第9話 告白、そして寝れない日

亜以子が太一に告白をしてから、2人の間にはしばらくの沈黙が生まれた。


こういわれることは想像できていた。しかし実際に言われてみると・・・

(なんだこの感情は)

今まで女の子に、いや女性に告白なんかされたことがない太一は、フリーズしてしまった。


そしてしばらくたって、ようやく太一が言葉を発した。

「亜以子ちゃんの気持ちはわかったよ。けど、今すぐには答えは出せないかな。ごめんなさい」


「ううん、聞いてくれてありがとう。私も太一くんにやっと気持ちが伝えられてすっきりした。返事待ってるね。お邪魔しました」

亜以子も変に長居して太一と気まずくなりたくないのだろう。獲物を見つけたチーターのように足早に太一の家を去っていった。



その日の晩、太一の頭の中は人生初の告白のことでいっぱいだった。


昔から本が友達で、休み時間は同級生とまったく遊ぼうともせず読書ばかりをしていた太一。

小学生の時は学級委員長、大学の入学式では入学生代表挨拶。太一とは違って色々な経験をしてきた亜以子。

(こんな俺が亜以子ちゃんに告白されるなんて・・・)


この日、太一は結局一晩中眠ることができなかった。

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