第9話 カイセイ・ナダ・ラサール学園

僕はヨシノちゃんの添い寝に加えて、明け方まで空気魔法の練習に励んでいるため、睡眠時間が圧倒的に足りない。


数を言うと、2時間ぐらいしか寝ていない。


しかし、僕は学園を一度も休んだことがない。


生活習慣こそ悪いものの、健康そのものだ。


少し悪いくらいなら回復魔法でなんとかなるしね。


さて、僕は「2時間しか寝ていない」と言ったが、それは夜の話だ。


だいたい7時間は寝ている。


―――学園があるのにも関わらず、なぜそんなに寝ているのか


察しのいい人は気づいたかもしれない。


そう。


――


――――

僕が通っている「カイセイ・ナダ・ラサール学園」は、初級クラス・中級クラス・上級クラスの3つに分かれている。


これらは成績で割り振られ、最初は完全に実技のみで測られるが、半年に一回ある試験で、筆記と実技の合計がクラスで高い3人は一つ上のクラスに上がり、逆に低い3人は一つ下のクラスに下がるといった方式で、入れ替わっていく。


だから、どれだけ実技が圧倒的でも、筆記がてんでダメだったら、落ちる危険性はあるというわけだ。


しかし元の世界とは違い、


なんなら、テストの日以外は全く出席しなくても響いたりはしないのだ。


なので、一部の懐が寒い者たちは、ギルドに行って冒険者として活動していたりもするらしい。


しかし、僕はなぜわざわざ学園に来ているか。


―――ものすごく適温だからである。


カイセイ・ナダ・ラサール学園は気候が涼しめのところに建っていて、冬になるとたまに吹雪になるほど。


なので今は春だが、おそらく15度ぐらいであろう。


ちなみに、この世界に温度計なんてものはない。


これが失ってから気づく大切さってやつか…


……厳密には失ったわけじゃないんだけど。


話を戻そう。


前述の通り、学園内はめちゃくちゃ快適である。


超高級な魔道具が使われているんだろうな…


――――

※魔道具とは…魔力を動力源とする便利なもの。元の世界で言う電化製品のイメージ。物によっては元の世界のものよりもスペックが高い。

――――

教室も、席はふかふかだし、寝ろと言ってるもんじゃないだろうか。


ちなみに教室には人数分の机と椅子があるが、埋まっているのは半分以下。


どの世界でも学校って嫌なんだね。


一応真面目に受けてる人もいるが、ちゃんと受けている人は本当に少ない。


……本当に上級クラスか?


まあ堂々と寝てる僕が言うことじゃないんだけどね。


さて今日も……


……寝るか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

こんにちは。椛みさかです。


補足ですが、さすがにテストの日は全員来ます。


来れなかったら追試とかありません。


体調が悪くてもです。


なので、体調が悪くてもほとんどの人は気合で来ています。


つまり結局気合ってことです。

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