ、ただの苦行である。
これも無双ためと思えば……
そう。これは無双のため。
いつかこの世界で無双して俺TUEEEするためだ!
こうして、
―――――――――――――――――――――
【補足】
ギルドは「冒険者ギルド」の他にも「商業ギルド」や、「暗殺者ギルド」があります。
商業ギルド……街に一つあって、登録していないとその街で商売ができない。
暗殺者ギルド……表立って依頼をしにくる人はほとんどいない。せいぜい先立った調査を依頼してくる冒険者ぐらいである。斥候として危険な場所に派遣される場合もあるので所属する人は相当な手練れが多い。
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