第2話 無双に向けて

 今日の分の日課ケガを終えた俺は、次に実践に移ることにした。


 この世界の魔法は火、水、自然、光、闇の五属性に分けられていて、火は水に弱く、水は自然に弱く、自然は火に強い。


 ちなみに回復魔法は光属性になる。


 魔法はその属性の適正が無いと使えないとかはないけど、やはり人によって得意不得意はあるらしい。


 僕の得意な属性はもちろん光である。


 先祖代々回復魔法が得意だからね。


「『初級:ヒール』」


 そう念じて俺は初級魔法を発動させる。


「『初級:ヒール』」


 もう一回発動させる。


 この間は0.1秒以内がベスト。


 僕は元の世界でラノベを読み漁っていた時、ふと思ったんだ。


「なんで魔法ってみんな一回しか使わないんだ?」


 大きな魔法を使えないのなら小さな魔法を何回も撃ったらいいのに。


 この世界に生まれてその疑問は解決した。


 ――シンプルにそんなに早く魔法を構築するのが非常に難しい。


 当たり前だが、僕はまだ子供なので、使えても中級魔法までが限度だ。


 だから、無双をするのは難しいってのは明らか。


 でも、威力は低くても早く正確に構築する練習ならいくらでもできたのだ。


 その練習を初めて早5年。


 ご覧の通りある程度は早く発動させることができる。


 しかし、この程度では無双はできないだろう…


 今のところは1秒間に200回発動させるのが目標だ。


 今はまだ1秒間に10回が限界だが、いつか1秒間に1000回発動させて無双して見せる!!!


 ―――――――――――

 異世界転生してから早15年。


 来週にはとある魔法学園に入学する予定だ。


 たしか…名前が…「カイセイ・ナダ・ラサール学園」だっけな…


 名前が難しさを物語っているよな…


 確か入学時に試験をして、それでクラスを決めるらしい。


 さあそこで僕の力を見せつけてやるか…


 「ククク…待ってろよカイ…なんちゃら学園!」

「シガン様?どうかされましたか?」

「ああ、いや、なんでもない」


……今度から夜に大声出すのは控えよう。


 そして、一週間後。


 待ちに待った入学試験が始まった―――






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る