第8話 一途な恋

そして迎えた土曜日。あの日彼女に「好きです」と言われ、分かりやすいぐらいに動揺してしまった俺は、亜以子が来るのは午後のはずなのに午前中からソワソワが止まらなかった。


『ピンポーーン』

太一がのぞいたインターホンの向こうには亜以子がいた。

「どうぞ、上がって」


「元気ー?今日は時間を作ってくれてありがとね」

「いや、こちらこそありがとう」

太一のいつも暮らしているアパートは、六畳ぐらいの一人暮らしをするにはちょうどいい部屋だった。


「この前はいきなりあんなこと言ってびっくりさせちゃってごめんね」

亜以子もあの時のことは気にしてくれていたようだ。

「うん、いいよ。ちょっとびっくりしたけどね」


「でも私、太一くんのことが好きなの」

そう切り出すと、亜以子は話を続けた。

「小学生の時に二人で私の家で遊んだことあったじゃない?実はその頃に太一くんのことを好きと思うようになってきて・・・」

「・・・」

「私は小学校卒業と同時に引っ越してしまったから太一くんとはもう会えないのかもと思ってたけれど、大学生になった今こうしてまた会うことができて・・・」

「・・・」

「思い切って気持ちを伝えてみようかなって・・・」

「・・・」


太一は亜以子の話を黙って聞いていた。

「だ、だ、だから・・・」

「だから?」

「こ、こんな私でよければ・・・」



「付き合ってくれませんか!」



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