第4話 お預け
シガンによる簡単なあらすじ
無双しようと意気込んだ試験を受けようとしたら理事長に呼び出されたよ!
孫に「シガン・シナクを上級クラスにしろ」って言われたんだって!
どゆこと〜?
―――
うん。どゆこと?
理事長の孫さんが誰かは知らないけど、ここ最近で人にそこまで感謝されるようなことをした覚えがない。
だからつまり…
「心当たりはありません」
だから早くバトロワに行かせてください。
僕の人生の最大の目的が達成できなくなってしまう…
「そうか…ないのか…」
「はい!だから人違いなので早く試験に戻らせてください!」
無双が僕を待ってるんだ!
「しかし…名指しで言ってるから人違いではないと思うんだが…」
しつけぇなこの人。
もうここは言い聞かすかな…
「だから…」
「シガン様〜!」
「「え?」」
ノックもせずに入ってきた少女は、どこか見覚えがあった。
それもそのはず。
その少女は、数刻前にスリに遭っていた少女だったからだ。
「君は…さっきの!」
「えへへ〜覚えてもらえてた〜」
そう言って嬉しそうにぴょんぴょんする。かわいい。
すると少女は思い出したように、言った。
「そういえば名乗っていませんでしたね!私はヨシノ・ビートといいます!」
そう言ってヨシノちゃんは頭を下げる。
そして、僕は気になっていた事を尋ねた。
「そういえば、なんで俺のことを『シガン様』って様付けするんだ?」
「それは…シガン様が私の王子様だからです!」
「「は?」」
この発言には僕のみならず理事長まで驚いた。
「王子様って…どゆこと?」
「私…ずっと夢があったんです…。王子様が私を颯爽と助けてくれるという夢です。」
「で、でも僕がしたことは本当にたいしたことないし…」
「はい!そうなんです!いつもだったら『ありがとうございます』ですませていたんです。…でもスリにあった時、『王子様が助けてくれればいいのに』と願ったんです。そうしたらシガン様が現れてくれました。」
あーなるほどね。
つまりタイミングの問題ね。
「それで…私、シガン様に恩返しがしたくて、ダメ元で『シガン・シナクという受験生がいたら上級クラスにしろ。しないともう二度とあなたを祖父と思わない』って
あーだから理事長はこんなにしつこかったのね。
孫には嫌われたくないもんね。納得納得。
「そろそろいいか?」
気まずくなったのか、理事長が口を開く。
っていうことはもう話は終わりかな?
「あの〜戻っていいですか?」
「いや、その必要はない。」
「へ?」
何で?
バトロワ無双が俺を待ってるのに…
「シガン・シナク、お前はこのコマネチ・ビートの名において、上級クラスにけっていする!異論は認めん!」
「…じゃあ、バトロワは?」
「行く必要はない!…もっとも終わっとるじゃろうがな。」
「ええええええ!!!」
僕は思わず地面(床)に崩れ落ちた。
こうして、僕の無双はひとまずお預けとなったのであった。
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