第16話 バレンタイン

太一が大学に復学して3カ月が経とうとしていた2月のこと。大学は春休みに入り、太一と亜以子は大学1年生の過程をすべて終了していた。


あれから太一と亜以子は、学内や電話で頻繁に連絡を取り合うようになり、大学に復学した直後の気持ちが沈んでいた彼の顔にはだんだんと笑顔が戻ってきていた。そしてそのタイミングで亜以子は彼に再び告白をしようと考えていた。



2月14日。

特にこれといった課題のない大学生の春休みは暇で、二人は今日彼の家で会うことになっていた。そう、今日はバレンタインデー。


「お邪魔します」

「亜以子ちゃん今日は来てくれてありがとね。太一、自分の部屋にいるから」

「はい」

そうやって母の好美は私を太一の部屋まで案内してくれた。


「太一、亜以子ちゃんが来てくれたわよ」

「うん」

「うんって何よ。もうー」


「どうぞ。ゆっくりしていってね」


「太一くんお疲れ様」

「亜以子ちゃんもお疲れ様だよ!」

「どう?リハビリは順調?」

「うん!だいぶ一人でも歩けるようになってきたよ!」

「よかった!」


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