第15話 長谷川礼那

太一が車いす生活にも慣れてきた頃、休学していた大学に復学することになった。大学一年生の12月のことだった。


翔輝先輩に誘われて入ったテニスサークルをやめた太一だったが、翔輝先輩とは入院中に連絡先も交換し、良き相談相手となっていた。

「太一くん、長谷川礼那って覚えてる?」

「あぁ、礼那先輩」

礼那先輩は、太一にテニスを最初に教えてくれた先輩だ。告白もされたことを覚えている。


「実は俺、礼那と付き合ってるんだよね」

「え!」

「どした???」

「いや…いつからですか?」

「太一くんと出会う前かな?」

「え!!!」

「だからどした!笑」


(礼那先輩は…翔輝先輩がいるのに…俺に告白してたってこと⁉それって浮気だよね⁉)


太一は翔輝先輩にこのことを伝えるかどうか迷ったが、結果的には浮気はしてないわけだし、今回は伝えるのをやめることにした。…がサークルをやめた太一と礼那先輩が今後学内でも出会うことはなかった。

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