第6話 約束

翌日、大学に到着した太一は1限の教室へ向かった。しかし教室の前まで行くと、

「先生の都合により、本日の講義は休講になりました」

の貼り紙。

(せっかく早く起きたのに…)


急に講義という予定がなくなった太一。3限に亜以子ちゃんと食堂で会う約束をしているが、それまではまだ3時間近くある。

(一旦家に帰れるじゃないか。)

そう思った俺は、いったん帰宅して約束の時間にまた大学に来ることにした。


太一が再び大学に着いたのは12時前。2限が終了するのが12時10分なので、ちょうどいい時間だ。そして食堂に向かった俺は、亜以子ちゃんが来てもすぐ見つけられるように、少し目立つ席に座った。


15分ほど待った後、食堂に入ってくる亜以子ちゃんの姿を見つけた太一。亜以子ちゃんも太一に気付いたようで合流できた2人は、ひとまず同じテーブルの席に着いた。


「ごめん、ごめん。先に来てくれてたんだね」

「うん。1限が急遽休講になったからさ、一旦家に帰って12時ぐらいに食堂に着いて…」

「そうだったのね。待たせてごめんね」

「ううん、大丈夫」

「話す前にご飯食べよ。私お腹すいちゃった」


午前の講義が終わり、食堂には講義を終えた学生たちが溢れるように押しかけてきていた。

「太一くんは何食べるの?」

「俺は日替わり定食でいいや」

「じゃあ私も日替わり定食にしよっと」

この大学の食堂は、券売機で自分が食べたいものの食券を買って、その食券を調理場に持っていくというシステムになっている。日替わり定食の欄を見ると、今日のメニューは「唐揚げスタミナ丼」と書いていた。


2人は食券を買い注文も終え、再び席に着いた。

「それじゃあ、いただきます!」

「いただきます」

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