第7話 彼女の囁き
昼食も終わって学生たちは午後の講義へと向かっていき、食堂にいる人の数も少なくなってきた。
「じゃあちょっと落ち着いてきたし、話し始めていい?」
「うん、いいよ」
「周りに人いるからあんまり大きいリアクションしないでね」
(大きいリアクション?俺は今からそんなにびっくりされることを言われるのか?)
「ちょっと耳貸して」
そうすると亜以子ちゃんは太一の耳元で一言こう囁いた。
「好きです」
好きです⁉急にそんなこと言われても…太一はどんな反応をしていいか分からなかった。大きいリアクションは取れないし、告白されるってこんな感じなのか???
「はい!話はこれで終わり!土曜日の午後、太一くんの家に遊びに行ってもいい?」
「う、うん?べ、別にいいけど」
明らかに俺は動揺していた。好きなんて生まれてはじめて言われたから。
「じゃあ土曜日の午後にお邪魔するね。今日は時間作ってくれてありがとう!」
そう言って彼女は食堂から去っていった。
4限の講義、いつもは講義を真剣に聞いている太一だが、この日は勉強が手に着かなかったのだった。
「おい、君。香川くんだっけ?何をそんなにそわそわしているんだね?大丈夫かい?」
「だ、大丈夫です」
動揺を隠しきれなかった太一は、なんとかこの時間を乗り切った。
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